今が旬!注目の演劇人Vol.6「失敗は若いうちの財産だから、コケまくれ(前編)」THE REDCARPETS主宰:金房実加

「今が旬!注目の演劇人」

このタイトルを聞く度に「僕の旬はいつなんだろう…」と何とも言えない気持ちになります。どうも、編集長の加藤エンです。せめて旬がまだ過ぎてないことを願っています。

され、今回で6回目となるこの企画。今回はTHE REDCARPETS主宰であり、数々のプロデュース公演の脚本・演出も手がける、金房実加さんです!

THE REDCARPETSとは

舞台芸術学院ミュージカル科の同期メンバーで立ち上げた前身劇団「天然スパイラル」を経て2009年に結成。独特の言葉のセンスと毒のある軽快な笑いで、重ためのテーマをポップに調理する金房実加が作・演出を担当。方や、童女のようなイノセントさと不思議な母性を併せ持ち、コントでは物怖じせずに体当たりで笑いを取りに行く「芸人気質女優」の平島茜が看板女優を務める。新コンセプト、「幸福に境界線なし」を掲げ、現在はマイペースかつフリーダムに活動継続を目論んでいる。

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金房実加とは

1977年、滋賀県出身。舞台芸術学院ミュージカル科卒業後、同期生と劇団天然スパイラルを結成。すべての作品で脚本・演出を担当し、8年の活動の後、解散。同時に演劇ユニットTHE REDCARPETSを旗揚げ。毒のある笑いとリズミカルな言葉遊びで、軽快なコントから重ためな一本モノまで独自の世界観を表現する。劇作家で演出家の水谷龍二氏に師事し、コメディを中心に外部でも劇作家・演出家、演技講師として活動中。また、心理カウンセラーの資格を取得し、女性たちを内面から美しくする「官能ライフクリエイター」として、セミナー等の活動も行っている。
twitter:@MikaKanafusa
blog:Eccentric Muse〜人生を官能で満たせ♥〜

演劇に携わり始めた経緯

キッカケは宝塚

ー本日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございます。それではまず最初は金房さんが演劇に携わるようになったキッカケから教えて下さい。

金房実加
私が高1の頃、当時は天海祐希さんがトップだったときに宝塚歌劇団にハマったんです。それで天海さんに惚れ込んで相手役をやりたいと思ったんです。

ただ身長が4mmしか変わらないんです。私の身長が171cm、天海さんが172cm。

全然変わらないのになぜか相手役をやろうと思い立って、娘役で受験するために宝塚までレッスンに通ってました。

それで受験シーズンが近付いてきたら先生に「そろそろ髪を切った方がいい」と言われたんです。

けど、私としては娘役をやりたくて髪の毛を伸ばしてたから「えっ、私娘役がやりたいんで」って言ったら「その身長で何言ってんの」みたいになってしまったんです。

それで男役は恥ずかしくて出来ないと思ったんで、高2でレッスンを辞めました。

ーたしかに僕より全然大きいですね…
※加藤の身長は160cmです。

金房実加
何で気付かなかったんだって感じですよね(笑)

でも「歌と踊りが好きだ」っていう錯覚を起こしてたので、どうにかしてミュージカルをやりたいと思い、東京の専門学校の舞台芸術学院を受けて上京しました。だから、キッカケは宝塚ですね。

活動する中で段々と自分のことを知っていった

ー歌と踊りが好きな錯覚だったんですね(笑)今はどうなんですか?

金房実加
自分の劇団では歌と踊りを取り入れて、割とエンタメ寄りのものをしてます。

ですけど、自分がプレイヤーとして立つ場合、歌はまあ好きなんですけど、ダンスがとにかく不得手なんです。それも分かるまでに時間かかったんですけどね。

あとはミュージカルのオーバーな表現が出来ない。それもなかなか気付かなかったですね。

だから最初は手痛い勘違いをひたすら繰り返してました。

ヒロインみたいなことも当然やりたいと思ってミュージカルもやっちゃってたし、段々と色々一つ二つと気付き始めました。

劇団天然スパイラルについて

天然スパイラル旗揚げ

ーそれで卒業されてから劇団天然スパイラルを立ち上げたんですか?

