七つの顔を持つ男 その3 「チケット代さまざま」【たすいち 目崎剛】

しばいのまちをご覧の皆様コラム3回目となりました、たすいち目崎剛です。

そろそろ目崎っていう名前、覚えてもらえたんじゃないでしょうか。
そもそも目崎っていう苗字があんまり世の中にいませんからね。
どうですか?
覚えました?

目崎という名前を太字にしてたくさん出してみました。うざいですね~。
というのもですね、先日、コラム第1回を掲載していただいた後に友人から「強調の太字が少ない」というダメ出しを頂いたのです。さらっと読み飛ばす人にもわかってもらえるようにしなければ、と!

ある意味とてもゆるいコラム連載。

読んでくださる方ご意見即座反映できるというのも強み一つですね。

(太字悪ふざけはこれ以降ありませんので最後まで読んでやってください・・・!)

たすいちの次回公演は前売り3300円

突然の宣伝から入りました今回のコラム。

タイトルにもあるように、今回は「チケット代」についてのお話をしようと思ってます!お金の話はとてもタブーな匂いがしますよね。なので最初に明言しておきます!

このコラムでは、たすいちや目崎が経験したチケット代に関することが書いてあるだけです!

何かを批判するとかそういうことではなく、僕がもんやり考えていることを綴っている形になります。

たすいち第25回公演「呪いならいいのに」は、今月7月の23日~30日にて公演があります。

そして、チケット代が前売り3300円、当日3500円、U20(20歳以下)2300円、当日2500円、という形態になっております。

前回の記事で旗揚げから10年・・・という記事を書きました。

七つの顔を持つ男_その2「10年続けること」【たすいち 目崎剛】

2017.07.06

この10年で、チケット代も色々と変動してきているのです!

では、目崎が、どんな想いで、どんなことがあって、どんな変遷を辿ってきたのかをお話ししてゆきましょう。

ただただ演劇をしてた中高時代

中学の頃は、演劇部の活動しかありませんでした。なので当然、「自分たちがお芝居をしてチケット代をとる」なんてことは考えたこともありませんでした。

何も考えていなかったんですよね。お客様に観てもらうということより、自分達が創ることのほうが楽しかった時代です。

初めてチケット代が発生したのは、今僕が担当している小中高生ミュージカルに、高校生のころ出演した時。

友達に、大会や文化祭の時のように宣伝して、チケット代が発生しているんだ、ということに気付きました。

とはいえそれでも低価格。普通に観に、応援にきてくれる友人。まだ「何かを売り、買ってもらう」という意識は低かったと言えます。

意識改革!大学時代

チケット代を取ることも取られることもよく考えないままに、大学でサークルに入りました。

そこでは「新人訓練」と言われる時期がありまして、ざっくり言うと、2ヶ月の肉体訓練と、2ヶ月の公演稽古、そして集大成となる新人公演を経て晴れて一人前と認めてもらえるのです。

これがまぁー地獄の日々なんですが、その話はまたタイミングがあれば。この時代に、大切なことをいくつも叩き込まれました。恵まれていたと思います。

ううう、傷が疼く・・・!えぇ、とても恵まれぐぅうていました。

先輩に言われて、今でも覚えていることがあります。

「チケット代500円取る価値がお前らの芝居にあるのか!」

チケット代、500円。

普段から演劇を見ている人なら決して高くないというか、安っ!って思う額ですよね。

それでも新人時代。どん底まで叩き落されながれ訓練を積み、自信を失っていた頃。自分に、500円の価値があるのか・・・!中高時代、チケット代を取るということについて深く考えていなかったものだから特に。

500円あったら何ができる?

