今が旬!注目の演劇人Vol.5「仲間がいたからここまで来られた(後編)」梅棒主宰:伊藤今人

今回で5人目となる今が旬な注目の演劇人は、役者、演出家、ダンサー、振り付け、MCなど様々な顔を持つ、伊藤今人さんにお話を伺いました。

今回の後編記事では伊藤さんが代表を務める梅棒についてと、夢を追う若者へのメッセージについてお聞きしました!

仲間を誰よりも大切にしている

おんぶに抱っこが一人もいない

ー精力的に個人での活動をする一方で、梅棒では団体の代表を務めるのはかなり大変だと思うのですが…

伊藤今人
大変ですね。でも、僕の場合、代表として立ててもらい、作と総合演出という立場でやらせてもらっているけれど、僕よりダンスが上手い人間もいれば、アートのセンスがある奴もいたり、団体を運営するのに冷静な目を持っている人もいる。なので、梅棒にはおんぶに抱っこの奴が一人もいないんです。全員がこのカンパニーをそれぞれの責任を持って育てていこうとしているんです。

僕としてもメンバーには大切な立場を担ってもらおうとしているし、みんなも「僕にしか出来ない」ってものを見つけて、責任を持ってやっている。だから、もしかしたら僕は他の団体の代表の方よりも随分楽だと思います。

伊藤今人
例えば、僕が外れても梅棒はちゃんと動いていくと思います。それだけの責任感を持ってちゃんとみんなが団体を支えてくれている。ワンマンじゃなくて、そういう風にやれていることに関しては、本当に仲間に恵まれていると思います。

寂しがり屋だからこそ仲間を大切にしてきた

ーフリーでやっていくという選択肢もあったと思うのですが、それを選ばなかったのはなぜなんですか?

伊藤今人
僕、寂しがり屋なんですよ。人と一緒にいたいし、人と何か一緒に作ることの方が楽しい。ものすごくイケメンで、ものすごくいい声を持っていて、ものすごくいい歌を歌えて、飛び抜けたダンススキルを持っている人間とかではないから、僕の場合は誰かに寄り添わないと居場所がなかったんです。

基本的に臆病なので仲間を失うのが怖い。だからその人と上手くやっていくために、誰かの顔色を伺うような人生なんですよね。なので、団体を運営するときはみんながどうしたいのかとかをすごく聞きますし、気を使うんです。

僕が代表としてやっているのはその程度なんです。それぞれが責任を持って動こうとしてるのを、一人一人確認しするような間を取り持つ作業しかしてないんです。

ーなるほど。リーダーとして「俺が、俺が」ってスタイルではないんですね。

伊藤今人
ある程度のリーダーシップみたいなのは出すけれど、「オレが全部背負っていくから行くぞー!」って言うよりは「あっち行こう」って一緒に行くって感じですよね。仲間に押してもらっている部分もあるし。

僕はフリーでやっていけなかったから、仲間に寄り添うしかなかった。だから仲間を誰よりも大切にしているのかもしれない。

ソウルメイト

ー梅棒のメンバー同士でケンカとかはされないんですか?

伊藤今人
しますよ、全然。でもケンカの理由が梅棒を良くしようと思ってぶつかるんですよね。だから、それでやめていったとか、言ってしまえばそんなくだらない間柄でもない。あとは男同士ってのもありますかね。

言うべきときは言うし、ケンカするときはしますけどね。そもそもオリジナルメンバーが梅棒のためだけに集まったわけではない。梅棒が始まる前から一緒にいる人間だし、ソウルメイトみたいなところはあるんで、そこでぶつかり合ったからって人間関係が破綻することもないですね。
めっちゃ仲良いんですよ(笑)

今後の抱負

無理をしている

ー今後の抱負について教えて下さい。

伊藤今人
僕自身が演劇やってて、ダンスやってて、MCやっててというところに足を突っ込んでいる人間。梅棒も同じように色んなところに波及するスタイルだと思っていて、基本的には演劇のつもりで作っているけれど、ダンスのエンターテインメントである。J-POPを用いることによって、音楽が好きな人にも興味を持ってもらえたり、あとは笑いの要素が多いので、お笑いのところでもお客さんをつかめる。

やっていることがシンプルで分かりやすいスタイルってのもあるから、演劇好きじゃない人やダンスに興味がない人も梅棒を見て感心してくれたり、そういうものすごく敷居の低いパフォーマンスだと思っています。より多くの人が観れるチャンスを作れる可能性のある団体だと思っています。

正直、第6回公演でグローブ座、しかも2〜3日ではなくて、それなりの日数をやるってのは無理してるわけですよ(笑)

ー無理してるんですか(笑)

伊藤今人
はい(笑)それは「もっと僕らのことを知らない人に見てもらいたい」という意識があって、まず一つ「トレンドであるうちに売れ抜けてしまいたい」っていうのもあります。あとは「活動期間内にいかに知らない人に来てもらうか」ってのがあって、そのためには身内の客ではないところに一歩踏みでなければいけないんです。

観に来れるチャンスを作る

ー「活動期間内にいかに知らない人に来てもらうか」というのは?

