今が旬!注目の演劇人Vol.7
今回の後編記事では、鵜飼さんが味わった挫折や、それをどうやって乗り越えたか。そして、若い演劇人に向けたメッセージについてお届けしたいと思います。
前編記事:多くの失敗と対策を繰り返して、今の僕がある(前編)
失敗からの対策の繰り返しだった
役者に向いてないんじゃないかと思う
ー演劇をやめようと思ったり、挫折をしたことはありましたか?

ー確かにそれは折れそうですね(笑)

まず一発芸でお客さんを沸かせることが出来なくて、とりあえず頑張って作品を3本頑張ってやって。
で、中間のエチュードでは何も出来なくて、残り3本もなんとかこなすみたいな。
そんな風に毎回心折れながら戦ってた公演がありましたね。
ーじゃあ、演技力が云々ではなくてエンターテインメント力というところなんですね。

しょーもないことなんですけどね。それで本当に一回挫折をしました。
人と比べる癖があって、「周りができるのに自分はなんでできないんだろう」とすごく悔しかったんです。
負けることに意味があった
ーなるほど。それはどうやって乗り越えたんですか?

とりあえず、本当に向いていないと思うけど、ありがたいことにお仕事を振ってくださったので、それに対してのポテンシャルを出し続けなけばいけないし、それを一度経験して折れたからこそ、対策をしなければいけないところで、ちょっとずつ対策を立てていきました。
それこそ、今はMCのお仕事とかも入ったりするんですが、昔は一切喋れなかったんです。
ーえっ、そうなんですか?

元はオタクでそもそもコミュニケーション能力が低かったんです。冗談も言えなければ、コミュニケーション能力もない。
ーそれって役者としては…

それこそ劇団のトークショーとかでも入りたての頃は一切喋れなかったんですよね、怖くて。
毎回それで心が折れる度に何かしら少しずつ対策をしていったら、MCの仕事が出来るようになったり、アドリブに対応できるようになった。
今思うと、負けることに意味があるんだと感じますね。
殺陣も最初は出来なかったけれど、今は殺陣振付け師としてやらせて頂いていますし。
今言えるのは「継続は力なり」ってことですかね・
でも、ただ継続するのではダメですね。何か小さくてもいいから目標を立てて継続するべきだと思います。
今の若い表現者に伝えたいことは?
ーこれまでフリーでの活動や劇団に所属しての活動、様々な経験をされて来たと思いますが、その中で培ったことで鵜飼さんが若い演劇人に伝えたいことがあれば教えてください。

適当なこと言う人もいれば、的確なことを言う人もいるけれど、両方ともとにかく若いうちは人からもらえる言葉を、全て大切にしたほうが良い。
困った時にはもっと人にたくさん頼って良いと思います。
僕の場合は失敗して対策をする、失敗と成功の連続でした。
でも、迷惑かけるのは当たり前なんだから、いつか自分が先輩になって頼られた時には応えてあげれば良い。だから、今の若いうちにたくさん人に聞いて、良いことも悪いことも吸収して自分の中で取捨選択していけば良いんです。
もらったものでも良いから、とにかく素直に受け取りまくって、ガッタガタに歪んだもの磨いていけば自分なりの丸が出来ると思います。
それと、最初は自分がどんなことにポテンシャルを持っているかわからないから、色んなことにチャレンジした方が良い。
その中で自分の商品価値を見つけた上で、たくさんの人の話を聞いてもらえたら、後々楽しいことになるんじゃないかな。
今後の抱負
ー最後に鵜飼さんの今後の抱負を

共演者なのか、スタッフさんなのか、他人に対して相乗効果を与えられれば最終的にはお客さんに届けられると思っています。
僕もすぐ頭がいっぱいいっぱいになっちゃうんで、ちゃんとそれが頭に入っていれば、一つ一つの行動が変わって行き、もっと良きエンターテインメントを作れる人になれるんじゃないかと思っています。
ー確かに、つい自分のことを考えがちですが演劇ってお客さんに届けるものだからこそ、ちゃんと相手のことを考えるのが大事ですよね。
本日はお時間いただきありがとうございました。
まとめ
「失敗から学ぶ」「演劇は相手に届けるもの」
これらは至極当然の事ですが、つい忘れがちになってしまうことが多いと思います。
今回の記事を読んで、それを改めて認識していただき、読んでいただいた方の作品がさらに良くなり、さらに一つ上のステージに上がるきっかけになればと思います。
公演情報
※公演終了
LIVEDOGプロデュース「鬼斬 -the Powerful Performance-」
期間:11月23日(水)〜27日(日)
会場:シアターサンモール
予約:https://www.quartet-online.net/ticket/c5tmbn9?m=0aecedh
公式HP:livedog.net/onigiri/
合同写真展「スポットライト〜虚構と現実〜」
期間:11月24日(木)〜11月29日(火)
会場:Galerie Juillet(ギャルリー・ジュイエ)
HP:http://daiking921.wixsite.com/spotlight2016
インスタ:@gekichap
言ってしまえば、役者向いてないんじゃないかなと思うことが多いですね。
根本的に自分自身に自信があまりにもないので、毎回ぐらいそう思うんです。
だからこそ、毎回、誠心誠意結果を出さなければと思って取り組んでいますね。
ただ挫折って意味では、本当にもうやめようかと思った公演があって。それが短編の6本のオムニバス公演で、3本目と4本目の間に3分間のエチュードが入るんですね。
そこであまりにもアドリブ力がなくて…
しかも前説も任されて、その際に一発芸も振られることになって、全ステージでやったので計6回ですかね。あれは本気で心折れましたね(笑)