画面の向こうの皆さん、お疲れ様です。編集長の加藤エンです。
前編記事ではお二人の昔の話や、若い頃の体験についてお聞きしましたが、後編では今の演劇界についてやこれから音響家を目指す若い人についてお聞きしました!
果たして、二人が思う音響の未来とは…
それでは、スタッフ対談シリーズ 音響編「演劇界の音響の今とこれから」後編スタートです!
音響と演出家の関係
こんな演出家は嫌だ


演出家ってわけではないけど、めちゃくちゃでも筋が通ってればいいんだよね。
ただ時間を無駄にしてる人とはやりたくない。だからダメ出しが長い人は嫌いだな。


長くやっていればそういう人はあるよね。あるでしょ?





そうすると「このボリュームで流すことにはもう意味がない」ってなっちゃうんだよね。



でも、あんまり無下にしてもなって最近思ってる。だから別の方法で不安を解消してあげて、印象的に聞こえ方を変えさせてあげるみたいなね。
あっ、あと嫌いな演出家って言うか、設計図がない演出家は苦手かな。プランがしっかりしてないとかさ。
グッとくる演出家


オペレーターって出演者に数えていいくらい重要だと思うんだ。
だから求められてることも理解した上で、それを形にしていけると楽しいから、そういう人とは一緒にやりたいよね。


任せてくれるし求めてくる人がやりやすいし、やってて楽しいよね。
例えば、打ち合わせにいって台本開いて、ト書きに書いてあるような「ここで電話が鳴ります」とかそんな説明を延々と続けられると嫌だよね。
読んでわかって、見てわかるものはこっちで出来るし、入れるよ。そうじゃないじゃん。それだと「オレじゃなくていいじゃん」って思っちゃうんだよね。

だから「誰でもいいから紹介して」って言われるとムカつくよね(笑)

学生を使うかどうかはどうかはこっちが判断するんだから、そっちで判断しないでくれ。ってなるよね。
予算問題





そういうのだったらやめていいと思う。

例えばこっちは100万掛かるって言ってるのに、40万しかないって言われると「例えば世田谷の一等地に三階建の庭付き南向きの一戸建てを建てたいみたいなプランでいただいてるんですけど、40万だと世田谷には住めないし、三階建の庭付き南向きも無理でしょう。きっと練馬の端っこですよね。練馬の端の方と思って今この話してました?僕は世田谷のつもりだったんですけどね」って。

あと、30過ぎたら、言い値でやるのはやめて、会社相手にちゃんと交渉も出来なくちゃって思うね。


音響の仕事
若者について


オレらの頃はCDとかMD入れてフェーダー上げちゃえば音は出たけど今はそうじゃないし。


15人とか生徒がいても卓は一つしかないからね。

専門学校に行って出来た気になっているより、音響に興味があって来たいって奴の方がいいよね。


専門学校、経歴について




韓国演劇なんかだったりすると、きちんと「◯◯大学の△△先生に習いました」という資料出して来るもん。日本もそういう紹介がもっと目に見えて、成り立つ形になるといいよね。

で、後日特別講師に実際に現場で仕事をしてる人ってのが来て、その人を先生が紹介してくれて相談をしたんだ。それが前に勤めてたテレビの会社の社長だったんだよね。
それがきっかけで毎週その人の会社に遊びに行き、夏休みは2週間泊まり込んだりしてた。
そこは本当は新卒は取らないんだけど、何度も頼んでそこの会社に就職したんだよね。
もうね、それくらいやらないと、受け入れられないんだよね。

オレは自分のところでやってくれてる子には3年で離れてもらうようにしてもらってる。

そうしたら音響に興味あるって子達から進路について相談されたんだよね。専門なのか、大学なのか、それとも今すぐ働くのかみたいなさ。
それで「大学行った方がいいよ。今すぐやっても今後ずっとやるんだから今すぐじゃなくていいよ」って言ったことはあるね。

ずっと思ってられないし、興味があるからやっているだけで、どうしてもそれがやりたければ思っていればいいけど、まずは大学を経験した方がいいよ。
地方について


最初は就職してもフリーでもどうしてもギャラも低いわけだし、その中から家賃とかって考えると大変だと思う。
逆にフリーの方が短縮というか、飛び級みたいなのがあるからね。
やりがいとしてはどこかに所属するのもフリーのもどっちもあるけれど、まず東京だよね。

