「アマヤドリ劇団員が語るー劇団に入る良さ、入って良かったこと」アマヤドリ:小角まや〜アマヤドリ15周年公演「銀髪」特別企画〜

アマヤドリ劇団員の小角まやです!
今日はですね、劇団に入るメリットや入って良かったことを劇団員の視点から綴ってみたいと思います。

同期で立ち上げた劇団・数十人の劇団員がいる劇団・作家と俳優たった二人だけの劇団、と様々な形があると思うのですが、どんな形にせよ、「劇団には断然入った方が良い!」というのが私の意見です。

さらに「入ったからには簡単には辞めないで、腰を据えてやったほうがいい!」とも思います。(アマヤドリと関わり始めてたった7年、劇団員になってまだ5年足らずの私が「腰を据えて」と書くのはおこがましいですが…)

“現在フリーで活動していて、劇団に入ったほうがいいのか迷っている人”
“劇団に入っているけど、辞めたい気持ちがある人”
こんな方々に向けて、
「劇団に入る良さ、入って良かったこと」を語ってみたいとおもいます。

じっくり腰を据えて実力をつけられる、挑戦させてもらえる。


※2013年本公演『太陽とサヨナラ』より

多くの人は………。
絶世の美女でも、誰もが認めるイケメンでも、世界中から絶賛される天才でも、ないですよね。

自分の才能や可能性を信じないと俳優という厳しい道は続けていけないとは思いますが、まずは自分が「普通の人だ」と認めることが第一歩ではないかと思います。

「普通の人」が一流の俳優として通用するようになるためには、「実力」が欠かせないと思うんです。

若いうちに花開くのはほんの一握りの人だけ。
夢を見たい気持ちも理解できますが、腰を据えてしっかり実力をつけたうえで、花開かせる!という長い目で、自分の俳優人生を眺めるのもなかなか楽しいものです。

実力をつけるならば、劇団に入るのはとっても良いことだと私は考えます。

まず、同期同士で立ち上げた劇団であれば、その劇団なりの”方法論”を築き上げていく一員になれるわけですよね。夢の遊民社や第三舞台、青年団、ク・ナウカ、SCOT、偉大な劇団の旗揚げメンバーには今の演劇界の第一線で活躍する方が非常に多くいらっしゃいます。劇団の方法論を模索・確立していく過程は、自立した俳優を育てるのだと思います。

私のようにすでに劇団が活動開始して何年か経った後に劇団に入る良さとしては、作家・演出家や先輩劇団員との間に演劇の経験値の差があるので、自分の知らないことを学べるという良さがあります。

十代の頃から劇団にお世話になっている身としては、本当に沢山のことを学ばせてもらいました。
言葉で教えてもらったこともありますし、「役」という学びの場を与えてもらうことで気づいたことも多くあります。


※2016年本公演『月の剥がれる』(再演)より

これはアマヤドリ特有かもしれませんが、主宰の広田さんは、劇団員に挑戦する機会を与えてくれます。

自分の個性とはかけ離れた役柄をやる機会、自分の実力からは見合わないハードルの高い役をやる機会。客演だとなかなか得難いチャンスだと思います。なぜ広田さんはそういう機会を劇団員に与えるのか?多分、作・演出家にとってもメリットがあるからなんですよね。

もしも同程度の実力の俳優がいるとして、次出てくれるかわからない俳優より、次もその次も出てくれるという前提のもと付き合っている劇団員に、より良い俳優になってもらうほうが、明らかに劇団の財産になるからです。

……とは言え、アマヤドリは本公演では劇団員以外に良い俳優さんを沢山お呼びすることが多いので、劇団員ばかりが毎回良い役をやるということも叶いません。(そこはシビアなのです!)

私もたった5年でも何度も悔しい思いをしてきましたし、悔しい思いをした別の人をたくさん励ましてきました。


※2014年雨天決行『水』(再再演)より

アマヤドリでは、本公演とは別に「雨天決行」「道草公演」という別レーベルの公演を定期的に行っています。劇場・出演者数共に小規模の古典戯曲や過去作品の再演を劇団員中心に行います。

このような小規模公演の際に、本公演ではなかなかやれないような大きな役・重要な役・難しい役・自分には似合ってない役をやり、実力をつけることができます。アマヤドリの若手劇団員たちはこの経験を活かし、本公演で実力のある客演さんを前にキャスティングの戦いに挑むのです。

