演劇のインタラクティブ性〜観客は、演劇作品を作る最後の一人〜【日向修二】

みなさんこんにちは。

しがないサラリーマンをするかたわら演劇活動をしています、日向修二と申します。

今日は、演劇のインタラクティブ性についてお話しします。

目次

1.「インタラクティブ」とは?
2.「批評家」であるよりも「エンジョイ勢」であれ
3.観客も演劇作品を作る最後の一人

1.「インタラクティブ」とは?

インタラクティブとは、「双方向」「対話式」などと訳されます。「一方通行ではない」ということです。

演劇は、「役者」と「観客」が居て、観客は作品を観ているわけですが、
役者:観られる
観客:観る
という一方通行だと思いがちです。

しかし、そんなことはありません。

役者は観客の反応を感じ取り、それが演技に影響を与えています。つまり、
「観客が役者の演技を観て反応」し、
「役者が観客の反応を観て演技」する、
という、お互いに影響を与え合う状況が常に存在しているのです。

2.「批評家」であるよりも「エンジョイ勢」であれ

演劇を観に行くとき、みなさんは何を思って観に行くでしょうか?

「このお話が面白そうだから行く」
「好きな役者さんに会いに行く」
「この劇団がこの脚本をどう見せてくれるのかを観に行く」

と、いろいろと理由があると思います。

各々の演劇の観方をどうこう言うつもりはありません。みなさん、誰にも邪魔されず、ご自分の観たいように作品を鑑賞なさるのがいいと思います。

ただ、特に何もこだわりがなければ、ぜひ、「エンジョイ勢」として観に行ってみてください。

おもしろかったら笑う。ハッと息をのむ。感激して涙を流す。

変に「我慢」せず、「反抗」せず、積極的にリアクションを取ってみてください。役者はその客席の反応を感じ取って、「演技がイキイキして」きます。

役者は客席の雰囲気を如実に感じ取ります。一番辛いのが、あるはずの客席の反応が全然感じ取れないときです。

笑いを誘うシーンなのに笑い声が無い……

張り詰めたシーンなのに客席の空気が緩んでいる……

ちらりと見えた最前席の観客の顔に集中力が無い……

こうなってしまうと、「挽回せねば」と思ってしまい、ついつい演技が空回りしてしまい、悪循環にハマっていきます。

「いやいやそんな客席のことなんて考えずに作品に集中しなさいよ」とお思いかもしれません。そんなのは百も承知です。それでも人間なので、客席の空気を感じずにはいられないのです。

反対に、客席の反応が抜群だと、演技がノってきます。反応があると演技が良くなる、というか、きっと単純に、「安心する」んです。気になることがひとつ消えるだけで、グッと演技に集中しやすくなります。結果、好循環が生まれていきます。

経験者なら覚えがあると思いますが、観客の居ない「ゲネ」と、本番では、デキが段違いです。本当に別物です。反応がある、ということは、それだけで作品にプラスなのです。

「演劇側に肩入れはしない、おもしろければ笑う、さぁ、私を笑わせてみろ!」というスタイルで観劇をなさる方もいらっしゃるでしょう。

最初に申し上げたように、そのスタイルを否定する気はまったくありません。

しかし、もっとハードルを下げて、少しでも反応を返していくことで結果的にいい作品を観ることができると思います。役者もやりやすく、観客もより良いものを観れる、Win-Win な関係です。それならそちらのほうが、おトクだと思いませんか?

3.観客も演劇作品を作る最後の一人

演劇は、生身の人間が生身の人間の目の前でリアルタイムにお話を展開していくタイプの芸術です。厳密な意味で、同じ空間は二度と作れません。

同じ作品を何度繰り返し観たところで、客席も含めて 100%同じということはあり得ないことです(そもそも時間も、役者の状態も異なります)。

役者がセリフを間違えてしまうこともあるでしょう。アドリブもあるでしょう。

誰かが咳をしてしまうこともあるでしょう。

携帯電話やスマートフォンが鳴ってしまうことも、残念ながらあるかもしれません。

それであれば。たった一度の空間は、役者も観客もスタッフも、全員で作り上げていると言えます。観客もあなたも、演劇作品を形作る最後の一人です。

ぜひ、積極的に反応を返し、より良い作品を作っていただけたらと思います。

日向修二

役者・脚本家・演出家・作曲家。2016年1月に、就職してから初めて長編の公演を行い、就職していても演劇ができることにやっと気づく。最愛の妻はこの世で一番かわいい(本人調べ)。
Twitter→@shuji_himukai
Blog→https://ameblo.jp日向修二製作所/shujihimukai/
Podcast→日向修二放送局
note→  脚本公開中