忍び翔ける芝居人 vol.2 〜事務所や劇団に頼らない生き方〜【おしょう】

どーも、おしょうです。

このコラムでは、芝居だけで飯を食っているフリーの芝居人が、
芝居で生きていくために必要なことを、自分の体験を基に伝えていきます。
※また、各月の収入公開も行っていきます。

今回のテーマは、「事務所や劇団に頼らない生き方」です。
まずは収入公開から。

4、5月月収

4月月収
劇団しおむすびメンバー参加費 50,000円
「即興deNight」参加費 25,000円
定期稽古参加費(週1) 19,000円
一人即興WS(週1)参加費 67,000円
俳優訓練会(3回)参加費 23,000円
インサイドアウトの会(1回)参加費 8,000円
「エビチリと鯛」ギャラ 25,000円
その他、他企画報酬 20,800円
計 237,800円

5月月収
劇団しおむすびメンバー参加費 55,000円
「即興deNight」参加費 20,000円
定期稽古参加費(週1) 30,000円
一人即興WS(週1)参加費 73,000円
俳優訓練会(4回) 51,000円
個人レッスン(2回) 10,000円
「セカンドサークルライブ」ギャラ 4,000円
その他、他企画報酬 52,500円
計 295,500円

2018年収入 (1〜3月収入)729,300円+(4〜5月収入)533,300円=1,262,600円
平均月収 252,520円

劇団のあるべき姿

僕は現在、3つの団体の主宰をしています。

その中の不条理狂詩曲と言うチームは、「いいインプロショーを創る」ことを目標にした、ルパン一味みたいなチームを目指して立ち上げました。

ルパン一味(ルパン、次元、五右衛門、不二子)は、それぞれ1人でも十分強いですが、1つの目標に向かって全員が集まるともっと強いチームです。
お互いが依存し合わず、独立している集団の典型例であり,理想のチームと言えるでしょう。

これを劇団に当てはめると、「1人でも強い」とは、「1人でも生きていける」ということです。

1人でも生きていける人達が集まり、1つの作品を創る。
これが、僕が思う理想の劇団の形です。

事務所、劇団は基本「何もしてくれない」と思う

よく「事務所が仕事をくれない」とか「劇団が売れなくて」という愚痴を役者さんから聞きますが、そういう人は、役者は1人では何も出来ないと思っているのです。

「誰かから仕事が欲しい」「誰かに育てて欲しい」「誰かに教えて欲しい」…

自分では何も出来ないから、誰かに頼り、不安で弱気な姿勢になってしまいます。

そんなこと考えていると、付き合いで見たくもない芝居を見に行ったり、仕事をくれる偉い人に媚を売ったり、無意味な飲み会に参加したりしてしまいます。

はっきり言って、こんな俳優は全然魅力的じゃないし、事務所も劇団も使うわけがありません。

だったらもっと、1人でやれることをいっぱいやって、1人で生きていける人に少しでも近づいて行った方がいいと思います。

発信しない=何もしてない

1人でやれることの中で、最も簡単なことは「発信すること」です。

今やSNSが普及し、個人がどんどん発信していける時代になってきました。

個人の思想や実績をそのままSNS上にアップ出来るようになってきたことで、実社会でも個人の信用度が上がってきています。

仕事に関しても、会社を通して面倒臭い手続きを踏むくらいなら、個人に頼む方が手っ取り早いと考える人もいるようです。

演劇界でも、そういった理由で事務所を独立する人達も増えてきました。
この動きは今後も加速していくことでしょう。

また、SNSが当たり前になったことで、「発信してない人=何もしてない人」という認識も取られるようになってきました。

名前を調べれば、一発でその人のホームページ、ブログ、Twitterを見ることが出来るのですから、この時代でSNSをやっていないことは、クリエイターにとって百害あって一利なしとも言えるでしょう。

