表情豊のはしくれ水滸伝 第二回「あなたならどうする」

突然ですが、私は本番前、必ず座組の皆にこんなことを言います。

「TSUTAYAでは、名作の映画が一本百円で借りられる。一度借りてしまえばその百円で何度でも、自分の家で、自分の好きなタイミングでその映画が見れるのだ。しかし我々はどうだろう。お客様に往復の交通費を払って頂き、チケット代を払って頂き、お客様の貴重な時間を二時間ほどお借りし、座り心地の悪いかもしれない椅子に縛り付ける。その上、見ている間は飲み物も食べ物も摂取してはいけないというルールを課し、携帯すらもいじるなと言い、タイミングのいい時には笑ってくれなどと言う。つまり我々は、とんでもないことをやろうとしているのだ」

締めくくりはこうです。

「それをわかった上で、板の上に立ってくれ」

…いや、まあ、実際こんな感じで言いませんけどね。「頼むよ~みんな~いい芝居してよね~」くらいの、フランクな感じで言いますけどね。腹立ちますもんねこんな口調の演出家。

で、つまり、何が言いたいかっていうとですね。

芝居って、つまんなかったらマジ地獄だぜ、ってことなんです。

あ、でも待って下さい。面白い、面白くないっていうのは個人の主観なのでアレですし、別にここで妙に自分の演劇論が語りたいとか、じゃあ、その「マジ地獄」をお客様に味合わせないために、面白い舞台を作るためにどうするか、とか、そういう…いやそういう記事の方が皆さん読みたいのかもしれないんですけど、私が今言いたいのはそういうことじゃなくてですね、

こういう時皆さんどうしてます?って話なんですよ。

「マジ地獄」どうしてますか?

「しばいのまち」様は演劇人向けのサイトということで、「演劇人が演劇人の(まあ主に知り合いの)芝居を見に行き『マジ地獄』だった場合、皆さんどんな感じにしてますか?」って事をお尋ねしたいんです。

私も若い頃は「ハア!?なんだよこの芝居!やめちまえよ!金返せ!ファック!!」等と、中指を盛大に立てたりしたもんですが、もういい加減年も年だし、ていうかそんなことしてたら嫌われちゃうし、絶対そんなやつモテないし、ここ日本だし。

基本的には「サッと帰る」パターンが多いんですが、この画像のように客出しで演者につかまってしまったり、そしてその演者が妙にいい顔で芝居について語りだしたり、「感想をくれ」と口に出さないまでもなんというか禍々しいオーラで訴えてきた場合、皆さんはどのように対応してるんでしょうか。

それぞれの対処法

「つまんなかったよ」
とザックリ言ってしまうのか。

「ちょっと自分の趣味には合わなかったかもね」
とオブラートに包むのか。

「面白かったよ」
と嘘をつくのか。

「ところで佐村河内って今何してると思う?」
等と、全然関係ない話をはじめるのか。

まあ、その演者との関係性もあるんでしょうが、私は嘘をつくのが苦手なので、「面白かったよ」っていう、大人の対応ができないんですよね。

なので結果その場では「あー」とか「うー」とか知能指数低めに唸ってやりすごし、もしその演者と時間が作れるのなら、もう正直に話す、っていうのが最近のパターンです。

自由のないSNS

あとはとりあえずその場を去った後、LINEやメールでフワッとした感想を送って、Twitter等にはそもそも見に行ったことすら書かないとか。

そう、この「Twitter」とか、「FACEBOOK」とか、所謂「SNS」ってもんが曲者で、「あの公演は感想を書いたのに、こっちの公演については書いてない」とか、そういう面倒なことが増えたりして、知り合いが増えれば増えるほどそういうのは多くなったりしちゃったりなんかして。

じゃあそもそも「何も書かなきゃいいじゃん」って話なんですが、私は本当に面白い!と思ったものは広めたいタイプなので、そういうわけにもいかないんですよね。いかないんですよねって、知らんがな、って話なんですけど。

私が演劇関係者でなく本当にただの「お客様」なら、もうそれは、本当に思ったことを言っていいし、書いてもいいし、拡散してもいいと思います。ていうか、お客様はそうであって欲しい。

演劇関係者であっても何であっても、芝居を見に行っている時点でそれはもう一人の「お客様」である、という意見もわかります。そして私もそう思います。

まとめ

しかし如何せんこの「演劇界」。広いようでいて、とてつもなく狭いわけで。

もうね、一人に嫌われたら百人に嫌われてると思ったほうがいいですよね。一人に好かれても百人に好かれてることにはならなかったりするんですけどね。なんででしょうね。人間の業ですかね。そんな大きい話じゃないですかね。

実際、劇評ツイートみたいなものは「良いものしかリツイートしない」みたいな風潮も一部である気がします。そりゃあどんな芝居も絶賛の嵐になりますよね。役者が役者の友人知人を呼んでいて、悪口書いたら悪口を書き返される、みたいな、本当にくだらないことが起きた事例があるんですよ。嗚呼、悪循環!!!

もちろんそんなこと関係なしに、お互い素直に感想を述べあうのが健全で、あるべき姿なんでしょうし、私もそうありたいとは思いますが、なかなかそうもいかないな、ってことで、今回はそういう四コマを書いてみた次第であります。

角が立たず、嘘もつかず、嫌われず、なるべく真摯に、「クッソつまんなかったよマジ地獄だぜ!」ということを相手に伝えるためには、どうすればいいんでしょうね?

ああ、そもそも…伝えなきゃ……いいんでしょうかね………。

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表情豊

表情豊
「HYP39Div.」主宰。脚本、演出、出演、だけに留まらず、コラム、イラスト等、頼まれれば大体のことはやる女。人生で一度も痩せていた事がない。横スクロールのゲームをやると吐く。
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