今が旬!注目の演劇人Vol.7「多くの失敗と対策を繰り返して、今の僕がある(前編)」ACTOR’S TRASH ASSH:鵜飼主水

気がつけば今年も残り1ヶ月とちょっとですが、いかがお過ごしでしょうか?今年の演劇活動はいかがでしたか?

僕自身のことですが、今年は良いことも悪いこともどちらからも学ぶことの多い年だったと感じています。

演劇って一癖も二癖もあって、それが面白いと言えばそうなんですが、たくさんの失敗を経験することも多いかと思います。

今回の記事では、ACTOR’S TRASH ASSHに所属し俳優、そして殺陣振付師として活躍される鵜飼主水さんにお話を伺いました。

彼が経験してきた「失敗と成功の連続」とは何だったのか。そしてそこから何を学び今に活かしてきたのかをお届けしたいと思います。

鵜飼主水とは?

1987年 熊本県出身 18歳から小劇場でフリーで活動し、2009年4月ACTOR’S TRASH ASSH 入団。現在、俳優・殺陣振付師・殺陣WS講師・演出補・ナレーションの仕事をこなす。

鵜飼主水twitter:@mondo1959
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ACTOR’S TRASH ASSH

2002年、松多壱岱が中心となって旗揚げ。当初はショートコント主体のスタイル。しかし、第10回本公演「刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ」より、「ネオフィクションエンターテイメント」スタイルへと変貌。以降、松多壱岱の外部演出の増加に伴い、メンバーも外部公演へ露出が増えて行く。しかし、「劇団」「小劇場」への想いは強く、原点回帰としてASSH公演の充実を計画中。

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芝居を始めたきっかけ

 

最初に目指したのは「声優」

ー本日はよろしくお願い致します。まずは鵜飼さんが演劇をはじめたきっかけを教えてください。

鵜飼主水
中学生の時にアニメや漫画が好きで声優さんになりたくて、それがきっかけで高校で演劇部に入ったのが最初でした。

高2から高3の間に、演劇部以外の部外活動で小劇場の劇団さんに出させていただく機会があったんですが、高校演劇部を卒業して、大学に入って芝居を辞めようかどうか悩んだ時期に、その外部活動で出会った方達の公演を観に行ったんです。

その公演後に食事に行きまして、自分の悩みを相談したところ紹介してもらったのが今所属しているACTOR’S TRASH ASSHだったんです。

そこで高校演劇とか声優とはまた違って、舞台で表現することの面白さを教えて頂きました。

結構、僕はふんわりと演劇を始めてて、特に憧れた人とかもいなかったですし。それこそ今僕は殺陣振付師をやっていますが、それも昔から戦隊ものが好きだったから。

だから、ふわふわしたまま続けて来て今に至るんですね。

自分が変わったきっかけ

 

鵜飼主水
東北大震災の際に街で見た大道芸人さんが「僕はみなさんから頂いたお金で東北に被災地に飛んで、震災で被災された方々に僕のパフォーマンスで楽しんでもらうための旅費を頂こうと思っています。ですので、もしよろしければお気持ちだけでも良いので、よろしくお願いします」って言って自分のパフォーマンスで旅費を稼いでいたんですね。

普段、大道芸とかを見たときって結構硬貨が多いじゃないですか。でも、その時は震災の後ということもあるかもしれませんが、結構みんながお札を入れていたんですね。

正直、僕は役者をずっとグダグダやっていて。

でも、そのパフォーマンスを見てから、人からお金をもらってエンターテイナーをするということに対しての価値観が変わって、そこからしっかり役者を目指し始めました。

ーなるほど。それまでもやって来たけれども、それをきっかけに更に気が引き締まったわけですね。

鵜飼主水
そうですね。

楽しいだけじゃなくて、こういう人になりたい。

ただ楽しませるだけじゃなくて、人が普段出来ないことを表現出来るからこそエンターテイナーはお金がもらえるんだなって思ったんです。

だから、「職業役者になりたい」って思ったのはそこがきっかけでしたね。

殺陣との出会い そして「殺陣振付師」に

ー今現在は殺陣振付師として活動されているようですが、殺陣を始めたきっかけはなんだったんですか?

鵜飼主水
高校演劇部の時に初めて外部団体で「印度華麗」という劇団の公演を観ました。

今までストレートプレイしか知らなかったのが、その舞台で「舞台ってこんな世界もあるんだ!」って思ったのがきっかけで高校生だけで殺陣演劇を作ったんです。

その後、フリーの期間や劇団に入ってから公演ごとにアクションをさせていただく機会が何回かあって、その現場ごとの殺陣師さんに教えていただい今に至るんですね。

なので、明確なお師匠さんっていう人が僕にはいないんです。だから、独学に近いものはありますね。

ーそうなんですね。でも、今は殺陣振付師として活動されているんですもんね。
この「殺陣振付師」なんですが、普通は「殺陣師」なのになぜ「殺陣振付師」なんですか?