金房実加
はい。その時はTHE CONVOY SHOWって言う男性グループにすごい惹かれて「コンボイみたいなことをやろう!」っていう勢いで、専門学校の同期の女子6人で劇団を立ち上げてしまいました。

でも誰も脚本を書ける人がいなかったんです。

それで作文が得意だったこともあって、脚本なんて書いたこともなかったのに「私、脚本書いてみる」って言って脚本・演出をたまたまやってしまったんです。

そうしたら一回目にやった公演が意外と受けてしまって、「次も楽しみにしてます」みたいな感じになってしまい、一回切りの公演のつもりがやめられなくなってしまったんです。

天然スパイラル解散

ーしかし、8年間の活動の末、天然スパイラルは解散してしまったんですね。

金房実加
はい。女子ばっかりということもあってか方向性の違いだったり、プロで食べていきたい子と仲良くやってたい子との落差があり解散という形になりました。

ー8年もやってて、それでも趣味でやっていきたい方っているもんなんですね。ちょっと驚きです…

金房実加
そうなんです。私はそこが分からなかったんです。

私は25歳の時に水谷龍二さんにお会いして、お仕事を頂けるようになったのが大体それくらいだったので、最初から「絶対食べていく」ってのを信じて疑わなかったんです。

自分に才能があるとかそういうことは全く思ってなかったんですけど、なんか逆に言うとそれ以外に社会に馴染めないから、もうこれを取り上げられたら人としてどうしようもないから、これしかない。

金房実加
別にかっこいい意味じゃなくて、「これ取られたら本当にクズだな」みたいなところで、食べるってことがずっと念頭にあったんです。

やめてった子達も口では「食べていきたい」って言ってたし、趣味でやっていきたかったつもりはなかったと思う。

でも、やっていることとか意識を見てると私から見てても甘いし、「そんなんじゃ食えないだろうな」ってレベルから進歩していかなかったので、そういう子達のクビを切らせていただきました。

埋まらない意識の差

ーこれまで色んな劇団さんにお話聞いたり、僕の周りにも劇団は数多くありますがメンバーのクビにしたって話は初めて聞きました。判断のポイントになるのは意識の差とかなんでしょうか?

金房実加
そうですね。

今から振り返ると、私の正義だったり私の目指すところをみんなに押し付けてたなって反省もすごくあるし、なんであんなやり方しか出来なかったんだろうってところでは自分の若さもちょっとあるのかな。

悔いはないですけど「もうちょっと他のやり方もあったかな」とも思う。

でも、やっぱり意識の差ってのは埋まらない。

だから、ある種見せしめのためにクビを切らせてもらった時は、埋まらないものを埋めるにはそれしかなかったって感じですかね。

ーたしかに意識の差を埋めるのって、とても難しいことですよね。

金房実加
決して唐突にクビを切った訳ではなく、一応その個人面談というかみんなと話をしました。

「私はこういうつもりで切りたいと思っている」「やる気のない人とはここで別れたいと思ってるけど、どう考えてるの?」ってのをヒアリングして、その上で自信がなさそうだったり、「私ってどうなんだろう」って言ってる子がいたので「そんな自分で自分に自信がないのならここにいられても困る」みたいな感じで、バサッと。

でも今も仲良いですよ。

ただ劇団を解散した時は本当に空中分解みたいになっちゃって、その子達とは会ってないですし、連絡も最近ぼちぼちやり取りはしましたけどなかなか溝は埋まらないでしょうね。

離婚ってこんな感じかなって思いましたね(笑)

決めたら動くがモットー

ーそうかもしれないですね(笑)。ご結婚はされてるんですよね?

金房実加
はい。去年の6月にしました。

彼も演劇系の人なので、私が彼の現場に役者として呼ばれて出たのがキッカケでした。

ー結婚願望って若い頃からあったんですか?

金房実加
全く無くって、それこそ35歳くらいまでなかったんです。

けれど結婚が決まった1年前くらいに年が明けたら突然ものすごく結婚したくなってて、「今年絶対結婚しよう」と思ったんです。

当時、まだ彼とは付き合ってなかったんですけど、結婚するっていうことを先に決めて友達に言って回ったんです。

公演が終わってからご飯食べに行ったり、ちょっと遊びに行ったりしてたら「こういう人と結婚したら楽だろうな」みたいに感じたんです。

好きになって結婚したのではなく、結婚を最初に決めたんです。

だから「お付き合いしたい」みたいに言ってもらった時に「そうやったら結婚しようや」って半分強制的に持っていったみたいな感じです(笑)

ーそうなんですね(笑)。先結婚というゴールを決めてからそこに向かっていったんですね。

金房実加
そうですね。決めたら動くってのが割とモットーですね。

相手の都合や環境とか関わりなく、自分の中でこうするって決めたら自然と物事がそっちに動く。みたいなことはあるのかな。

劇団として売れるというビジョンが持てなかった

ーなるほど。少し話を戻すようですが、劇団を始めた頃からはっきりとした目標みたいなのがあったのですか?