節約せずにお昼ごはんが食べれる。漫画なら1冊買えちゃう。そしてお芝居を観る、1~2時間。なんなら行きと帰りにかかる時間。観に来てくださるお客様の人生の中の数時間を頂くこと。

そう、僕たちは、人様からお金と時間をもらっているんだ、と。

これは仕事だ。お仕事だ。500円だから安いよね、じゃない。だって1食ご飯食べれちゃう。本当にチケット代に見合った作品をやれているのか。

この問いかけは常に自分の中にあります。

当時どん底だった僕を救った言葉もあります。僕からチケットを買う人は、500円僕に払ってると思うかもしれません。でも、お芝居は一人で創るものではありません。

共演者と、スタッフさんと。一人で500円まかなおうなんて傲慢な考えだったんです。

座組のみんなで500円になる。いや、それ以上を目指す。

それに気付けた時、仲間が増えて、光が見えたのです。

具体的なチケット代あれこれ

演劇、いったいどこにお金がかかるのか、というのは僕の記事じゃありませんが

そもそも公演のお金ってどこにいくらかかるの??【藤田侑加】

2017.06.30

こちらの記事に詳しいので、読んでみてくださいませ!

先輩の存在

旗揚げ公演を終え、学内施設ではなくて外の劇場に進出しよう、となった時に、今までかからなかった会場費がかかることになり。じゃあいくらにしようか、と考えた時にですね、

「あ・・・この額だと、○○先輩の公演よりチケット代が高い・・・!」

という壁にぶち当たりました。

別にそんな細かいこと気にしないかもしれませんが、やはり尊敬する先輩達・先輩劇団。

そんな方々と同じ、またはそれより高い額のチケット代を掲げた時、果たして「自分たちの公演は憧れの先輩たちよりもチケット代を取れる公演なのか・・・!?」という問いかけがこだまするのです・・・!

別にチケット代がすべてである、とは言いませんが、一つの尺度にはなりますよね。

普通なら、「チケット代が高い方がクオリティが高い」はずなのですから。

目崎の葛藤

突然ですが、「売れる」ってなんなのでしょう。(本当に突然)

テレビに出て芸能人になること?仕事がたくさんくること?ファンがつくこと?あんまり俳優として表に出るわけじゃない目崎が「売れる」ってなんだ?

と考えた時に僕が思った「売れる」は、「たくさんの人に観てもらう」でした。

そうと決まれば、「チケット代は安い方がいい」に決まってます。

そうすれば、たくさんの人が足を運びやすくなる。「お金がないからいけない」人が来れる。「何度でも観たい!」っていう人も来やすい。

しかし、とある関係者に「俺が関わっている公演でチケット代がこんなに安いのは嫌だ」と、言われました。

これ、傲慢に聞こえるかもしれませんが、この発言をした方の実力が本当にすごいものだったので、これまた「はっ」としたのを覚えています。

目崎一人がやっていることで、「たくさんの人に安く届けたい」というなら勝手なのだけれど、他の人が培ってきたものの力を借りている「演劇」で、勝手に値下げされちゃあ困ってしまう人がいるわけなのです。

それこそ「商売あがったり」となる場合もあるのでしょう。

極端な話、三谷幸喜さんや野田秀樹さんや、そのレベルの人たちがチケット代2000円で公演を行っていたら、若手はみんな死んでしまいますよね・・・!

お金は、大体4つの割り振りがなされてます。

お客様が支払うチケット代やグッズ代・収入。
公演予算でもあるスタッフさんへのギャランティ・支出。
チケットバック?ギャラ?小劇場だと難しい、役者さんへのギャランティ・支出。
劇団の稼ぎ。これも予算から計算するとなると・支出。

このバランスなんですよね。

お客様にはなるべく安く良いものを観てもらいたい!関わって支えてくださるスタッフさん・キャストさんにはなるべくたくさんのギャランティを差し上げたい!劇団の稼ぎ・・・っていうか黒字っていうか赤字になりたくない!!

この鬩ぎあいが起こっています。

ということは、劇団が稼ぐには。

チケット代を高くする。(お客様への負担)
スタッフさんへのギャランティ、人件費を値切る。ケチる。(スタッフへの負担)
役者さんに課すチケットノルマを劇団が黒字になるように課す。(出演者への負担)

・・・こんなことしたくない!

