あえてプロを目指さない。地方×アマチュアだからこそ出来ること(前編)【結成10周年:絡繰機械’s】

こんにちは。町長の加藤です。

しばいのまちでは「社会人をしながら演劇を続ける人達を応援したい」という思いと「地方で活動している人の力になりたい」という思いが密かにあったりします(しばいのまちのユーザーは4割は首都圏以外の地方)。

そこで今回は静岡県浜松市で結成10年を迎える劇団があると聞き、お話を聞きに浜松まで行ってきました!

浜松で活動する劇団「絡繰機械’s(カラクリマシーンズ)」は今年で結成10周年を迎え、「アマチュアだからこそ全力で好きな演劇をやる」という方針の基活動を続けてきたと言います。

地方で10年劇団を運営するとはどういうことなのか。何を考え、大切にして活動してきたのか、などを主宰の唐津匠さんと、劇団員のたばるともさんにお話頂きました。

聞けば聞くほど、発見と気付きのあるインタビューとなりました。

他の地方で活動している方々にも参考になるかと思います。

それではどうぞ!

絡繰機械’s(カラクリマシーンズ)

スピード感溢れるダイナミックな舞台が持ち味で、美術・衣装・照明・音楽などによる世界観の創出、個性的な俳優陣や多用されるギャグや身体表現など、観る人をも巻き込むハイスピードエンターテイメントが特徴。 寓意性の高いオリジナル戯曲と濃密な世界観で、その実力は高く評価され……ることもある。たまに。(公式WEBサイトより)

唐津匠

絡繰機械’s代表。脚本・演出のほか、音楽・照明・宣伝美術等を担当。
高校卒業後、都内の舞台照明会社に就職。浜松に帰郷後、広告制作会社に勤務。地元のアマチュア劇団の照明等を手伝うようになり、その傍ら自身でもプロデュース公演を行う。 2年ほどの準備期間を経て、絡繰機械’sを設立。
08年はままつ演劇・人形劇フェスティバルで上演した『阿吽』で最優秀賞(作品賞)及び特別賞(個人賞)、11年『親指アンダーワールド』で最優秀賞(作品賞)を受賞。

「絡繰機械’s」結成のキッカケ

ー今日は宜しくお願い致します。絡繰機械’sは今年で結成10周年ということですが、そもそも絡繰機械’sの結成の経緯を教えてもらえますか?

唐津
僕は元々、音楽活動をしていて、都内の照明会社に居ました。

その後、浜松のデザイン会社に転職し、そこで勤務している同僚に頼まれて、地元の劇団の照明等の手伝いをしたのが、僕自身の活動の始まりですね。

そこからプロデュース公演を打ったりして、2年位準備期間を経て、立ち上がったのが「絡繰機械’s」です。

一応、主宰ですけど僕自身は、今も感覚としては「芝居をやっている人の手伝いをしている」感覚ですかね。


ー主宰の方にお会いすると自分のやりたい作品をやるために劇団を立ち上げたって話をよく聞くので、主宰が「芝居をやっている人の手伝い」という感覚は珍しい感じがしますね。

たばるとも
そうですよね。主宰って、引っ張っていくというイメージを持っていたので、それを聞いた時に「手伝いか」となんだか不思議に思いましたけど(笑)

ーたばるさんは設立から入団しているので、10年目ですよね?どういった経緯で劇団に入ることになったんですか?

たばるとも
もともと大阪に住んでいて、浜松に仕事で引っ越すことになったんです。

お芝居観るのがすごい好きだったので、浜松って演劇あるの?って調べたら偶然、絡繰機械’sの前身となる団体を見つけたんですよね。

浜松は大阪と比べるとどうしても公演本数限られてますし、それなら実際に自分で演劇をやってしまえって思ったのがキッカケですね。

浜松市内のオシャレなカフェでインタビュー

浜松の演劇シーンと劇団の活動について

ー正直、私達もかつてのたばるさん同様、浜松の演劇の話ってほとんど知らないんですが、浜松ではどれくらい活動している劇団があるんでしょうか?

