しばいのまちをご覧の皆様、初めまして。
この度、コラムを書かせていただくことになりました、「たすいち」という劇団の主宰で、脚本家・演出家、時々俳優をやっております、目崎剛と申します。
現在、「たすいち」は10周年イヤー!普段は毎年、長編本公演2本、短編で何かの企画に2~3回参加、といったペースなのですが、今年は長編4本、短編3本という目標で活動しております。
そんなタイミングでコラム…!大変…!と思ったんですが、僕はとても漫画が好きで、「連載」という言葉に完全にやられてしまったのです。憧れだったんです、「連載」…!
堅苦しい挨拶から入りましたけど、そんな気持ちなので、ゆるゆるとやっていこうと思っております。
そんな第一回目、自己紹介をしつつ、この堅苦しい挨拶に入る「肩書き」の話をしたいと思います。
目崎剛の肩書きは?
僕は、基本的には「たすいちの主宰」の目崎となりますけれども、いろんな仕事を浅く広くやっておりまして、具体的には
「たすいちの演出家」
「たすいちの脚本家」
「たすいち所属の俳優」であったり
「新宿シアター・ミラクル 事務所スタッフ」 であったり
「横浜市青葉区小中高生ミュージカルの脚本・演出」であったり
「K中・高校演劇部 外部コーチ」であったり
「某飲食店 フロア従業員」
であったりします。
色々やってます。そう、色々やってるんです!
こんな仕事をしているよ、と人に言うと「え!大変だね!」と言われます。
一つの仕事だけじゃなく、あの手この手で仕事を探しております。だから、友人、知人には、総じて「演劇をつくるお仕事してます」と言ったりしていますが、サラリーマンなどからすると、曖昧な仕事ではあると思います。
「掛け持ちの活動=働き過ぎ」の演劇人
そうして色々と掛け持ちして仕事をすることが多い演劇人は働きすぎの傾向があります。
普段はバイトで日銭を稼ぎ、バイト終わりや休日には公演の稽古が入る。丸一日のオフ、なんてなかなか無いのが現状です。
つい先日、「明日からバイト12連勤なんだぁ」と言ってる方がいました。
いやいや、今日稽古だったわけだから、演劇活動も「仕事」と捉えれば既に13連勤じゃないですか。というか昨日もバイトだったのでは?14では?あれ、一昨日稽古だったんじゃ…?休みは?と思うわけです。
色々な仕事に手を出している理由はいくつかあります。
1つは、お金を稼がなくてはならないから、ですね。小劇場、演劇だけで生きていけている人は悲しいかな多くありません。みんな何かを掛け持ちながら創作をしております。
目崎の掛け持ち
一つ、ぶっちゃけ話をしてしまうと、稼ぎとして一番いいのは「飲食店」です。
だからお金のことだけ考えたら、ほかの仕事辞めて、飲食店にずっといたらいいのです。というかそれ言い始めたら就職したほうが…ってなってきてしまう!
好きなことを仕事にしたい、と思っています。好きなこと仕事にしない方がいいよ、という意見もありますけれども、僕は楽しく仕事したい。そういう意味では今、とても自由です。
僕は中学生の時に演劇部に入りました。入部した理由は様々ですが、この時出会った顧問の先生の存在はとても大きかった。一時期、教職を目指していたこともあったので特に影響を受けました。卒業後も先生と連絡を取り、いろんな仕事をもらいながら、今も外部のコーチとして繋がっています。
そして高校生になり、青葉区小中高生ミュージカルに出演しました。今、そこで僕は前任の先生からバトンをもらい、脚本・演出を行っているわけです。
この二つの活動で、演劇は誰でもできる!という考えが備わりました。
ただ、「劇団の主宰」としては、演劇、というか俳優は「誰でもできる」ものであっていいのか?という葛藤があったりします。自分の内側で「劇団の主宰」と「市民劇に携わる者」で考えが相反しているんですよね。
自分のことながら興味深いです。この辺りもいずれ詳しく…。
「劇場勤務」と「飲食店従業員」は、どちらも演劇をやっていたことで声をかけていただけたから働かせていただいてます。幸運なことに、僕の今の生活はすべて、演劇を続けていたことで成り立っているのです。
世間一般から見た演劇人
現在の日本では、なんだかあんまり演劇というものが仕事として認められてません。
演劇やってる人だとありがちなんですけど、例えば警察に職務質問されるじゃないですか。
警察 「お仕事は何をされてますか?」
目崎 「たすいち、という劇団の主宰です」
警察 「・・・・?」
となるのです。だから、大きな仕事のくくりで考えられてしまうと、僕らは「フリーター」というくくりになってしまいがちなのです。
もちろん、言い方はいろいろあります。
クリエーター、アーティスト、などなど。でも、バイトしてたりすると、どうにも「フリーター」なってしまいがちなのです。
そしてそう呼ばれることがとてもはがゆい!と思っています。
演劇やってます、といつから言えるのか?
じゃあいつから演劇やってます、って名乗ったらいいのでしょう。
演劇やってる人なら経験があるのではないでしょうか。
演劇やってるんだよね、と友人に話した時の「すごーい。何かやってよー」という無邪気な無茶ぶり。「夢追ってるんだ、うらやましいよ」という、いろんな感情が渦巻く投げかけ。
世間に認められるくらいに活躍しないと、どうにもこうにも肩身が狭くなってしまうのです。
この問題は、色んなことが絡んでこうなってしまっているんだと思います。
このあたりのことも、いつか触れられたらいいな…なんて思っています。
これから発信していきたいこと
認めてもらうためには、たくさんの人に観てもらう。演劇に興味ない人たちにも振り向いてもらう。そういうことが必要なのだと僕は考えます。
なので、このコラムでは、
「小劇場の劇団の主宰で脚本家で演出家で俳優」
「劇場勤務」
「市民劇に携わる者」
「中学演劇・高校演劇関係者」
の目崎が、様々な観点からこぼれ話をしていこうと思っております。
演劇に携わっている方にとっては「当たり前」の話題が多くなるかもしれません。
でも、見過ごしていたことや、演劇に触れたことのない人にも楽しんでもらえるコラムにしてゆこうと思っております!
どうぞ、よろしくお願いします!
目崎剛
1987年生まれ。生まれも育ちも神奈川県。中学生で演劇部に入部したことをきっかけに、どっぷり演劇漬けに。早稲田大学入学後、早稲田大学演劇倶楽部に所属、2007年12月に「たすいち」を旗揚げ。後は上記の通り。次回にまたプロフィール作り直します。
たすいち
カムカムミニキーナ、ポツドール等を輩出した早稲田大学演劇倶楽部から、2007年に目崎剛が旗揚げしたユニット。
『ありえない』設定を『ありえそう』に見せる屁理屈でちょっとファンタジーな舞台を創る。文学でも映像でもなく演劇でしかできないことを追求し、笑って泣けて考えられるエンターテイメントを志向する。
2011年1月より12ヶ月連続公演を敢行。2012年4月には吉祥寺シアターで本公演を行った。2015年、「劇王東京Ⅱ」にて、二代目東京劇王となる。その後、神奈川かもめ短編演劇祭で、短編演劇日本一(優勝は韓国だったため)となる。
2017年、10周年イヤーとして諸々企画、進行中!
公式サイト:http://tasuichi.wixsite.com/tasuichi
公演情報
たすいち10周年イヤー第2弾
第25回公演:「呪いならいいのに」
公演日程:7月23日(日)~30日(日)
場所:於 下北沢 シアター711
公演詳細:http://tasuichi.wixsite.com/tasuichi/blank-2
挿絵を描いた人:雑種( @_zassyu_ )