「今が旬!注目の演劇人!」3人目は小劇場俳優から始まり、テレビ、映画、エンターテインメントショーなどに多数出演。小劇場の舞台からステップアップした俳優の代表として、注目を浴びているお座敷コブラの座長、伊藤裕一さんにお話を伺いました。
これまでの道程や、俳優としての仕事との向き合い方。多方面で活躍しながらも継続して公演を行うお座敷コブラについての想いなどを伺ってきました。今回は後編をお届けします。
伊藤さんのインタビュー前編はこちら→前編記事
本気の人に囲まれてエンジンがかかった
ー自分の退路を断って活動する中でも、意識が変わるようなことや転機の様なものはあったんですか?

ー頭を剃るって、芝居のためとはいえ、相当な覚悟が必要ですよね。

たまたまそこで出会った人が所属していたのが、今所属している事務所でした。話を聞いて、良さそうだなと感じたので、オーデションを受けて、入ることになったんです。
自分の芯を持つ
ーここまでお話を聞いていると、伊藤さんは何か自分の中に「芯」のようなものを強く持っている様に感じるのですが、それは昔からなのですか?

事務所に入った後も、それこそ本当にたくさんのオーデションを受けたんですが、落ちる数がものすごい多かったんです。それで何がいけなかったのかなとか、色々と考えた結果、スタンスを少し変えました。
最初は相手の求めることに向けて、自分を寄せてたりしたんです。それこそ毎回毎回くねくねとあっちへいったりこっちへいったりしていて。でもそれでダメだったので、フラフラせずに自分というスタンスを持っていくべきだと思ったんです。
自分というものをしっかり持って提示する様にしたら、少しずつ受かる確率は上がっていきました。
ー失敗や挫折の中から学んでいったんですね。

今でも顔合わせではけちょんけちょんになって帰ってきます(笑)。
天才ではないからこその努力

ー今でもそういう風に感じてらっしゃるんですね

でもそういう人達を見ながら、じゃあ自分はどうやって戦っていこうかなと、自分の立ち位置や、やるべきことを冷静に考えて、できることをやってきました。

お酒もそのために飲めるようにしましたし、タバコは吸いませんがスタッフの方とコミュニケーションを取りたいので喫煙所にも良く顔を出します。
若手へのアドバイス
ー小劇場の舞台からステップを上がってきた伊藤さんに、先輩として若い演劇人にエールがあればいただきたいのですが。

ー途中までは「続けていればいつかどこかで誰かが見つけてくれる」という言葉かと思いました。逆に「そんなことは無い」んですね。

例えば忙しいプロデューサーは、小劇場の舞台に才能を見つけにくるなんてわざわざしてくれないかもしれません。そういう人に出会いたかったら自分からオーデションに行くしかないです。
3〜5年後、どうなっていたいのかを考えて、その都度、自分がやるべきことをしっかりとやる。やった分だけ返ってくる。種をまいた分だけ、花は咲くと思うんです。
ー未来を意識して今の活動をしていくというのは、昔から意識していることなんですか?

ーえ?事務の人ですか?思いがけないキッカケですね。

そのあたりから3年後とか、将来のことをより意識する様になりました。
今後の抱負
ー伊藤さんの今後の抱負などはありますか?

ー考えてきてくださって、忘れたんですね(笑)そんなに構えたものでなくても大丈夫なんですが。

ー伊藤さんらしさを感じる謙虚な抱負をどうもありがとうございます。今日はお時間を頂きましてどうもありがとうございました。
まとめ
インタビューを通じて、誰よりも地道な努力を積み重ねてきた伊藤さんの、謙虚・誠実な人柄がとてもよく伝わってきました。
また、冷静にお話をして頂いた中でも、時々伊藤さんの中に見え隠れする、誰よりも熱い情熱の様なものも感じました。そういう部分が伊藤さんの人間的な魅力として、多くの人々を惹きつけているのでしょう。
伊藤さん、どうもありがとうございました。
公演情報
お座敷コブラ:12畳目公演「RUN」ver.2.0
◼︎日程:2016年11月3日(木・祝)~13日(日)
■公演詳細ページ:http://11-13act-run.jimdo.com/
その時の監督がリアルを追求される方で、オーデションで「頭を沿って地毛でちょんまげ出来ますか?」と聞かれたんです。そこでもちろん出来ないと断る人も居ましたが、結果的に自分を含めた10名ほどが頭を剃ってちょんまげにしました。
そこで共演した方々は皆、腹を括っていたというか、覚悟を決めて役者をしている人ばかりだったんです。話をすると、決して自分に酔って無い。中身もあるし、それぞれビジョンも持っていた。そんな人達に囲まれることで、自分の中のエンジンもかかっていく感覚がありました。