唐津
どれくらいだろう?年に1本公演を打つ劇団が、うちも含めて10団体くらいじゃないかな?どう?
たばるとも
そのくらいじゃないですかね。秋にフェスティバルがあるので、そこでみんな顔を合わせたりします。

でも、うちの下の世代っていうと学生演劇以外あまり聞かないですね。

ー劇団員の皆さんは社会人として働いている方達ですよね?

たばるとも
そうですね。各々普段は仕事をしながら、仕事帰りや休日に集まって活動をしています。

劇団員は、看護師や地元企業の会社員、自動車モデラーなんかもいます。

ー稽古や公演はどういった所で行うんですか?

唐津
稽古は駅から5分ほどの立体駐車場の1区画を使っています。

ー先ほど舞台セットを作成中の稽古場を見学させてもらいましたけど、結構面白い場所で稽古してますよね。かなり広かったですし。でも半分外なので、広いし、声も出せるし、叩き場にも使えてと、稽古には良い場所だなと思いました。

たばるとも
立体駐車場で稽古って聞かないですよね。半分外なので、夏と冬は大変だったりしますけど(笑)
唐津
公演で言うと、東京みたいな劇場は無くて、他の地方も同じだと思いますが、自治体が管理している施設のホール等で公演を行うのが一般的です。

今度の公演も「なゆた・浜北」という400人くらい入るホールでやりますね。

浜松駅徒歩5分の立体駐車場の一角を稽古場・叩き場として使用。

※ちなみに同じフロアに会議室スペースもあり、そこでも稽古をしているそうです。

ーどれくらいの頻度で稽古は行っているんですか?

唐津
基本は週1~2回で、本番前は連日行う様な感じですかね。他の劇団と近いと思いますよ。

ー社会人が仕事しながら、週に1~2回集まるって結構大変じゃないですか?

唐津
まあ、そうですね。なので、仕事でなかなか稽古に参加できない人がいれば、そこは柔軟に脚本を自体を変えたりして対応しています。

僕が作・演出をしているからできることなんですが例えば「本番まで、2回しか来れない」という役者がいたら、その2回の稽古で出来る配役にしたりします。

ー役者が稽古に参加できないなら、それに合わせて内容も柔軟に変えていくんですね。

地方でアマチュア劇団をやるならまずは〇〇を考えるべき

ーそもそも地方で劇団運営をするということ自体、首都圏等と比べると、今話した稽古とか、劇団員の確保、公演の集客も含めて、活動自体が難しいという印象を持っているのですが、初めはどんなことを考えて、劇団を立ち上げたんですか?

唐津
地方で社会人が劇団をやるのは一般的に言えば、確かに大変かもしれません。

そういう点でいえば、浜松で劇団を立ち上げるにあたって、まず浜松の「演劇の市場」について考えることから始めましたね。

一番最初に浜松にどれくらいの観劇人口がいるか計算してみたんです。

ー最初に観劇人口を算出ですか。面白いですね。

唐津
そもそも人口そのものが東京等と比べると少ないですし、演劇を観る人口も必然少なくなりますよね。それこそプロの有名劇団が来て、大きいホールで公演しても空席ができる、というのも現実としてありました。

なので、活動するにあたっては、この地域にどれだけ需要・市場があるのかって把握しておかないといけないなと思ったんです。

それで大体300〜350人が、浜松で演劇を見てくれる人の数だろうなと想定しました。


ー市場を見定めてから活動を開始するというのは、アマチュアの劇団ではなかなか持たない考え方だと思うので、新鮮に感じます。

観劇人口が限られた地域で劇団が大切にすべきこと、とは?

ーでは、まずはどれくらいの観劇人口がいるのか把握して、そこから劇団運営の方針なんかを考えっていったんですね?