金房実加
「どこどこの劇場に立ちたい」みたいな具体的なとこは正直なかったですね。

実は私が劇団を立ち上げた時は私が一番後乗りだったんです。

率先してやりたかったわけではなく、「誰もいないし、みかも仲良しだしやろうよ」ってなって、仕方なく乗っかった。

言い方をすごく悪くすると、私が選びとった精鋭達じゃなくてたまたまそこに居合わせた人で劇団を作ってしまったんです。

ーじゃあ、代表とかではなかったんですか?

金房実加
一応主宰にはなっちゃったんですね。脚本・演出をやってたので。

けど、私が好きで集めた人とか、選んだ人じゃないからそういう意味で纏まりづらいし上手くいかない。

だから、正直言うと劇団として売れるっていうビジョンはあまり持ててなかったです。

しかも旗揚げ当初の段階から、天スパは「脚本、演出おもしろいね」「役者さんがついていってない」みたいな評価を割と頂いていたんです。

だから必要以上にみんなのお尻も叩いちゃった。でも元々の意識がズレてるからそこがどうしても埋まらないんです。

だから、「みんなの人生を背負って劇団ごと食わす」ってことが私の中で無理だってなってからは「劇団でどうしたい」よりも「私が食えればいいや」って発想に正直なりましたね。

初期はあったけど、後半の方は「このメンツでいける」っていうビジョンは持てなかったです。

金房実加
私以上に劇団のことが好きな子達が軒並み役者として魅力を感じなくなってしまったので、私からすると「いつまで仲良しで部活動やってんの」「プロとしてその程度のレベルしかないのに横と仲良く肩組んでる場合じゃないじゃん」みたいに思ってました。

彼女達からしたら言い分も当然あったと思うんですけど、そこは相容れないまま空中分解しちゃいましたね、結局。

ーでも、クビを切ったりしたことや必要以上に団員のお尻を叩いたのも、「劇団をより良くしよう」と思って行ったことですよね。

金房実加
んー。天然スパイラルをどうこうっていうよりも、単純に「なんでいい作品を作れないんだろう」っていうそこのジレンマですかね。

その時がたぶん創作としては一番純粋に楽しかった時期ですね。

ちょっと外でプロデュースやって別の人達と絡んだ時に「役者がいいとこんな面白いこと出来るんだ」ってのを味わい始めちゃったんです。

だから「劇団を良くしたい」とか「自分が売れたい」というよりは単純に、「現場を楽しくして、いい作品を作りたいのにここじゃダメだから、壊して次に行くしかない」みたい感じでしたね。

ー今あるものを壊すって、すごく勇気のいる決断ですよね。そうしてRED CARPETSが出来たんですね。

金房実加
はい。その時に劇団から2人引っ張って、さらに何度か客演してくれてた子を入れて4人でユニットみたいな形で始めました。

けど、2人とも結婚して妊娠して、1人は子育て中で、もう1人は役者を辞めちゃったので、今は残った2人でやってます。

ここは別に喧嘩とかではなく、穏便に(笑)

天スパと比べて公演回数は圧倒的に少ないですけど、立ち上げからは7〜8年くらい経ちますかね。

後編へ

天然スパイラルの過去や結婚など、様々なことを聞かせていただいた前編はいかがでしたか?

後編は金房さんの失敗談と、そして今回のタイトルの「失敗は若いうちの財産だから、コケまくれ」について語ってくれています。

ハッキリ言います。後編は衝撃の回です。
後編記事はこちら

公演情報

平成時代劇 片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」二○一七年 新春三館同時本公演

「父娘旅情」
会場:シアターグリーンBOX in BOX THEATER

「冥途遊山」
会場:シアターグリーンBIG TREE THEATER

「吉原端唄」
会場:シアターグリーンBASE THEATER

※それぞれの劇場で作品の内容は異なります。

【公演期間】
2017年1月3日(火)~9日(月・祝)全11公演予定 

【チケット発売日】
2016年11月中旬頃より発売予定

詳細はこちらからhttp://alii-inc.co.jp/

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