演劇業界の底上げを目指す!?「逆オーディション」をやってみた【ひらたさおり】

はじめまして、こんにちは。演劇人サポート活動団体RRPL@りろぷら主宰のひらた さおりです。

先日は「しばいのまち」さんのご協力のもと、初めてのイベント主催を務めさせていただき大変貴重な経験をさせていただきました。

改めまして、関係者及び参加者の皆さま、本当にありがとうございました。

今日は、その先日行った実験的イベント「逆オーディション」をなぜやろうと思ったのかをお話させていただきたいと思います。

「しばいのまち」との出会い

「逆オーディション」を思いつく少し前に、「しばいのまち」のWebサイトと出会いました。

その時の私は、少しだけ演劇と関わり続けることに疲弊していて、自分はなんで演劇をやりたいのか、ということに疑問をもっていました。

「しばいのまち」で書かれてる記事は、上演作品の告知や宣伝ではない、演劇人の様々な赤裸々な想いがつづられていて、とても興味深く思いました。

サイトでは、色んな人が、演劇に不満や疑問を持ちながら、それでもなぜ演劇をやりたいと思うのかということが書いてありました。

私も、もっとたくさんの人にそんな話を聞いてみたいと思い、取材ライターをやらせてもらえないだろうか、と「しばいのまち」に連絡をしたのがはじまりです。

記事作成から企画実行へ

実際に「しばいのまち」の運営の方々とお話をしたところ、私自身の演劇への思いがたくさん溢れてきました。

そこで、「取材ライターももちろんやってもいいけど、ひらたさん自身の気持ちも一度記事を書いてみたら?」と提案をされました。「とにかく挑戦してみよう」と思い、ペンを手に取りました。

まずは自分の考えを整理しようと、マインドマップのようなものを作り、思いつく限りの演劇への思い、魅力、不満、問題点、を書き出しました。そしてそれをまとめて記事にしようとしてみました。

しかし、その時丁度演劇に疲弊していたせいもあると思うのですが、問題提起といえば聞こえはいいけれど、愚痴のような記事が出来上がってしまい、それがとても嫌で、書いては消し、書いては消し、を繰り返していました。

「やっぱり自分は演劇を愛していないのかもしれない」
「辛くても苦しくてもやろうって気概がないと演劇なんてできないんじゃないか」
「…もうやめてしまおうか」

そういった思いが頭を駆け巡りました。そんな時、もう一人の私が言いました。

「ああ、一人の演劇人が、演劇ファンが、演劇と関わるのをやめてしまう!なんてもったいない!」

私が私という演劇ファンを引き留めるための方法

私は「演劇」というコンテンツが発展していくことを心から願っています。

いま演劇との関りを断とうとしているこの私は演者であると同時に、演者であるからこそ観劇にも積極的に足を運びます。私の目の前にいる私という演劇ファンの一人、これを逃してどうして演劇の発展があるでしょうか。

私は私という演劇ファンを、引き留めるためにはどうしたらいいかを考えました。そうして思いついたのが「逆オーディション」だったのです。

早速「しばいのまち」に「逆オーディション」の話をしました。記事を書くのではなく、ある企画を思いついたのでやりたい、とお話したところ、「しばいのまち」運営の皆さんはすぐ「よしやろう!」と言ってくれました。

そしてプレイベントの日程までも、その時のミーティングで決めてしまうのですから、内心とても焦ってしまいました。しかし、それで本当によかったなといまでは思っています。

プレイベントをやってみて思ったのですが、「やってみる」というのは本当に重要なことなのです。「しばいのまち」の方々の後押しがなければ、いまだに頭の中でぐるぐると理想を反芻するままだったかもしれません。

「逆オーディション」とは

改めて、「逆オーディション」とはなにかをご説明します。

通常のオーディションは、複数の役者が、劇団の主宰に対しPRを行い、出演者として選抜してもらいます。

「逆オーディション」はその逆で、複数の劇団の主宰が多数の役者に対してPRを行い、それを見た役者が、出演したいと思った劇団を選び、出会ってもらおう、というイベントです。

「逆オーディション」の目的とそれに期待する効果

「逆オーディション」の目的は、参加団体及び参加者が、自分と同じ方向性の演劇人と出会うことです。

演劇人が、目指す場所や意識が似た団体を探すお手伝いをしたいと思っていますし、もう少し広い見方をするならば、演劇業界全体で、方向性や意識の高低差による「住み分け」ができていけばいいなとも思っています。

この「住み分け」を実現すれば、演劇業界全体の底上げができるかもしれない、そう思ったのが「逆オーディション」をやってみようと思った理由のになります。

私は、この「住み分け」が実現すれば、2つの効果が得られると考えています。

  1. 各団体の演劇のクオリティの向上
  2. 演者を含めた演劇ファンの増加

です。これらの効果を得られれば、より質の高い演劇を作る団体が増え、さらには観劇人口の増加も望めるのではないか、と考えています。

なぜそれらの効果を期待できるのか?

