はたらく役者さん第一回目:長谷川 なつみさん【長谷川まる】前編

はじめまして、セツコの豪遊という団体に所属している長谷川まるです。現在は会社員と役者をしています。

私は以前から、他の役者さんが「演劇以外にどのような仕事をしているのか」をずっと知りたいと思っていました。その多様性を知っていたら迷わなくて済んだ役者人生の分岐点がいくつもあったからです。

このインタビューではお芝居とそれ以外の仕事を、様々な形で両立している役者さんを追っていきたいと思います。

有難いことにTwitterでも大きな反響を頂く中、記念すべき第一回は、長谷川なつみさん@natsumi_ga_kita)にお話を伺うことになりました!!

長谷川さんは、現在正社員として営業事務職をしながら、社会人劇団から演劇主体で活動する役者さん中心の団体にまで幅広く関わっていらっしゃる女優さんです。

会社員として働きながらプロの劇団の集中稽古や本番に参加して行く方法や、その努力の秘訣は、これから活動の幅を広げていきたい会社員役者の方はもちろん、働きながら役者をやっている方、これから社会に出る学生役者の方も必見です。

それではどうぞ!!

社会人役者プロフィール

 

 

名前 長谷川 なつみ
役者以外の職業 卸会社の営業事務
雇用形態 正社員
勤務時間 9:30-17:45(土日祝休)
残業時間 ほとんどなし
勤続年数 4年
役者活動について会社には 言っている
主な出演作 ・2017年6月 長野恵美『前向きネガティブ』@新中野ワニズホール
・2017年7月 SPIRAL MOON 『おんわたし』@下北沢「劇」小劇場
・2017年11月 杉山純じ『エンれぱ!vol.2』@あさくさ劇亭
・2018年5月 アンティークス『あしおと』@シアター711
・2018年11月 アンティークス『この星に生まれて』@「劇」小劇場
次回出演作 1月24日~27日 アマヤドリ2019本公演「天国への登り方」(詳細は文末をご覧ください)

※現在の会社は2社目

現在の会社について

―早速ですが、現在の職場環境について教えてください。

長谷川さん
今働いているのは50人くらいの規模の会社で、私は一番下っ端の年代です。
ただ、うちの会社は年齢とか役職関係なく結構休みは取りやすいです。部長も自ら趣味のために休んだりもされています。

―上の世代の方が率先して休んで下さると私たちも休みやすいですよね。そうしたら、会社の方も役者の活動に関してはご理解下さっていますか。

長谷川さん
皆さん良い方ばかりなので、思うところがある方もいるかもしれませんが、基本的にはご理解下さっています。毎度申し訳ないと思いながら本番等で休む旨を伝えても、「呼んでほしい」と言って下さりますね。

―理解のある素敵な会社だ…。ということは、会社の方とは公演にも来てくれる間柄ではあるのですね。

長谷川さん
実は社内の人への宣伝は今回が初めてです。有難いことにご理解は頂いているものの、毎回休んだ分の仕事は誰かに回っているというのも事実で、仕事を押しつけた上にチケット代を払わせてしまうのが申し訳ないと思っていました。

だから今までは積極的にお声がけはしていなかったです。でも今回は活動を見てもらいたいと思って職場の方もお呼びしました。

―今の会社に転職した時点でお芝居をしていることは伝えていたんですか?

長谷川さん
転職したてのころは言っていなかったですね。入社半年くらいはお芝居自体やっていなかったなぁ。最初だったので、とにかく仕事を覚えることを優先させたかったですね。半年後くらいに「そろそろ演劇をやりたい」と思って、お世話になっている社会人劇団さんに出させて頂きました。

―転職したては仕事に慣れるので精一杯ですよね…。そこから、どういうきっかけでお芝居をやっていることを言いましたか。

長谷川さん
言ったのは入社1年後くらいですかね。今の会社がプライベートとも両立出来るということが分かり、だったらもっと演劇の方にも注力したいなあと。それで夏休みを利用して演劇主体の劇団のオーディションを受けてみようと思ったのがきっかけです。

オーディションはその時初めて受けました。最初に出た作品は小屋入り期間を夏休みに充てて、会社もほとんど休まずに参加出来ました。夏休みだったら正々堂々休めるので、「夏休みどこ行くの?」と周りから聞かれたときにも「下北沢に…」と言って(笑)段々そこから「長谷川さん、演劇やっているらしい」って話が社内で広まっていきましたね。夏期休暇中の話だったので言いやすかったです。その年は3本の舞台に参加しました。

