やめたらどーなる、演劇人!?〜元俳優の飲食店経営者に聞いてみた〜

やめたいと思っても、なかなかやめる踏ん切りを付けられないのが演劇。

かく言う僕も、何度も「やめようかな」と思いました。それでも今までやって来たことを急にやめるのは怖いし、そもそもやめてからどうなるのか、何したら良いか分からなくて不安でやめられない。

そこで「分からないことは聞いてみよう!」と思い、実際に舞台や演劇の世界から離れていった人にインタビューをして来ました!

焼き鳥「とりいちもんじ」経営:谷村さん(36歳)

今回は演劇を離れ、飲食店「とりいちもんじ」を経営している谷村さんにお話を聞いてきました。

高校卒業後に演劇の専門学校に入り、25歳で演劇を離れ、28歳の時にお店を開いたとのこと。

経営者の方にお話を伺うということで、少し緊張しながら伺いましたが、とても気さくにお話をして頂きました。

演劇を離れるまで

ー今日はお時間をどうもありがとうございます。宜しくお願いします。

谷村さん
こちらこそ宜しくお願いします。

ーまず、この企画についてなんですが、僕、今26歳なんですけど、周りの役者でも辞めようとしている人が増えてきたり、僕自身も悩んだりしている中で、辞めた後の姿がイメージがつかないな。それなら実際に辞めた人に話を聞いてみよう、という趣旨で始まりました。

今日は色々とお話お聞きできればと思いますので宜しくお願いします。

谷村さん
そのくらいの年齡って続けていくのか。辞めるのか、一番考える時期ですよね。

精神的プレッシャーとか、世間体のこと気にしだしたりとか、色んなことに左右され始める年齡ですよね。

ーそうなんですよね。ちなみにそもそも谷村さんがお芝居を始めたのはいつ頃なんですか?

谷村さん
高2くらいからやってみたいなと思っていて、高校卒業したあとに、演劇の専門学校に入りました。そこから、25歳くらいまでフリーターで飲食のバイトしながら小さい劇団にちょいちょいいたりして、公演も数回したりとかしてましたね。

元々、自分で25まで人から目に見えない結果が無いのであれば辞めようと自分自身で約束していた。それで24の秋。25歳になる直前に辞めました。今36なので10年くらいですかね。

ー辞める時って躊躇しませんでしたか?

谷村さん
全く躊躇しなかったです。

これ自分で言うのもなんですが、辞める前に出る公演の稽古中に、すごい良い出来のものができたんです。これが本番でうまくできたら間違いないよねって位のものが。

それで、これが本番中に一度でもやれたらもう少しやろうと思ったんですが、できなかった。

そこで違う道に進むことを決心しました。趣味としてやっていくなら良いですが、仕事にはしていけないなと思い、誰かに言われたのではなく、自分自身で見切りをつけて辞めました。

ー今は飲食店を経営されてますが、当時から飲食店で働いていたんですか?

谷村さん
飲食店でいうと、20歳くらいから飲食のバイトをしながら役者をやってました。

僕、ひねくれてる部分もあるんですよ。あるときのバイト先、某チェーン店だったんですが、ものすごく嫌な上司がいたんです。

新しい業態をOPENするときって、会社の本部の人が現場に来るんですけど、結局かき回してクレームをだすのって現場の人間ではなくてそういう本部の人間だったりしたんですよね。

それで、こういう人達とやるくらいなら、自分でやりたいなって。人に使われるんじゃなくて、自分がやる、という風にしたいなと。でもそれに対して、当時は数字が云々とか全然わかってないですよ。

役者辞めた後は2年間程焼き鳥屋で働いて、1年間チェーン店で働いて、縁と出会いがあって浅間町に1号店を出すことになりました。

自分の好きなことは経験をする中で分かってくる

ーもちろん断片的にお話頂いてるからだと思うんですが、比較的スムーズにお店を持つまでに至ったんですか?

谷村さん
いえ、ここまでに至るまでにポイントだけ話してますけど、もちろん悩むこともありましたし、細かく話すと正直、色々なことがありましたよ。

ー飲食じゃない道とかも考えたりしたってことですか?