これも、じっくり腰を据えて実力をつけられる側面のひとつです。

出会いが広がる。劇団のブランドに後押ししてもらえる。


※2017年本公演『銀髪』サブビジュアル

私はこの5年間、アマヤドリ以外にいくつかの劇団さんに出演させていただきました。

SPAC、DULL-COLORED POP、カムヰヤッセン、劇団競泳水着、EPOCHMAN…などなど。オーディションでとってもらった場合もありますが、アマヤドリの公演を見てオーディションに誘ってくださったり、公演を見て声をかけてくださった団体がほとんどです。

「俳優・小角まや」個人よりも先に、「アマヤドリ」や「主宰・広田淳一」、もしくは「他の劇団員」とその団体が繋がっていて、その延長で私も出会うことができ、ご縁に繋がった、そんなことばっかりなんですね。

もちろん、どの団体さんも確かな厳しい見る目を持った方々ばかりですので、ちゃんと選んでいただいたということは信じているものの、きっと、「広田さんのとこの子だ」という信頼感もあると思うんです。それは私個人では決して築き上げられないものですから、劇団にはただただ感謝しかありません。

推測でしかないですが、「アマヤドリ」という名前が付いてるからお誘いいただくこともあると思います。実際に上に名前を挙げた劇団以外にも、いろいろな団体からお誘いいただく機会が増えました。

フリーで活動してたら今ほどは声をかけてもらえなかっただろうと思います。劇団のブランド力って、例えばチラシを見た時に、見たことない名前でも後ろに知ってる劇団の名前がついてると、「あの劇団の人が出るんだ〜」なんて気になる、なんとなく記憶に残る、そういう力だと考えます。

劇団にせよプロデュース公演にせよ、主催者側が観客のそういう意識や信頼感を求めるのは当然のことだと思います。

人として成長できる。人が成長する姿を間近で見ることができる。


※2015年本公演『すばらしい日だ金がいる』より

たった5年でも、劇団員同士の繋がりは相当濃いものになっていきます。それはある意味家族のような、宿敵のような、運命の相手のような、不思議な関係です。

人間関係そんなにうまくいくことばかりではないです、正直(笑)。ましてや、劇団員同士は常に比べられる同士ですから、妬んだり気に食わなかったり憎しみあったりする瞬間があって当然だと思います。

アマヤドリも勝ち気な若者、とりわけ気の強い女性が揃っておりますから———私ももちろんその筆頭ですが———、まぁ、バチバチしています。

ところがですね、1年ほど前まで不必要なくらいただただバチバチしていた気性の激しい私が、なんだか最近、「あぁこの人のこういうところは本当に良いなぁ」とか思えることが増えてきました。

むしろ、「この人のこういうところは本当にどうかと思うけど、こういう部分がなきゃこの人じゃないよね。」みたいな……、なんて言うんですか、“ありのままを肯定する姿勢……?”が、備わってきたんですよ!これはもうすっごい楽しいことで、信頼のステージを一個あがれたと言いますか。

逆に、自分の恥ずかしい部分・みっともない部分も劇団の皆さんには相当お見せしてしまっているので、誰に嫌われていても納得、という感じなのですが、本音は別として表向きにはそんなことを全く感じさせないで付き合ってくれる劇団のみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。


※2014年雨天決行『ヘッダ・ガーブレル』より

長く一緒に居ても解り合えない部分ってあるじゃないですか。今までは解り合えないことを悲しく思ったり、怒りをぶつけたり、とにかくマイナスの感情に変換してしまっていたんです。

だけど、最近は「私の基準はあくまで私にとっての基準で、相手の基準は相手が決めるもの。常識なんて存在しない」なんて考えられるようになりました。

劇団員と「友達になろうとする考え」を捨てたんです。たぶん、これがとても良かった。友達になれなくても、作品を作る仲間として信頼できるし繋がれる。友達じゃないから、いい劇を作る為にはっきりものを言えるし、気まずくなることを恐れて言葉を飲み込む必要もない。

その分、失敗しても、みっともないことしても、大好きではいられなくても、ここに居ていい。作品を作ることに真摯なのであれば。

今はそんな風に考えています。ドライかな……?
でも私には、そのくらいの距離感のほうがしっくりきます。
これらは、沢山ぶつかってそれでも一緒にいてくれた広田さんや劇団員の皆さんが居たからこそ、気づけたことで、間違いなく私の成長できた部分です。


※2014年ロングラン公演『ぬれぎぬ』より

たった5年でこれですから、主宰の広田さんとうちの先輩・中村早香さんや笠井里美さんはもう10年以上の付き合いなわけで、そこまで続けていられたらどんな景色が見えるのか、今から楽しみで仕方ありません。