唐津
そうですね。

300人位しか市場が無いところで、無理やり1,000人集客を目指して活動しても、結局、続かなくなってしまうのが分かるじゃないですか。

まずはそこにいる300〜350人が納得して、定常的に観てくれるまでは、何よりも「良いコンテンツ」をしっかり作ることに注力しようと考えて劇団の活動を始めました。

ーそうなんですね。「良いコンテンツ作り」って、ちょっとイメージが湧きにくいのですが。

唐津
お客さんは役者を観るだけ、脚本を観るだけ、ってわけじゃなくて、舞台の上にあるトータルの「お芝居」を観るわけじゃないですか。

良い脚本があって、舞台美術もお客さんが作品に入り込める様に工夫をして、そこにしっかりと芝居が出来る役者を出す、というトータルパッケージを考えて作られたものがが良いコンテンツだと思っています。

ーなるほど。「お客さん側から見たらどうか」という視点で考えられたトータルパッケージとしてのコンテンツですね。

唐津
アマチュアで活動している団体で良くあると思うんですが、ノルマ制で無理やりチケットを売って、なんとか来てもらうってとこに注力し過ぎると、コンテンツが疎かになっていきます。

先程も言いましたが、限られた市場のなかで、無理して一時的にお客さんを集めても、二度と見に来てくれない人を増やしているだけなので、そうならないようにまずは何よりも良い芝居・良いコンテンツを作ろう、というのでずっとやってきました。

たばるとも
ありがたいことに、そういった部分が認めてもらえて、この10年で評価も少しづつされる様になってきているのも感じます。

絡繰が好きですって言って来てくれる人も増えてます。

劇団員が20人→2人になっても変わらぬ作品作りの姿勢

ー地方のアマチュア劇団という立ち位置で、メンバーも社会人で、コンテンツ作りの追求って、特に大変な様に感じます。ちなみに劇団のメンバーは当時からあまり変わってないんですか?

唐津
実は、絡繰機械’s結成の準備期間中は希望者が20人位いましたが、たばるが来る頃には、2名だったっけ?
たばるとも
立ち上げ前から連絡を取っていて、たくさんいると思って来てみたら2人だったんです(笑)
唐津
先ほど話した「トータルパッケージのコンテンツ作り」というのを意識していたのもあって、地方のアマチュア劇団にしては結構ハードな事をしていましたからね。

舞台セット作りも団員皆でしたり、それこそ良い作品作りのために、妥協しないやり方をとっていました。

美術を作ったりとか、作品作りに手間をかけたりってあまり経験をしたことがない人が地方には多かったりするのもあって、合わない人もいました。それで結果的に2人になって、って感じで。

「そのやり方じゃダメだ」って言われもしましたが、やり方を変えずになんだかんだ10年やってきましたね(笑)

楽なことをして作る舞台よりも、やれることはしっかりやって出来上がった舞台の方が面白いと思ってやってきました。

うちは役者の中に美術が得意な者もいて、舞台セット等も手間をかけてやっているので、これを外注しようとすると多分莫大な費用がかかるんですけど、それを「自分たちでやっちゃえ」って言ってやれているのは、ウチの強みかもしれないですね。

たばるとも
役者としては贅沢な環境でお芝居が出来ているかと思います。セット1つでも、しっかりとしたものがあると、それで気持ちも全然違いますし、やる気にもなりますし。

絡繰機械’s

・WEBサイト:http://www.karakurimachines.com/
・Facebook:https://www.facebook.com/karakurimachines/
・Twitter:@karakurimachine

次回公演情報

ヨコシマデイドリーム
なんやかんやで、はや10年。いつも通りの、特別な公演。

舞台は島国の王国、海を渡った先の小さな島、そしてその先の大陸と、いろんな場所のいろんな時間を行きつ戻りつハイスピードに展開します。とある実在の人物、その人生をバラバラに分解し、様々な思索の下、舞台の上に組み上げてゆく愛しくも残酷なモザイク。その幾何学は、はたして何を描くのか──

石造りの塔に捕われた女と、小さな島に取り残された人々。そして白昼夢といえば、なんといってもやはり、ワニ。

■日時:5/27(土)19:00、28(日)10:30、14:30(開場は開演の30分前)
■会場:なゆた浜北(浜松市浜北区貴布祢3000)
■詳細:http://www.karakurimachines.com/yokoshima


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