―仕事と3本の舞台の両立もこなされたのですね…!!今は年間何本くらい出演しているんですか。

長谷川さん
年間3本くらいですかね…でも結構まばらです。そのとき決まったものに出るという感じなので、去年は2本でした。反対に、今年は1月と3月に既に舞台が決まっているので、夏とか秋くらいの時期にまたやりたいとは思っています。
―そうしたら「年間何本出るぞ!!」みたいに決めているというよりは、その時その時でご縁があったところに出演される…という感じですか。
長谷川さん
そうですね、あと出たい舞台が仕事的に休んでいい時期なのかも検討します。私の場合、棚卸がある月末と期末が忙しいので、その時期に公演がある場合は無理ですね。その辺りはオーディションを受ける時点で確認します。

集中稽古がその時期に被る公演についてはどう対応していますか。

長谷川さん
そうですね、今までたまたまかち合ったことはないんですけど、もしそうなったら、月末の絶対に休んじゃいけないその日は仕事に行かせてもらいますね。

―自身の仕事と調整しながら上手に活動されている…。会社員としてのお仕事自体は楽しいですか?

長谷川さん
楽しいです。今の職場に変わってからは、全然辛いと思ったことがなくて。職場環境も仕事内容もそうですし、職場の人も本当にいい方ばかりなんです。所謂ホワイト企業ですね。本当に有難いです。
―同じホワイト企業でも「時間だけが空しく過ぎていく」みたいな感覚の人もいると聞くので、労働時間等以外の部分に良さとかやりがいがあるという点は大切かもしれません。

就職活動・転職活動について

―今の会社は2社目なのですね。

長谷川さん
そうですね、一度転職して今の会社に勤めて丸3年になります。

―差支えなければ、どうして前の会社を辞めたのか伺っても良いですか。

長谷川さん
当初思っていた仕事内容や働き方と、かなりミスマッチがありましたね。勤務時間も長かったですし、体調を崩しがちになってしまったこともあって、「この仕事に人生を費やすのはもったいないかも」って思って、一年半くらいで退職しました。

演劇もあんまりできなかったですしね。で、改めてどう働きたいのか考えたとき、「自分はプライベートとも両立できる会社で働きたいんだ」ということに気づき、転職活動をして今に至ります。

―転職活動の際はワークライフバランスに重きを置いていらしたということですね。逆に学生時代の就職活動の際は、「演劇もやりやすいところ」みたいな観点で選んでいましたか?
長谷川さん
そこはあまり考えてなかったです。お休みが取りやすい会社への就職は希望していましたが、芝居に関しては週末や長期休暇を利用してやれればいいかなと思っていました。
―ちなみに、長谷川さんの周りは卒業後、お芝居を続ける人と辞める人、どっちが多かったですか?
長谷川さん
辞める人の方が多かったです。うちの代は全員進学もしくは就職を機にすっぱりみんな辞めましたね。今も、私以外は全くやっていないと思います。ほかの代も辞める人がほとんどで、たまにそのままプロの道に行く人が一人いるくらいでした。
―大学のタイミングでほとんどの人が辞めるとなると、卒業後演劇を続ける場所を探すことも大変だと思うのですが、そういった部分の人脈作りってどうしていましたか。
長谷川さん
初めはいろんな社会人劇団さんに参加させて頂いて、それ以降もいろんな団体に出演していたので、その時にお世話になった方々と徐々につながっていった感じです。あとは、観て面白かった団体さんのWSに通ったりして顔を覚えてもらいました。

その当時の写真

―その当時役者一本でやっていくという選択肢もあったりしましたか。

長谷川さん
 新卒のタイミングでは一回就職しておくかって思っていました。就職活動中も演劇は続けていて、面接行ってから稽古…みたいなことをしていたのですが、新卒の立場でいろいろな会社の説明会に行けるのも今だけだし、就職してから仕事を辞めるのはいつでもできると思ったんです。

※後半へ続きます。後半は会社員をやりながら、活動を限定せず様々な劇団と関わっていく方法等を伺っています!!

後編はこちら

はたらく役者さん第一回目:長谷川 なつみさん【長谷川まる】後編

2019.01.25

聞き手:長谷川まる

東京都出身。セツコの豪遊(@setsuko_no_goyu)所属。高校から演劇をやり、大学でもやり、今もやっている。