1.各団体の演劇のクオリティの向上

座組は一度本公演への稽古が始まってしまうと、メンバーの入れ替えなどは簡単にはできません。

仮に稽古が始まってから、座組の一人の役者が団体との方向性の違い、意識の差を感じ、それが表面化してしまった場合、役者のモチベーションは大いに下がってしまうことが考えられます。

本番が近ければ近いほど降板は難しく、問題に折り合いがつかなければ、団体はモチベーションの低い役者を抱えたまま本公演を迎えることになります。さらにその役者の宣伝意欲も下がり、売り上げにもその影響は出る可能性があります。

こういった、芝居そのものでなく、役者と団体とのコミュニケーションのズレによって本公演のクオリティが下がってしまう団体が、少なからずあるのではないか、と私は考えます。

そこで、座組を組む前に「逆オーディション」を行うことによって、団体から方向性を示し、また役者と主宰が対話を行う機会を作ることによって、こういったズレを予防し、座組の団結をより固め、作品のクオリティを向上させることができるのではないか、と考えました。

2.演者を含めた演劇ファンの増加

今後「逆オーディション」は、敷居をより下げて誰もが参加しやすいイベントにしていきたいと思っています。

これまで全く未経験だった人も、役者をやってみようかな、というきっかけにもなればいいなと思います。そしてそのきっかけ作りは、観劇人口の増加を見込める可能性を秘めているのではないかとも考えています。

「しばいのまち」の運営小池さんは、もともと演劇に深く携わっていた人ではないそうです。私が初めて小池さんにお会いした日、そんな人ならではの、こんな言葉を投げかけてくれました。

「演劇が好きな人って、結局演劇をやってる人なんですよ」

これは至極最もな意見だと思ったのです。

それならば、趣味で演劇をやる人がもっともっと増えれば、演劇ファンの絶対数が増え、観劇に興味を持つ人も増えるのではないでしょうか。

「主宰者同士の交流」という思わぬ効果

実際にプレイベントを行ったことで、実施するまでは考えていなかった思わぬ効果を発見しました。

それは「団体主宰者同士の交流がもてる」ということです。

「逆オーディション」では役者にむけて各団体がプレゼンを行いますが、参加団体の皆さんも他の団体のプレゼンを見ることになります。なので、自分の団体以外がどのような考え方で運営をしているのかを知るきっかけとなり、興味深いという声をきくことができました。

イベント終了後には参加団体の皆さんを集めた懇親会を開催させていただいたのですが、これもまた好評で、私自身も大変有意義に感じました。

「逆オーディション」プレイベントも、企画段階で参加団体の方々からもご意見をいただき、反映させていくことで、当初予定していたものより実り多いイベントとなったと感じました。

劇団の主宰同士というのはライバル関係ともいえるのかもしれませんが、このような交流の場をもつことで互いに協力し、刺激しあえる関係になれるのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか。もしこの記事を読んで賛同してくださる方がいらっしゃれば、どんどん「逆オーディション」や、これに類似するイベントを開催していただければいいなと思います。

この考え方が広まり、数が増え、規模が大きくなるほど、この理想に近づいていくはずだと考えるからです。

私自身、演劇を愛するすべての人々の、発展と繁栄のため、まずは第1回、そしてそのあとに続くイベントに向けて精進していきたいと思っております。

次回イベントの告知とイベント名変更のお知らせ

※終了
第1回「逆オーディション」改め「演カツ!」
運営:RRPL@りろぷら
5/20 17:00~20:00 開催予定
詳細:https://riropura.amebaownd.com/

記事上で何度も「逆オーディション」と表記しておいてなんなのですが、次回より、イベント名を「演カツ!」に変更することになりました。

「オーディション」という単語では「固い」「ハードルが高い」というイメージがあり、また、あくまで役者の為のイベントであるというイメージが付きやすかったため、制作の方や興味本位での参加者を遠ざけてしまっているのではないか、という懸念があったためです。

できる限り敷居を下げ、たくさんの人に参加をしていただきたいイベントであるため、タイトルを変更しました。

改めまして、新しいイベント名は「演カツ!」です。これは「就活」「婚活」といった言葉から着想を得たネーミングとなっております。

一緒に作品を作り上げていく座組というのは運命共同体であり、その出会いはまさに就職活動や、結婚相手を探すことと同じくらい大変で大切なことだと思います。そのマッチングを図るこのイベントの名前として、これ以上ないほどピッタリの名前になったように思います。

ひらた さおり


2017年から演劇人サポート活動を開始。
「逆オーディション」改め「演カツ!」など、現在活動中の劇団や役者のこれからの活動に役立つ企画を考案、実施していこうと奮闘している。

役者としてなら動けるぽっちゃり系。出オチやいじられキャラに最適
Twitter:@alumi2um


第二回しばいのまちオフ会開催!



10/28(土)13:00〜開催!