伊藤今人
週末だけで公演をしていたら身内が来て終わりなんです。もちろんある程度の知名度があれば週末だけの公演でも十分にチケット完売は出来ると思います。けど、そこから口コミが広まって「観に行ってみようかな」「いつ行けるかな?」「あっ、あと一週間やってるじゃん」「じゃあ、この日に行こう」みたいな身内以外の人が来れるチャンスがなければ意味がない。

口コミが広がる伸び代を残して、全く知らなかった人が公演に気づいたときに観に来れるチャンスを残したい。だから僕らは絶対に一週間以上やろうって決めてます。

トレンドのうちに売れ抜けろ!

伊藤今人
今来ているグループのうちに突き抜けた実績を残して、安定した基盤を手に入れたいんです。「今来ている奴らがいるらしいぞ!」っていうトレンドのうち動員伸ばさないと、トレンドじゃなくなった瞬間に伸び率がぐんと下がるんです。

経済的に言えば、手綱を緩めてしまえば楽なんですよ。バイトだって出来るようになるし。でも、売れ抜ける重要性っていうのは僕がこれまでの10年間で周りを見て来てすごく身にしみていること。だから、体が動くうちに、無理が出来るうちに、無理のある劇場規模、公演規模で公演をするっていうことを自分達に課しているんです。

なんとなくで演劇を続けている人がやめていく理由ってのはここにあると思うんですよ。そりゃあ、お金がなければ生きていけないから、生きていける範囲で活動しようとする。そこを敢えて超えて行くっていう、自分らに対してタスクを課して僕がやっていけてるのは一人じゃなくて、仲間と一緒にやれているから。

ーたしかにそこってすごく大事なことですけど、かなり大きな壁ですよね。

伊藤今人
どこまで行ったら売れ抜けてる状態なのかは分からないですけどね。

稽古して本番やって、それが終わればまた別の稽古をして本番をやるみたいなことだけで、年間が回って生活できていけるのであれば、それは演劇人として最高じゃないですか。それになるにはやっぱりまだまだなんですよね。お金も経験も、手を差し伸べてチャンスをくれる人も足りないんです。

僕らはこれまで、ぴあさんだったりパルコさんだったりがチャンスを差し伸べてくれて、それになんとか縋ってここまで来ることが来れました。けど、より多くの人からより多くの協力を得て、信頼を得るにはまだまだ自分達の認知度が足りないと思っています。そのためにも「トレンドのうちに売れ抜けろ!」ってことですね。

伊藤今人から夢を追う若者へ

ーでは、最後に伊藤さんから夢を追う若者へアドバイスをいただけますか。

伊藤今人
夢を追いかけてる人はたくさんいるけど、自己把握を出来ていない人ってのが多いと思います。

自分はこういう人間で、これが武器である、これが弱点である、自分が夢に向かって行くためには自分の武器はこれしかない。じゃあ、その武器を強化するのか弱点を埋めるのか。そのためにどういうプロセスを踏んで、その夢に向かっていくのか。そもそも自分が向かっている夢に対してその武器ってのは正しいのか。ってところまで考えられている人があまりにも少ない。

別にイケメンじゃないのはしょうがないし、歌が歌えないのはしょうがない。だったら自分に何が出来て何で生きていくかを冷静に見つめないと、恵まれてる人には勝てない。そのために自分を知らないといけない。

自分を知っているから僕らは臆せず仲間に頼ることが出来てます。自分と仲間が何をすれば、どういう作品を作れるかも知っているし、それが今どういう人達にウケていて、どういう人達には見てもらえてないかも知っている。だから「じゃあ、こうしよう」って言える。

戦う前にまず自分の装備を見つめ直せってことですね。気がついたらヒノキの棒で戦っているかもしれないですから(笑)

ーヒノキの棒じゃ絶対勝てないですもんね(笑)

伊藤今人
そうですね(笑)あと、これは僕の好きなマンガ「ちはやふる」からの受け売りなんですけど、

「たいていのチャンスのドアにはノブが無い。自分からは開けられない。誰かが開けてくれたときに迷わず飛び込んでいけるかどうか。そこで力が出せるかどうか」

たしかに僕らがチャンスのドアをどんどん開けて入ったわけではないんですよ。もちろんきっかけを作るために劇場に行ったりだとか、コンテストに出たりはしました。けど、ドアを開けてくれたのは向こう側なんですよね。この世の中、自分で切り開いていけるチャンスばかりじゃないからこそ、その時のための準備が必要なんです。

ー「ちはやふる」めちゃくちゃ良いこと言いますね。今度読んでみます。本日はお時間いただき、どうもありがとうございました。

まとめ

前後編の2回に分けて掲載をした、今回の記事。皆さんいかがでしたでしょうか?

常に上を目指して仲間と共に進み続けて来た伊藤さん。今回のインタビュー中に「僕も必死だと言うことを伝えたい」とおっしゃっていました。僕たち若い世代も負けてられないですね。

皆さんには、共に歩む仲間がいますか?そしてちゃんと仲間を大切にしていますか?
この記事を読むことで、今一度自分の周りの環境について見直してもらえる機会になればと思います。

公演情報

※公演終了
梅棒:6th OPUS 「GLOVER」
◼︎日程
 東京公演:2016年10月15日~23日 @東京グローブ座
 大阪公演:2016年10月25日~27日 @森ノ宮ピロティホール
◼︎場所
 東京公演:東京グローブ座
 大阪公演:森ノ宮ピロティホール
「GLOVER」の特設ページへ
詳細・予約はこちらから
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10/28(土)13:00〜開催!