「就職できるなら行く」とかダメよね。こっちは相手の実力を知らないからね。
根拠の無い自信がある奴の方がいい。



でもやるなら20代前半までだろうね。


ただ以前、弊害だと思ったことがあって、結婚式のオペをしてた子がオペに入ると音の感じが全然違うんだよね。

だからこそ、本当に20代前半までならって感じだよね。

あとは「どこの劇団が好き?」とか「どこの音が好きだった?」って聞いても答えられないんだよね。だから、まずはそれを見つけたらって言ってる。
それがあればそこに行けばいいだけの話だしさ。
まあ、よく「芝居たくさん見ろよ」ていうけど、東京は選択肢が多すぎるよね。何見ていいかわからないってのもあるのかもね。
才能のある爆弾

そうしたらそのうちの一人が「弱ペダを知ってるから引き続き現場に来たい」みたいになったから「いいんじゃないんすか」って言ったんだけど、他のスタッフとか周りから聞いたらどうやら役者のファンっぽいってなって、お断りをしたことがあったんだよね。
その時にちょっと難しいなって思ってさ。
身の上も知らないファンの方は公演の為に絶対に取れないけど、もしかしたら爆発的な能力があるかもしれないじゃん、音響の。
なんてことまで考えると難しいよね。やる気のある若者じゃん。東京行きたいくらいのわけじゃん。


でも2.5次元って制作がやりたいだけで、あれもただの演劇。まあ、若手の劇団だよね。
だから演劇に興味はないみたいに言われると口をきかなくなっちゃう。





逆もあるけど。着替えがあるので女性スタッフ入れてくださいとか。
今後協同してやっていけたら素敵なこと


どうやったら良いのかもわからないんだけどね。
ちょっとは20代もいるんだけど、果たして5年後どうなるかは不安。

そういう人たちを見て育っていくと、どんどんその後がヤバい。
まあ、上から見たらきっとオレらも純度が下がっていっているうちの人間なんだろうね。

だからこそ、もっと色んな知識を取り入れてもらいたいと思って、勉強会をしてるのにそういう世代の人が全然来ない。


それか、めちゃくちゃ勉強したいおじさん。
演劇が全体的に、良いスタッフとやれる機会が減っているんだよね。


だからとにかく良いからやれよって思う。

オレが未来について思っていることは、みんなが安定してこの職に就けるってことを目指していきたいんだよね。例えば会社を立ち上げてみたりとかさ。
でも、昔はそんなこと一切思ってなかったし、同じように今の若い人も分からないと思うんだ。
まあ、オレの中で思ってるだけのことなんだけど、とにかくちゃんと食べていける演劇界にしたい。
みんなで美味しいご飯を食べれる、演劇人だけどちゃんとした社会人として、そして一つネジ外れたことも出来るみたいなさ。
なんか今はネジが外れてる奴が演劇人みたいな感じがあるけれど、それを「社会人だけど、ネジ外せるんですよ」ってしないといけないんじゃないかな。

上に立つ人間としてそういう環境を作っていけるようにしていくってのは大事だね。
今日は、忙しい中、本当にありがとうございました。
まとめ
初めてのスタッフ対談企画、いかがでしたでしょうか?
前編の冒頭にも書きましたし、自分でこの記事を書いていてずっと思っていましたが、なんてニッチな話題なんだろう。
この記事を読んで、同じように活躍をされている現役の音響さんやスタッフさんには、思わず笑ってしまったり。若い人にはいい刺激になってくれたらと思います。
ちなみにこの対談、3時間も話してました。しばいのまち史上、最長です。
リクエストも受け付けてますので、読んでみたいセクションの記事がありましたら是非お問い合わせください!お待ちしております!!
果たして、次はどのセクションのスタッフ対談になるのか…乞うご期待!!
ワークショップ情報
今回対談にご協力いただいた、佐藤さんと天野さんが参加するワークショップが開催されます!
機会があれば行かれてみてはいかがですか?
※こちらのワークショップはすでに終了しております。
soniiiiiidoワークショップ
期間:2016年 12月26〜27日
会場:赤坂レッドシアター
HP:http://sugarsound.net/