劇団の制作を14年してきた私が、20歳の頃の私に伝えたいこと_2

飲んでますか?こんにちは。琴子と申します。劇団の制作を経て、現在は演劇でない仕事をしている41歳の飲んべえです。

ところで、今年から自宅マンションの管理組合の役員をやることになりました。

急にこんな話を始めてごめんなさい。でも、ちょっと聞いて頂けますか?

マンション管理会社の担当者Kとのやりとり

「今期の役員はこの人達であると記載されている議事録に役員が実印を押印して登記する」というのを、マンションの管理会社がやるわけですが、これをすることだけで、びっくりするほど時間がかかりました。

12月21日

役員の初顔合わせで前期の会長さんが「役員の方は確か押印する必要があるんじゃない?」と言ってくれたが「いえいえ、大丈夫です!」と管理会社の担当者K。

12月28日

「すみませんが役員の方の実印の押印が必要でした。印鑑証明書も必要です。1月10日までにお願いします」と担当者Kから連絡くる。なぜ一週間も経って言うのだろう。しかも、もう年末だっつーの。

1月7日

印鑑登録できる判子を持っていなかったため、新しく作った判子が到着。しかし、私は仕事があり印鑑登録しに区役所へ行けるのは最短で13日だ。

仕事があるため印鑑登録できる日が13日になるので10日に書類が提出できないんですが大丈夫でしょうか?
担当K者
それでは、10日に書類だけお受け取りにお伺いしてよろしいでしょうか?
それは印鑑登録していない判子で押印するということですか?ただ、もしこの判子が印鑑登録できない判子だった場合、問題あるのではないですか?
担当K者
申し訳ありません。お手数かけますが登記には印鑑証明書が必要となりますので、印鑑登録をしてからでお願い致します。

だーーーーーーーーーかーーーーーーーーーーーーーらーーーーーーーーーーーーーーー。
わかっとるわ!最初からそう言ってるじゃん!日本語通じないのか?怒りを抑えながら再確認。

では、13日に提出するということでよろしいでしょうか?
担当K者
それで結構です。よろしくお願い致します。

いかがでしたか?イライラしますでしょう?しかし、担当Kがきちん責任を持って仕事していたら、早期に書類提出できたと思いません?

仕事をするプロ意識の無さが大きな問題

「仕事をする」というプロ意識が無く適当に仕事をしているからこういうことになるのです。

担当Kは、とにかく適当に話を聞いて、確認もせずに適当に返事をする人。私は初めて会って10分でわかりました。

適当に返事をするから自分で自分の首をしめることに・・いや、自分の首ならいいけれど、他人ましてやお客様に迷惑をかけている。期日までに書類を受け取れないのはすべて適当に仕事をしているせいなのは明らかです。

仕事=お客様に価値を提供すること

自分がした仕事に対してお金をもらうこと。お金をもらうということは、対価に値する仕事をするのは最低限のルールです。

お客様にとって支払う価値がある事をするのが「仕事をしている」といえると思います。お客様にお支払して頂くのには、どうすればよいだろうかと考え、信念を持って実行することが「仕事をする」ことだと思うのです。

ちなみにボランティアはどうか?小劇場でもよく見かけますね。ギャラは出せないんだけど、芝居は見せるから客入れ手伝ってとかね。この手伝いに行く場合、ギャラが出ないんだから、適当にやるのは仕方ない?いいえ、違います。

やると決めた以上、ちゃんとやるべきです。お客様には関係ない事ですから。

信念のない仕事はお客さんに見抜かれる

信念を持ってやっているかどうかはお客様には確実に伝わります。「ギャラは貰えないから適当にやる」という姿勢なら、やるとはどうか言わないでください。

私も最初は「仕事する」ことがどういう事かちっともわかっていませんでした。教えてもらったこと、言われたことをその通りにただやるだけでした。

私の失敗談

入社して間もない頃、チケットの受付をやっていた時のことです。

目の前にいるお客様のチケットが見つからない。お客様は出演者に頼んで指定席を予約してあるはずだという。でも受付にそのチケットはない。

代わりになる指定席も空いていない満席の回だったので仕方なくギューギュー詰めになる自由席のチケットを販売しました。

でも、そのご予約はやはりあったのです。役者さんにチケットを手渡してありました。そのことを役者さんに報告すると「俺に聞けばよかっただろ!」と怒られました。

でもチケットを受付に出すのを忘れたから悪いんじゃん!と、怒られた時は思いましたが、よくよく考えたら、全くもってその通り。

自分の仕事を信念を持ってやっていなかった

チケット管理をするのが私の仕事なのだから、その時に役者さんに聞けば「おお、ごめんごめん。ここにあるわ。受付に出すの忘れてた」となり、私が受け取って、お客様にチケットをお渡しできた。

そうでなければ、販売履歴の控えを見て確認すれば、確かにお客様は指定席を予約していることはわかり、例えチケットそのものがなくても、せめて予約したお席にはご案内できました。