先輩の力を借りて自分が成長できるように、後輩の成長も間近に見ることができます。私は決して良い先輩ではないと思うけど、人が変わる姿って、本当に感動的です。

自分も通ってきた道だったり抱えていた悩みに挑んでいる後輩にいつも、好き放題・言いたい放題言うという形で応援することしか出来ないですが、「この人って入った頃にはこんな行動とれなかったよね」「こんな言葉言えなかったよね」ってな瞬間に出会うと、それはそれはもう感動します。とてもお金にはかえられない、かけがえのない体験です。そんなところも、劇団に入る良さだと思います。

まとめ。


※2016年本公演『月の剥がれる』より

最初に、「劇団に入ったからには簡単には辞めないで、腰を据えてやったほうがいい!」と書きました。
今劇団に入っていて不満を持っている人、沢山いると思います。

はっきり言って、誰もなんの不満も抱かない団体なんてないです。いろいろな劇団の人と話をしますが、みんな劇団の愚痴を言ってます。端から見ると立派に見える劇団の人でも。

隣の芝生は青く見えるものです。
「もっと別に自分に合う劇団があるんじゃないか?」「あっちの劇団はいいなぁ」なんて思うかもしれません。でも一度なかに入れば、100%の満足なんてあり得ません。

辞めてしまう前にもう一度、今自分が劇団からもらっているものがどれほどあるか、見つめてみて欲しいです。フリーで活動できるほどの実力・華・センスがある人は劇団に入る必要はないです。多くの劇団では俳優業以外の仕事を劇団員がしますし、団体の一員としての責任も産まれます。
だけど、そんなめんどくさいことやしがらみの代わりに、劇団にいるということにはものすごいメリットがあるのではないでしょうか?

もしそう思えないとしたら。自分は現状を変える努力をできているのか?自分自身に聞いてみて欲しいです。
よく考えるのは、主宰・作家・演出家も人間だということ。完璧じゃありませんし、頼られてばかりの辛く孤独な立場だと思います。その孤独に少しでも想いを馳せられていますか?劇団を作るのは主宰一人の力ではなく、劇団員全員の意思です。あなたの劇団は、あなた自身が変えることができる。大規模な劇団ではそう簡単にはいかないと思いますが、15人前後の劇団であれば、きっと変えることができます。

メリットを越えるデメリットがあり、現状を変える努力もこれ以上できない状態であれば、その時こそが、きっと劇団を辞める時です。

ここからは私の希望です。
どんなきっかけにせよ、せっかく出逢ったご縁です。劇団の力を思う存分借りて、劇団と一緒に上っていってほしい。私もそういうことがしたくて、今、アマヤドリにいます。おもしろい劇団がいっぱい出来て、新しい世代の演劇盛り上げたいです。演劇観る人、増やしたいです。先輩劇団の偉大な俳優さんたちに、追いつきたいです。絶対。一緒に、やりましょ。

あ、あともう一個。
劇団の愚痴、言うの辞めません?私はこの前、外部の人に劇団の愚痴言うの辞めるって決めました。なんか、みんな言ってるからかっこ悪いなぁ、って思って。「うちの劇団こんなに良いよ!」って良いところ自慢できるような劇団、目指したいです。実際良いとこいっぱいだよ、アマヤドリ!

まだまだ未熟な私ではありますが、書かせていただきました!

最後まで読んでくれて、ありがとうございました!

小角まや


1989年生まれ。神奈川県鎌倉市出身。2010年よりひょっとこ乱舞作品に参加。アマヤドリに改名後、劇団員として活動。主な出演作はSPAC『黄金の馬車』、DULL-COLORED POP『演劇』、EPOCHMAN『みんなの宅配便』など。所属事務所はワンダー・プロダクション。

Twitter @cocadomaya

アマヤドリ

2001年に「ひょっとこ乱舞」として結成。2012年に「アマヤドリ」へと改称。広田淳一によるオリジナル戯曲を中心に、現代口語から散文詩まで扱う「変幻自在の劇言語」と、クラッピングや群舞など音楽・ダンス的な要素も節操なく取り入れた「自由自在の身体性」を両輪として活動。リズムとスピード、論理と情熱、悪意とアイロニー、とか、そういったものを縦横に駆使して、「秩序立てられたカオス」としての舞台表現を追求している。

【次回公演】

※公演終了
アマヤドリ本公演『銀髪』
■日程:2017年1月26日(木)〜31日(火)
■場所:本多劇場(下北沢)

「銀髪」公演詳細ページ
→  http://amayadori.co.jp/archives/8910

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