発信するものが無いなら、売れないのは当たり前

「じゃあ皆もっと発信していけばいいじゃん!」と思うのですが、そもそも発信することが無い人が多いのも事実です。

以前、SNSを一切やっていない俳優さんに「なんでやってないの?」と聞いたら、「そもそも自分に思想なんて無い」というのです。

思想が無いということは、表現することが無いということです。「じゃあなんで演劇やってんだよ!」って話です。

そりゃあ売れないのも当然です。だって中身が無いんですから。何も入ってないコップなど、売れるはずもありません。

それか、そもそもそこまでの蓄積が無いという場合もあります。

演劇についての勉強不足、経験不足がそうさせているのかもしれません。外に出て、ワークショップに参加したり、本を読んだり、学ぶ機会を増やしましょう。ちなみに僕は大学生の頃、邦訳されている演技術本は全て読みました。

また、自分の思想を卑下して、発信出来ない人もいます。

「自分の考えなんかつまらない…」「こんな当たり前のこと書いてもなあ…」と、自分をスペシャルに思えない人達です。でも、「中身全然美味しく無いんですけど、買ってください」って渡されたものを誰が買うんでしょう。

謙遜は日本人の美学かもしれませんが、日本人である以前に芝居人です。芝居人にとって、謙遜など無意味です。

否定されるのが怖いなら、人前に出るのは危ない

こういった思考は、全て「否定されるのが怖い」思考からやってきます。

でもだったら、芝居は一刻も早くやめた方がいいです。

なぜかというと、危険だからです。

人前に出ることは、否定されるリスクが必ずあります。否定されたくないなら、出ないのが賢明です。

それでも出続けたいなら、根本的な思考の方を変えるべきです。

否定の感受レベルが高すぎ

ほとんどの人は、否定されることを怖がりすぎなのです。

舞台に出て、まだ何も言われてないのに、「下手だと思われてるんじゃないか」「ダメだと思われてんじゃないか」「嫌われてるんじゃないか」…と考えてしまいます。

感度良すぎ!

まだ何も言われてないならいいじゃないですか!なぜそこまで過剰に怖がるのでしょう?

否定の感受レベルが高過ぎです。自意識過剰です。

もっと感受レベルを下げてください!

何も言われてないのに否定だと捉えるのは、自分が自分を否定している証拠です。人が言っているのではなく、頭の中の自分が「自分はダメだ」と唱えているのです。

その言葉を変えてみてください。

まずは自分で自分を肯定してあげること。

自分で自分をOKにしていけば、その分自分は広がっていきます。
人は、OKにしている自分しか人に見せないわけですから。

人に見せられるようになると、表現・発信できるようになってきます。

そうすると、他人にも認められるようになってきます。

もちろん、同時に否定されることもありますが、ここまで来ていれば他人の否定なんて痛くも痒くもありません。

自分の否定は自分を大きく傷つけますが、他人からの否定は意外と大したことないのです。

まとめ

最後、自己啓発書みたいな締めになってしまいましたが、大事なのは、とにかく自分からめちゃくちゃ発信していくことです。

自分の思想、実績…全部載せてください。
言いづらいことまで言わなくても良いですが、自分のストーリーを語ってください。

全く浮かばない、書くことが無いのなら、そこまで蓄積が無いか、自己検閲をかけているかのどちらかです。

自分を知り、そこから自分を変えていきましょう。

1人で生きていける人になるために…

忍翔(おしょう)

インプロバイザー(即興役者)、インプロ(即興芝居)&演技指導、演出、俳優。

高校から演劇を始め、大学から奈良橋陽子が主宰を務めるMLSにて英語劇を始める。その後、国際的に活躍するインプロ指導者・今井純、アクターズスタジオ生涯会員・ボビー中西に師事し、インプロとマイズナーテクニックを学ぶ。20歳で日本初の学生インプロ団体「劇団しおむすび」を立ち上げ(現・プロデューサー兼指導)。

22歳で単独即興ライブ「O-SHOW」をスタート。24歳でイタリア・ミラノで行われたインプロの国際会議に参加し、インプロの国際組織「国際シアタースポーツ協会」のメンバーとなる。

現在は舞台の企画や指導を行う傍ら、表現者としては一人芝居の可能性を追求している。
WEBサイト
https://twitter.com/osho_jam