手元にチケットがないからと適当に対応して、お客様と役者さんに嫌な思いをさせてしまいました。

時間をかけて劇場に来て、早めに予約したはずなのにチケットがないと言われ、指定席に座れずギューギューの席で観るはめになったお客様。1枚でも多くチケットを売ろうとしているのに、スタッフのせいで、大事なお客様に自分の舞台を気持ちよく見てもらえなかった役者さん。

この時、私は、取り返しのつかない大変なことをしてしまったのだということに気付きました。演劇はライブ。生もの。一期一会。10回公演があっても10回全て同じステージということはありません。

今でも、この時の事を思うと胸がキュッとなります。この時から、私の「仕事をする」意識は変わりました。

「仕事は段取り。一にも二にも段取りだよ」

この言葉は、旅公演の時、トラックで道具を運搬してくださっていた名ドライバー、故・三平さんの教えです。

東北・北海道地方で雪のため交通機関が不通になったとき、本番に間に合わせるためには予定より早く出発しなくてはならない、その判断をするためには制作が前日から天気予報や交通機関の運行情報を気にしていなければだめだよ。

そう教わった時に、交通機関が止まるんなら仕方ないよねーと思っていた自分を恥じました。

三平さんは『どんな理由があろうとも何が何でも道具の到着は送らせてはなんねえ!楽しみにしている方達が待ってる!!』という信念がありました。当時の私はそういう信念は薄っぺら〜いのしか持ち合わせていませんでした。

座長の信念

こりゃこのままだと赤字だというぐらいチケットの売れ行きがよろしくなかった公演で、座長(B作さん)が「ハガキを印刷してチケットありますとDMをもう一度出すのだ」と言った時、いやいやだから赤字になるからこれ以上経費なんかかけられないわ!と話しましたが、とにかくやれ!の一点張り。

この頑固じじい!と思いましたが、これが大正解。

ハガキの印刷代、通信費もペイ出来て、このDM経費を上回る予約がたくさん来ました。

「もう一回DMを出しても予約が来ないなら企画そのものが良くなかったのかもしれない。でも、これは絶対に観てもらいたい作品なのだ。やることをやって赤字なら仕方ない!」という座長の信念を貫いた行動の結果でした。

赤字になるかもよ?という制作の言葉を跳ね除けた信念。プロの仕事とはこういうものかと見せつけられました。

そうして、信念をもった方々と共に仕事をすることで、私自身も「信念」を持って仕事をしなければならないと思うようになったのです。

私の信念

私の仕事は演劇の制作。お客様にチケット代をお支払していただくにはどうすればよいか、どんな作品であればチケットを買ってくれるだろうか、と考え抜きます。

役者・スタッフは稽古を重ね、お客様に楽しんでいただける作品になるかどうか毎回勝負。私はその作品をより楽しんでもらえるよう環境を整えることが毎回勝負です。

お客様に喜んで頂くには「観に来てよかった」、「観に行けなくて悔しかった」と思えるような作品をつくる。

そういう良い作品をつくるには、役者さん、スタッフさんが気持ちよく仕事が出来るようにする。気持ちよく仕事が出来ると作品が良くなる。作品が良くなるとお客様が喜ぶ。

お客様のために動く。劇団員のために動く。スタッフのために動く。例え座長であろうとも意見をぶつけて、信念を大切にしてきました。

私は演劇もサービス業だと思っています。

つまり「お客様のために」すべてを段取りすることがいい作品づくりに繋がっていくのではないか。それが出来るのが、いやするのが「制作」ではないかと。

私がそれに気付けた時こそ、演劇の制作という仕事は面白い!こりゃ天職だ!そう思えた瞬間でした。考えてみれば、もともと接客業も好きだったし、人が喜ぶ顔をみるのが何よりも好きな私にぴったりの仕事だったのです。演劇も好きだしね。

まとめ

制作って何やる人だろう・・?と思いながら飛び込んだ世界でしたが、飛び込んでみてよかった!グッジョブ!24歳の私。

最初は役者になりたかったけれど、そっちじゃなくて、演劇の制作者になれました。しかも、どこの世界でも通用する「プロの仕事」の仕方も学べた。

もし、これから演劇やるかどうするか、迷っていらしたら、とりあえずやってみてはいかがでしょう。うげっ。全然楽しくないよと思ったら、「うん。演劇やってみたけど、私には合わないみたい」ということがわかってよかったじゃないですか。次のやってみたいことに挑戦できます。

様々なご縁にも感謝しています。ただ、演劇に限らず何でもそうだけれど、やると決めるのは自分。親でもなく先生でもなく彼氏でもなく彼女でもなく自分。自分の人生一度きりだもの。

琴子

1975年生まれ。埼玉県出身。桐朋学園芸術短期大学演劇専攻卒。短大同期の凄さに圧倒され、演劇を半ば諦め派遣会社で働くも、ひょんなことから劇団東京ヴォードヴィルショーに入社し制作部に14年間所属。結婚を機に退団。お酒が大好き。


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