鵜飼主水
アクションに関しては、僕の一番根本的な悩みがお師匠がいないことなんです。

殺陣って何流だとか、チームだったらチーム固定の型があったりするけど、僕はお師匠さんがいないから、そういうものが一切ないんですね。

だから、どっちかっていうと僕は中学生の頃から厨二病全開なオタクだったこともあって、「こういう構図だったら楽しい。ワクワクする」っていうのはいっぱい持ってるんですけど、殺陣師として必要な根本的なスキルをそこまで多く持ち合わせていない。

だから僕は「殺陣の振り付けをする人だ」と思っていて、「殺陣師」ではなくて「殺陣振付師」なんですね。

ーそうだったんですね。厨二病全開って(笑)そう言えばプロフィールにも「舞台に舞い降りた月面上のナルシスト」って書いてありますもんね(笑)

鵜飼主水
(笑)

それはうちの主宰に入団の時につけてもらったものなんですよ。

まあ、元から若干ナルシな部分はあったんですけどね(笑)

家族はどう思っているか

ー演劇をやっていることに対して、家族の反応はどうだったんですか? 

鵜飼主水
大学行かせといて演劇の道に進むときには、父親からは反発されました。

ただうちの環境が良かったのが、母親は高校の時に演劇部をしていたんです。

それで、幼少の時からミュージカルとかに連れて行ってもらってました。

単純に母親はエンターティンメントというものが好きだから、比較的応援してくれましたね。

安定した仕事をするようにと言われてましたが、最近は少しずつではあるけれど認めてくれるようになってきましたね。

でも、そうなるまでに8年くらいかかりましたけど(笑)

演劇関係で仕事が回せるようになった

ーアルバイトとかはいつ頃までやられていたんですか?

鵜飼主水
3年前くらいですかね。

スタッフ(殺陣振付師)ができるようになって、そのお金が入るようになってアルバイトを辞めることが出来ましたね。

普通の出演料だけでは今まで何も出来なかったところが、スタッフ代がプラスされるようになって、一つの公演に対するギャラのパーセンテージが上がりました。

アルバイトを辞められるようになってからは逆に、色々なことをする時間が増えたので、もうちょっと安定しましたね。

鵜飼主水
例えば、アルバイトに割いていた時間を他に回せるようになり、演劇関係で仕事を回せるようになって来ましたね。

だから、若干無茶してでもスケジュール空けるくらい勢いがあった方が、もしかしたら仕事がうまく回るのかもしれないですね。

僕もそうだったように、もちろん生活とか生きるためにはお金が必要なんでバイトとか絶対しなくちゃいけないですよね。

ただいっそ打ち込んでハマった時、これはほぼ運なんですけど、その運を掴むために受け皿を広げること、自分で時間を作るってことが大事だと感じますね。

僕はそういう意味ではすごく運が良かったですね。 

ー確かに、自身の活動のためにも役立ちますし、可能性を広げるためにスタッフワークを身に付けるってのは大事ですよね。

鵜飼主水
そうですね。

生活をするためにはお金が必要ですし、一つのことにのめり込むのも良いけれど、人を幸せにするコンテンツで、自分が不幸になってはいけないと思います。

教えてくれる人が欲しかった

ーフリーから所属したのが今のACTOR’S TRASH ASSHですが、そこを抜けることなく、ずっと続けて来た理由はなんですか?

鵜飼主水
たぶん僕は入ったきっかけが大きいですね。

入団前に3年間フリーでやって、自分に限界を感じるタイミングがあったんですね。

だから、僕はきっとお師匠様が欲しかったんです。

で、劇団に在籍することによってずっと自分を見てある程度評価してくれる人が固定で誰かいるって状況が羨ましくて、そこから入ってるからたぶん僕は続けているんだと思います。

ーなるほど。確かに劇団には主宰という絶対の存在がありますもんね。

鵜飼主水
そうですね。

たぶん僕は劇団に対する熱量から入ったというよりも、自分でできることが何もないという状態から入ったから、とにかく教えてくれる人が欲しかったので一定の場所を求めていたのかな。

あとは劇団のメンバーにもすごく恵まれた。家族のような、一つの場所にずっと一緒にいる仲間が絶対いるっていう支えがあるのが良いですよね。
 
そこで例えば喧嘩とかあれど、同じくらい悩んで、同じくらい騒いで、同じ熱量で一緒に舞台を作れる仲間がいるのはすごくありがたいですね。

後編記事

鵜飼さんが演劇をはじめたきっかけや、劇団に対する思いを聞いた前編はいかがでしたでしょうか?

後編では鵜飼さんが味わった挫折や、それをどうやって乗り越えたか。そして、若い演劇人に向けたメッセージについてお届けします。

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公演情報

※公演終了
LIVEDOGプロデュース「鬼斬 -the Powerful Performance-」
期間:11月23日(水)〜27日(日)
会場:シアターサンモール
予約:https://www.quartet-online.net/ticket/c5tmbn9?m=0aecedh
公式HP:livedog.net/onigiri/
onigiri

合同写真展「​スポットライト〜虚構と現実〜」
期間:11月24日(木)〜11月29日(火)
会場:Galerie Juillet(ギャルリー・ジュイエ)
HP:http://daiking921.wixsite.com/spotlight2016
インスタ:@gekichap
ukai_phototen

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