注目の演劇人シリーズも4人目。あのドラゴンクエストライブスペクタクルツアーで、旅芸人パノン役を演じた30−DELUXの田中精さんにお話を伺いました。
役者生活20年目を迎えた田中さん。田中さんが歩んできた道には常に演劇があり、素敵な人達との縁があったと言います。今だからこそ思うこと、そしてこれまで歩んできた道程について、お聞きしました。
田中精
1977年1月6日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部映画学科演技コース卒。2000年、カプセル兵団旗揚げに参加し、2005年2月、カプセル兵団退団。フリーとして様々な団体に客演しながら公演やイベント、ヒーローショーの作・演出やインターネットTVのMCなど、小劇場界の枠を超えてマルチに活躍。2008年、劇団ソコソコ旗揚げ。2012年30−DELUX加入。2016年のドラゴンクエストスペクタクルライブツアーではメインキャラクターの1人である旅芸人パノン役で出演。
30-DELUX
タイソン大屋(劇団☆新幹線)、佐藤仁志、佐々木智広(Afro13)、清水順二、通称ギリギリ♥ボーイズの4人が2002年に立ち上げた激空間ユニット。主に東京・大阪・名古屋・福岡の4大都市を中心に年1~2本の本公演を上演。番外公演も含めると、これまでに25本の作品がある。
2017年には結成15周年を控えており、演劇界も注目するユニットのひとつである。「笑って、泣けて、考えさせられて、カッコいい」というテーマを元に、初めて演劇を見るお客様でも分かりやすい内容のエンターテイメント作品を常に追求し続けている。
役者を志したキッカケ
ー今日は宜しくお願い致します。田中さんはお芝居を始めてどれくらいになるんですか?

ー役者を目指したのはいつ頃ですか?

それでクラスの人に「田中くんは演劇をやったほうが良いよ」と言われたのがそもそも役者を目指したキッカケです。それまでは全く役者をしようとは考えてなかったです。
高校卒業後、2浪して日大芸術学部の映画学科に入りました。初舞台は浪人中に千葉の演劇の市民団体で出た舞台です。
演劇にのめり込んだ大学時代
大学に入ってからはどんな活動をしていたんですか?

当時は小劇場が好きでよく観に行ってたんですよね。特に「十六夜社」という劇団が大好きでして。何度も通っているうちに顔も覚えてもらえて、ある公演を観に行った際に主宰の方に「若い役者を探しているので出演しないか」と声をかけてもらい、出演しました。
カプセル兵団旗揚げに参加

それから吉久さんにプロデュース公演とかに呼んでもらったりした後、大学4年の時にカプセル兵団を旗揚げに参加しました。
ーじゃあ学生時代は活発に活動してたんですね。

ー大学卒業後はカプセル兵団の活動がメインになっていくんですよね?

カプセル兵団、→フリー→劇団ソコソコ→30-DELUX
ーカプセル兵団を経て、その後はフリーで活動していく様になるんですよね?

そこには同世代の役者が多く出演していて、現場には「ここからやってやるぞ」という熱気がありました。その中で「これから自分はどうしていくべきなのか。このままでいいのだろうか」と考える様になったんです。
お前の信念は何だ?

その舞台は吉久さんがライバル役で、最後の掛け合いのシーン中で「お前の信念は何だ?」と僕が問われるシーンがあるんです。
そんな都合の良い話あるかって言われそうですが、舞台で吉久さんに「お前の信念は何だ?」というセリフを言われた瞬間に「自分の信念を見つけるために、外に飛び出そう」と思ったんです。
そうして2005年、28歳の時にカプセル兵団を出て、フリーになりました。
劇団ソコソコの立ち上げ

その後、劇団ソコソコを立ち上げて、僕が作・演出をして湯田くんが小道具を作るというスタイルで3年ほど活動をしてました。その頃は毎月ライブハウスで公演するなど、新しい取り組みもしてましたね。
30−DELUXへの加入
ーライブハウスでも公演をしたりと、学生時代から一貫して色々なものに飛び込んで見るというスタイルでやってきたんですね。

他の人を見て、比べてしまったりとか。経験を積まないと不安で仕方ないという考えから始まっているんです。だから本当に色んな経験をしてきました。
劇団の旗揚げから、フリーの役者。主宰、裏方までやってきました。今思えば、それが自分の中に蓄積されてきたのは良かったなと思っています。そのおかげで今では様々なセクションの方の考えを汲みながら仕事をすることが出来てるのかなと思います。
ーなるほど。それから30-DELUXに加入することになるんですよね?

30-DELUXに加入してからは、関わったことのない企業や事務所の方とかとお仕事をする様にもなりましたし、MCやイベントの企画など、仕事の幅も広がりました。今まで役者一筋だったので本当に多くのことを学ばせて頂きました。
諦めかけた役者の道
ここまで非常に明るくお話頂いていますが、演劇を辞めようと悩んだことは無かったんですか?

そのときに辞めることをちょっと考えてしまって。でも、辞めるにしても自分が15年やってきた何かしらの証が欲しいなと思ったんです。なんとなくフェードアウトしてしまうのは嫌だな、と。
その時期に2つの作品の作・演出に関わっていました。
1つは事務所の養成所の子達の卒業公演。もう1つは熊本城のおもてなし武将隊の演出です。
ーおもてなし武将隊ですか?

この2つに自分がやってきた全てを込めれば「僕がこれまで演劇をやってきた意味があるんじゃないか」ということを考えながら望みました。
燃え尽きかけた心に再び火が点いた

2位の発表のときは舞台上では喜んでましたが、楽屋に戻るなり、武将たちが全員泣き出して「すいません、1位になれませんでした」と僕に言うんです。「何言ってるんだ。全国2位じゃないか、胸張ろうよ!」と言いながら僕も泣いてしまって。
その時に、自分が関わった作品でこんなに熱くなれるものがあるんだと、燃え尽きかけていた自分の中の火が再び点いていくのを感じました。
作品にかけた想いが再び舞台の機会をくれた

その舞台を見て、清水さんが「情熱が伝わってきた。こんなに素敵な作品を作ってくれるなら、次の作品は役者として出てもらおう」と言ってくれたんです。
この2つの作品に全力で望んだことで、僕にもう一度舞台に立つチャンスが巡ってきました。
ー演劇に真摯に向き合った想いが、本当に伝わったんですね。
後編記事へ
後編記事では 再び立った舞台から繋がっていった新たな縁や、ドラゴンクエストライブスペクタクルツアー出演の経緯。大舞台に立ったことによる自身の変化や気付きなどについて、お聞きして行きます!お楽しみに!
後編記事はコチラ→後編記事
公演情報
30-DELUX 「新版 国性爺合戦」
■日程:2016年9・10月
■場所:東京、愛知、福岡、大阪の4都市で公演
※日程及び公演場所の詳細は下記の公演詳細ページよりご確認下さい。
■公演詳細ページ:http://www.30-delux.net/