谷村さん
実は、最初の焼き鳥屋で心の底から仕事が嫌になったんですよね。そのお店を辞めたときに飲食の仕事を心の底からしたくないな、と思ってました。

まだ26、7なんで再就職もできるなと思って、色んなサイトで職を探してみて、不動産やシステムエンジニアの面接とかにも行きました。

その面接で、今までの自分の話とかするじゃないですか。そこで自分が楽しそうに語ってたことって飲食で働いていた時のことだったんですよね。

嫌いだったわけじゃなくて、たまたま環境に恵まれてなかっただけ。根本的には飲食が嫌いだったんじゃない、と気づいて結局飲食に戻ろうと思いました。

ーそれでいうと、演劇もやってるときは楽しかったんですよね。

谷村さん
そうですね。「これが一番良いんだな」ってやっているときは思うじゃないですか。

子供の時は子供の時の遊びがあって、オトナの時はオトナの遊びがある。というんですかね、色々やってみるとまた分かってくるものがあって、経験を積む中で、それぞれ選んでいくものだと思います。

何が成功かって人によって全然分からないわけですよ。どこを求めてるかによります。稼ぎなのか、人生の充実感なのか。

それこそ自分も元々は好きなことして、お金を稼いで、人生を謳歌したいというのは根本にあった。。そのツールがかつては演劇でした。

今は好きなことが飲食で、飲食で稼げている状態が自分にとって良いと思ってやっています。

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(楽しそうにお客さんと話をする谷村さん)

「辞めたらダメ」が一番ダメ

ーこういう企画なので、辞めようかどうしようか悩んでいる人に何かメッセージをもらえたらと思うんですが

谷村さん
「辞めたからダメってことではないよ」ってことですかね。

「辞めた=俺はダメなんだ」、「演劇がなくなったら自分には何もできない」という考えが一番ダメだと思うんですよね。多くの夢を持ったり、興味を持つことは大事だと思うので、何か他に楽しみや興味があるなら、試しにそっちをやってみても良いと思う。

ちなみに加藤さんは、最近は何の役やりました?

ーチンピラ役者くずれの役をしました。その前は警察官の役をやりましたね。

谷村さん
それって全然違う役じゃないですか。でも「やれません」って言ったら降ろされるじゃないですか。生きる上でも一緒だと思うんです。

この店でいったら自分は、とりいちもんじの谷村さんの役なんです。皆そうじゃないですが、子どもといるとき、嫁さんといるとき。どれが正解だなんて無いですよ。

演じる、やり切るというのはどんな仕事でも役に立つと思います。

「目に見えないものでも経験が生きる」というのはあるはずです。必ずどっかで繋がったりするもんなんです。やめたら終わりで、無駄だって思う事は全くない。

続けても辞めても正解。ただ引け目を感じたりしたら不正解。

自分も演劇の世界を経験してなかったら店持てるまでになってないです。これは断言できますが、演劇やってなかったら失敗してたと思います。あの世界で学んだことは血肉になっています。

閉じた世界より、広い世界を見る

谷村さん
もう無理だって思ったり、嫌いだって思ったり、例えば家庭の事情でやりたいけどやれないって人もいると思います。

だからせっかくやってきたことを否定したり、捨てたりするのはもったいないと思うんです。失敗したとしても、失敗という経験値をつめたから次に繋がるんですよね。ダメな選択肢があっても次につなげようと思えば良い。

演劇の世界にいる人って、自分もそこにいたからこそ分かるんですが、「閉じた世界にいる人」になりがちなんですよね。だから若いうちから頭が固い人が多いですよね。もっと外の世界に目を向けた方が良いと思います。

ー僕も頭硬かったなって思います。このメディアをやってみて、改めて外の世界は広いなって思ってますし、自分がとても狭い世界にいたんだなって事を痛感しています。

谷村さん
結局内輪で話してても解決にならない。「俺ら頑張ろうね」って話してても、それじゃあ成長しない。外の人と交流するのもとても大切なことですよね。

本当にそうですね。ちなみに谷村さんの今後の抱負とかってあるんでしょうか?

谷村さん
仕事で言えば、あと3店舗くらいは増やしたいなって思ってます。

そこで演劇を応援するスポンサーになったりするのも面白いなと思っていますし、あとは今いる社員が各店舗のオーナーになれたらいいなとも思ってます。

仕事から離れたやりたいことで言うと、幼なじみと一緒に焼き鳥とワインの店をしたいなと思ってます。趣味で利益とか度外視で。そのくらいができるようになれば家族に余裕もできるだろうし。

そのために今必死で頑張ってます。

ー今日は本当に勉強になりました。お忙しい中、素晴らしい話をどうもありがとうございました。

まとめ

この企画はまだ3回目ですが、毎回お話を聞く度に自分の頭の硬さや、考えの狭さを痛感します。

やりたいことを貫くのも大事なことですが、谷村さんが仰っていた「続けても辞めても正解。ただ引け目を感じたりしたら不正解」この気持ちがとても大事だと思います。

この記事は決して演劇をやめることを勧める記事ではありません。ですが、もしこれを読んでいる貴方が演劇を続けるか悩んでいるのならば、この記事が貴方の新しい可能性のきっかけになればと思います。

店舗情報

とりいちもんじ

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◼︎営業時間:11:30~翌1:00
◼︎住所:神奈川県横浜市保土ヶ谷区岩間町2-162

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