小劇場の制作、ここおかしくない!?制作が抱える問題たちを今語ろう〜お金の問題編〜

しばいのまちの読者のみなさまはじめまして。

東京で演劇の制作者として活動しています藤田侑加と申します。
どこかの劇団や団体に所属しているいわゆる「座付き」「専属」ではない、フリーランスで活動しています。

はてさて、制作とはざっくり「受付の人でしょ?」と演劇に関わる中の人・外の人と思われがちな部分ですが、私は「『芝居』を『興行』にするれっきとした『仕事』」と説明しています。当日の受付だけじゃないんだよ!

初回である今回は、そんな私が「小劇場の制作業界おかしくない!?」と思ったこと、特に「お金周りの問題」について書いてみます。

何かの参考になるか、ならないか。わかりませんが、私が書くことで少しでも制作の仕事への理解が進めば幸いです。

制作の仕事依頼、なんで無給が前提なんですか

いきなりですが、都合の悪い言葉を聞こえよくいいかえる言葉上位ランキングに「ボランティア」があると思っています。

無給というと身も蓋もないですがボランティアと言えばなんかごっつええ感じに聞こえるこの響き(※本義のボランティアという活動や概念を否定する訳ではありません。あしからず)

演劇人ならきっと1度は見たことのある「ロビースタッフ募集」。

往往にしてボランティアであることがほとんどです。よくあるのは「観劇あり」。チケット代金分の給与を現物支給という考えではありますが、交通費は持ち出しです。

しかし急募って書いてるのにボランティア募集が多いのはこれいかに。印刷会社も納期を短くするのには各種オプションや特急料金などが設定されている・・・よね??

ちなみに私は過去に「公演のお手伝い募集」という「見に来るがてら手伝ってください」という交通費も観劇代金もましてや拘束時間対ペイなぞ一切支払いませんが手伝いに来ませんか?というメールを受信したことがあります。

無論、制作としてギャラをいただくようになってから、お仕事として制作をすでに受けるようになってからこのメールを受信しました。何回か読み直して、何のためらいもなくゴミ箱ボタンを押したのは言うまでもありません。

「制作=当日の受付」のこと→だいたい劇団とかって役者でもやってるぐらいだし誰でもできるよね→制作のギャラっていらないよね!!という概念は正直なところ小劇場界蔓延してる感じが否めません!

なぜギャラの話をしないのか

私が上記の件について当然受けない、という判断を下したのはという判断を下したのは、スケジュール云々ではなく、「すでに制作者としてギャラをもらって仕事をしている人間が、ギャラの出ない仕事を受けるべきではない。それは、これまで私に仕事を任せて対価を払っていただいた人に対して失礼にあたるし、私自身が『無給でも稼働する人間』として認識され、今後有料の仕事が取れなくなる。ひいてはそういう人間が一人でも多くいると認識されると、業界全体の労働環境悪化に積極的に貢献することになることが問題だ」と考えているからです。

上の例はその現場の統括を行っていた制作者が、団体に対して最初に当日運営スタッフのギャランティを見積もりとして計上していなかったであろうという所にも問題がありますが、演劇業界に限らずクリエーター界隈では「はじめにギャラの話をしない」という話をよく聞きます。

なんか仕事の依頼っぽい連絡が来て、「ギャラの話が書いてないし具体的な仕事内容もわからないから、ご予算と業務の依頼内容について詳しくお聞かせ願えますか?」と返信したら返事がこなくなるということも往々にしてあります&聞きます。

金の話は下品なものとか触れちゃいけないものなのか!?関西人だからその辺ガンガンいっちゃうぜ!!というのが私のスタンスなのですが、しかしまあ他のスタッフさんからも「制作さんギャラもらってないとこ多いよ!?大丈夫!?」と真顔で聞かれる案件があるため、これ根深い問題だと思っています。

別に予算がないからこれだけしか出せないってところの仕事を受けないわけじゃないです。それだったらお互いにじゃあ業務内容の線引きをどうするか、知恵をしぼるまでなんです。

「公演自体に予算なくって、制作はギャラでないけど一緒に公演に協力して!みんなで頑張ろうZE」というのは身内だけに止めといてください。他人の時間を拘束しといてタダはないだろうタダは。と思うわけです。

業務内容が不明瞭で優先順位が付けられない

ギャラが不明瞭なために、必然的に「いくらもらえるかもわからないのにどの程度の優先度で仕事をすればいいのかわからない」という状況になってしまうことが多かったりします。

当然、公演の規模が大きいから優れているとか、オリジナル作品で無名だから劣っているなんていう考えは持っていないし、そもそも表現に優劣も何もないのですが、優先順位はあります。ていうか優先順位つけないと全部共倒れになります。誰も幸せになりません。

優先順位の判断は、報酬の額の多寡ではないんですよね。任されている業務についての依頼・指示が明瞭であるか、その上で手間がかかることなのか、そうでないのか。ここにつきます。

そこはいかにコミュニケーションとれてるか!なのですが、言わずにわかると思うなよ!!!と言いたいわけです。

シス・カンパニーの北村明子さんだって「自社の社員には君子じゃないからしつこく言う」とご自身の著書で書かれているように、言わなくてもわかるは幻想どころか妄想です。

そもそも、制作の仕事は多岐に渡ります。「公演準備における芝居以外全部」という感じなので、非常に線引きがあいまい。当日運営・票券管理というのが役者さんとは一番関わるところではありますが、そこ以外も当然仕事の範囲内。

おまけに、公演準備が進むにつれて最初の予定通りに進むかといったらそこもNO。軌道は常に修正しつつ、その時々でベストを尽くすのが仕事です。

だからこそ、拘束時間対ペイというわけでもないし、総予算の中でうんたら、というのも果たして適切なのか?と自分自身の値段設定も結構難しいところではあります。

だからといって「これだけ払ってるんだから!」というテンションで迫られても困りますし(※実話)、週刊少年ジャンプ的な友情・努力・勝利という脳みそ筋肉体育会系思考は私の対極ですので勘弁して欲しいところです。そういうやりがい搾取でただでさえ少ない制作者人口が減っていくんです・・・。

まとめ

ちなみに、私ギャラの未払いで少額訴訟でサクッと訴えて回収したことがあります。なんか未払いでトンズラされる案件もクリエイター界隈よく聞く話なんで、闇が深い業界ですね!

作品作りにおいて、関わるメンバー同士互いがしっかりとコミュニケーションを取り、曖昧適当にモノゴトを進め、最終的に誰かがツケを支払うという自体に陥る。ということが減っていってくれれば良いなと思いながら、日々仕事をしています。

それではまた。

登壇します

そんな私が関わってるボランティア活動・シビウ国際演劇祭のボランティア派遣プログラム。こちらについて、来年度の募集も始まるので過年度参加メンバーとして今年度の報告会に絡めていろいろ喋りに参ります。

※終了
【第4回 舞台芸術に関わりたい人のためのインターンシップ等合同説明会】
2016年12月16日(金)18時~@東京芸術劇場リハーサルルームL
http://www.explat.org/hrd/event/2016/setsumeikai12.html

藤田侑加

兵庫県神戸市出身。大学で舞台美術を専攻後、卒業後演劇の制作として活動を開始。現在はフリーで演劇の企画・広報・制作から海外の演劇祭などにも参加している。時々グラフィックデザインも。
ツイッター:@yukarienne


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