その結果、たすいちの現在は3300円なんです。

劇場の規模や日数。やろうとしていることのクオリティにかかるスタッフの力。特にたすいちは「エンタメ」でやってます。スタッフワークで手を抜いたら一気に世界観が崩れます。

出演してくださる方のレベルアップ。赤字にならない、でもなるべく安くしたい、という調節。

旗揚げからしばらくは赤字続きでした。

いつまで赤字だったか、って、言うのが恥ずかしいくらい最近まで赤字だったし、黒字になった!これからずっと黒字だ!と思った次の公演で全然赤字になったこともあります。

一時期、200万くらいスタッフさんに支払いを待ってもらってたこともあります。一時期、がどの時期かはたすいちに詳しい方はお察しいただけると思います。

え、じゃあ演劇って稼げないじゃん!ってなるわけですけども、僕の中では「たくさんの人に観てもらう」が一つの答えになっています。

たくさんの人に観てもらう=売れる?

僕にとっての「売れる」は「たくさんの人に観てもらう」です。

これは、お金儲けがしたい、ではありません。

そりゃあ!お金あったら!うれしい!!けど!

でもそれは、お客様を騙したり、一緒に舞台創ってくれる人に辛い想いさせてまで得たいお金か、って言われたらそうじゃないんです。

そんなことしたら、一番の財産とも言える人脈がなくなってしまうことだとも思います。

なるべく安くお客様に観てもらい、関わる人にはなるべく多く支払いたい。

僕自身は「演劇を仕事としてずっと続けたい」という目標がある。

じゃあそれらを叶えるための「売れる」は「たくさんの人に観てもらう」なのです。

さて、冒頭の繰り返しになりますが、今回の記事は「小劇場の演劇よ、こうであれ!」という話しではなく、現在のたすいちと目崎がどういう流れでここに至っているのかを書いたコラムです。

あくまでも目崎の意見です。甘い意見もたくさんあると思います。

演劇で稼いではいけないわけではありません。創り手も受け取り手もみんなが満足して、そこでお金が生まれるならそれは悪いことではないはず。

でも、時々、「チケット代500円取る価値がお前らの芝居にあるのか!」って言われたことがある~って話をすると、「そんなこと考えたこともなかった・・・」という演劇人に会うことがあります。

今一度、お金を取っていることを考える一助になれたらなぁ、なんて思って書いてみました。

そしてたすいちはこんなことを考えていますよ、という宣伝でした。

お客様が第一です・・・!今後ともより良いものを作るために、どうか、みなさま、お力添えを・・・
具体的には、そう、友達を連れてくるとか・・・5人・・・いや、3人・・・とか・・・2人・・・とか・・・

目崎剛

1987年生まれ。生まれも育ちも神奈川県。中学生で演劇部に入部したことをきっかけに、どっぷり演劇漬けに。早稲田大学入学後、早稲田大学演劇倶楽部に所属、2007年12月に「たすいち」を旗揚げ。
「青葉区小中高生ミュージカル」の脚本・演出、「K中・高等学校演劇部」の外部コーチなど、演劇教育にも携わる。
好きな漫画は「ドロヘドロ」

コラムへの要望などありましたらお気軽にツイッターなどへ!
@mezaki_tasuichi

たすいち

カムカムミニキーナ、ポツドール等を輩出した早稲田大学演劇倶楽部から、2007年に目崎剛が旗揚げしたユニット。
『ありえない』設定を『ありえそう』に見せる屁理屈でちょっとファンタジーな舞台を創る。文学でも映像でもなく演劇でしかできないことを追求し、笑って泣けて考えられるエンターテイメントを志向する。

2011年1月より12ヶ月連続公演を敢行。2012年4月には吉祥寺シアターで本公演を行った。2015年、「劇王東京Ⅱ」にて、二代目東京劇王となる。その後、神奈川かもめ短編演劇祭で、短編演劇日本一(優勝は韓国だったため)となる。
2017年、10周年イヤーとして諸々企画、進行中!

公式サイト:http://tasuichi.wixsite.com/tasuichi

公演情報

たすいち10周年イヤー第2弾
第25回公演:「呪いならいいのに」
公演日程:7月23日(日)~30日(日)
場所:於 下北沢 シアター711
公演詳細:http://tasuichi.wixsite.com/tasuichi/blank-2

挿絵を描いた人:雑種( @_zassyu_

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