【連載企画】第4回 日本語の特徴(春夏秋冬:深谷禰宜)

「しばいのまち」をご覧のみなさま、こんにちは。深谷禰宜です。早いもので最終回。今回は「日本語の特徴」について少し、お話したいと思います。
第1回 声の響かせ方
第2回 「滑舌」と「呼吸」
第3回 台詞の言い回し

日本語の特徴

私達日本の演劇人は共通言語として、日本語を取り扱います。ですが日本語の基本ルールを明確に認識している人は今や少なくなってきています。ここでは基本に立ち返り、日本語の特徴を学んでいただければと思います。

日本語は上から下へ

日本語は基本的に、上から下に流れます。昔ばなし「桃太郎」で試してみましょう。先週書いた【高低】を使い、次の文章を読んでみてください。

「↓むかしむかし↑あるところに、→おじいさんと↑おばあさんが↓住んでいました。」

…ちょっと変じゃじゃないでしょうか。ですがこれ、誰もがやりがちな間違いなんです。これでは「むかしむかし」より、「あるところに」が強調され過ぎでしまい、「おじいさん」より「おばあさん」が強調されすぎてしまいます。…このおばあさん、何者なのでしょうか。では、今度は次のように読んでください。

「↑むかしむかし↓あるところに、↑おじいさんと→おばあさんが↓住んでいました。」

どうでしょうか。この方がしっくり来ませんか?日本語の高低というのは、文節の中では上から下に流れます。もしこれを無視して読んでしまった場合、頭の悪い人物、教養のない人物と捉えかねません。よほどの感情の爆発や、イレギュラーな事がない限り、台詞の高低は上から下に読んであげましょう。

文末意思決定型

日本語は、文末の最後の一音をどう変化させるかでその人物がどんな意図をもって発言しているのかが分かります。例えば下のような台詞があった場合、あなたはどう読みますか?

「好き」

この2文字という短い台詞を、どのように表現したでしょうか。文末の表現によって、どのようにも受け取れる文章です。例えば、

  • 好き。(ストレートな告白)
  • 好き?(疑問形)
  • 好き!(強調、怒り)
  • 好き♪(嬉しい)
  • 好き…(言いづらい、後悔、辛い)

このように、同じ台詞でも様々な表現が出来ます。その瞬間、その役が、どの感情で、どのように言葉を伝えようとしているかを想像し、最適な言い方を選びましょう。指定がない場合には、自由に想像し、色々なパターンで表現してみましょう。今まで思いつきもしなかった、新たな役の一面が発見できるかもしれません。

語感の特徴

日本人は古来より、農耕民族として栄えてきました。日本語の発音は、遠くの田畑にいる仲間と会話がしやすいように、遠くまで聞こえる音を多用するように進化してきました。そのため昔からある日本語の多くは、語感のみで意味が読み取れるように出来ています。例えば、「~だよ。」という言葉は、言葉の意味を強調、確定させる際に使います。

どのようにしてその意味になったかというと、まず「だ(DA)」という音で相手に言葉を強く押し付け、「よ(YO,ieO)」という音でもう一度置きなおす。つまり2度も言葉の意味を伝えて強調しているのです。

脚本家は一言一句まで注意をはらい、意図して台詞を書いています。できるだけ脚本家の意図を読み取り、表現を選べるようになりましょう。

バラバラの法則

日本語で会話をするとき、連続した文節で同じ言い回しをすることはまずありえません。一つ一つの文節にある意図を読み解き、それぞれ違う表現をしましょう。同じ言い回しを何度も使ってしまうと、「棒読み」「一辺倒」「飽きる芝居だ」などと言われてしまいます。

また、直前にある相手の言い回しと同じになってもいけません。「話を聞いてない」「会話になっていない」「見当違いだ」と言われてしまう原因になります。相手がどのような言い回しをしたのかをしっかりと聞き、台詞の五大要素をふんだんに使って会話のキャッチボールを面白くしていきましょう。

まとめ

4週に渡り、発声と台詞について書かせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。演技という答えのない課題に対して、的確に意図した芝居をすることの技術がどれだけ奥深いかを少しでも分かっていただけたでしょうか。

演技というものは、こうした「発声」「台詞」の聴覚に訴える技術に加え、「表情」「身体表現」という視覚に訴える基礎技術を、どれだけ提示できるかが大きなポイントとなります。台本から意図を「読み解き」、そしてそこに「発想力」を加え、「感情」と「理性」をもって表現をし、監督や演出家の意向に沿って柔軟に「変化」「対応」をさせる。そうしたことで作品はより面白く、素晴らしいものになっていきます。俳優、声優を志す皆さんは、こうした細かいことを一つ一つ大切にし、より作品を面白く出来る表現者になってください。そして質問や相談がある場合には、遠慮なく春夏秋冬プロジェクトの問を叩いてください。

それでは、いつかまたお逢いしましょう。ありがとうございました。

(※注意:本記事で紹介する技術は、私個人が私なりにまとめた技術論です。皆さんが関わる作品のテイスト、上演の仕方、団体の意向、などにより多種多様な方法論がある為、私の記述とは全く違うことを言われることも多々あります。その際には、その団体の方針に従い作品を創ることを、強くオススメいたします。)

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筆者について

元劇団かかし座劇団員として、年間200ステージの舞台に立ち、ここ数年は舞台の演出、制作、プロデューサーとして商業舞台を含む様々な舞台やイベントに携わる。いくつかの団体でキャスティング権を持ち、それを元に活動を続けている。演出では声や音を重視し、より聴きやすく観劇しやすい作品に作り上げている。春夏秋冬プロジェクト代表、特殊パフォーマンススクールRPG特別講師


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