脚本の書き進め方

劇団専属の脚本家はどんな風に脚本を書き進めているのでしょうか。

脚本の書き方についてはたくさん本が出ているし人それぞれだと思うのであまり触れず、ここでは脚本の「書き進め方」について書いてみます。

僕は劇団で作・演出をしています。脚本は、メンバーから意見をもらうこともありますが実際に書くのは自分1人です。

劇団あるあるだと思いますが、〆切が遅れることもしばしばです。

ならばどう対策を打つべきなのか。

3つの脱稿〆切

〆切が「100%完成がこの日」だけだったらメンバーが不安がります。

〆切を段階的に3つ用意することをオススメします。

企画〆切

これは話のベースやおおまかなあらすじの〆切です。

今度は大体どんな話なのか、ざっくり数行で説明するぐらいのもので構いません。

メンバーに向けて「次はこんな話でいこう」と伝えるためのものです。

企画書1枚書くぐらいの分量でよいでしょう。理想は半年前です。遅くとも4ヶ月前には完成していたいと思います。

広報〆切

チラシに載せるあらすじを決定し、脚本に沿ったチラシデザインするための〆切です。

実写の写真をチラシに使う場合は、衣装を用意し、小道具もいくつか用意しなければなりません。

そうなると「登場人物は何人いて誰が演じてどんな役なのか」も決まってないといけない。

これはいわば「チラシをつくるために必要な脚本〆切」です。少なくとも企画の雰囲気が決まらないといけません。

きちんと雰囲気が決まっていたら、完成したチラシを見てメンバーが改めて「こういうテイストね」と舞台の雰囲気を理解することができます。

まあ舞台の雰囲気とチラシのデザインがかけ離れているケースも多々見かけますが・・・

理想は3ヶ月前です。ただ、これの完成からどれだけ早くデザイナーがビジュアルを作れるか、また、チケット販売がいつからなのかにもよります。

うちの場合は3ヶ月前に設定していますが、ウェブやツイッターなどでビジュアルをいつ情報解禁したいか、に合わせて〆切日を設定すればよいでしょう。

本番〆切

本番に向けた脱稿の〆切日です。

遅れれば遅れるほど、役者の練習量は減り、本番のクオリティが下がります。

1ヶ月前を〆切日に設定して、なんだかんだで完成するのは2週間前、1週間前になることが多いのではないでしょうか?

なんならこの本番〆切を3ヶ月前に設定して、なんだかんだで完成が1ヶ月前になっちゃった、を目指した方がいい気がします。

この本番〆切が遅れる理由の1つに「なんだかんだで間に合っちゃう」があると思います。

1週間前に上がって、役者がヒーヒー言いながら、初回公演はやっぱりミスがあるんだけど、毎日公演してるうちにどんどん良くなっていって、千秋楽では自他共に認めるいい公演が打ててよかったね、となる。

これでは脚本家は頭では「迷惑かけた」とわかっていても体では「なんとかなった」と感じてしまうので反省のしようがありません。

脚本家の言う「次は気をつけます」を信じてはいけないし、信じてケツを叩かなかったら役者のあなたも共犯者です。

ケツを叩きましょう。叩かせましょう。

編集長をつくる

もうこの問題は制作フローを変えないと改善しません。

そこで編集長を設定することをオススメします。

漫画の世界には漫画家と編集長がいて、編集長が〆切当日に漫画家の家に来て「〇〇先生、あと四時間で〆切ですよ!」とか言ってるイメージがあります。

そして編集長は完成したものを見て「ここがダメ」「次はこうして」と指示を出す権利があります。

権限のバランスは場合によると思いますが、映画でもドラマでも、多くのプロジェクトは「つくる人」と「ゴーサインを出す人」が分かれています。

前者はいい作品をつくり、後者は売れることに責任を持つ。

小劇場演劇業界にはよくも悪くも(僕は9割悪いことだと思うのですが)編集長がいません。

それにより1人の作・演出の独壇場になり、プロジェクト全体がきっちり機能しない。

売れることに責任を持つ人がいないので、やりたいことだけやって売れるかどうかは別問題、なのに売れたいと言い続けてる、みたいなおかしなことになります。

一応制作という部署はありますが、外注の場合も多く、「これからどう売っていくか」「だから脚本はここまでに書け」と言ってくれる人はなかなかいないのではないでしょうか。

まとめ

劇団が「売れる」ことを最終目標(ビジネスとしては当たり前)にし、脚本も売れるための脚本を書こうとする姿勢を取り入れるべきです。

脚本を良くすることで具体的にチケット売上がいくら伸びるのかを冷静に考えたら、多少脚本家が満足していなくても脚本をさっさと仕上げて役者の練習量を増やした方がいい、みたいな考え方も出てくるかもしれません。

劇団は「売れる」演劇作品を量産する母体であり、作・演出がやりたいことを実現するための組織ではない、と思います。

本気で〆切を守る脚本家になりたいのなら、メンバーの役者や制作が兼任でもいいので、編集長を1人、つくりましょう。

山口翔平

舞台屋アホロ作・演出・役者・広報。デザイナー・webデザイナーとして仕事をしながら舞台をやっている。武蔵野美術大学出身。脚本・演出・チラシデザイン・webサイト作成のお仕事承ります。
twitter→https://twitter.com/twishohei
デザインの仕事の事例→http://yamaguchishohei.tumblr.com/
お仕事のご依頼→yamaguchishohei93@gmail.com

舞台屋アホロ

武蔵野美術大学生が立ち上げたコメディ専門の演劇集団。テンポのいい脚本の伏線回収の気持ちよさ、美大生がつくる仕掛け満載の舞台美術などが特徴。コンセプトは「笑い8割、感動2割のアホ・ロマン・エンターテイメント」。

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