しばいのまちでは「今が旬!注目の演劇人!」と題して、そのまんまですが、今が旬だと感じている演劇人、主に俳優、演出家の方などを中心に今後インタビューを掲載していきます。
記念すべき1人目はからくりサーカスや月光条例の上演などで、公演動員数2,000人を超える人気劇団「カプセル兵団」の看板俳優、青木清四郎さんにお話を伺いました。
来年で入団10周年を迎える青木さんに、過去を振り返ってもらいながら、なぜ10年近くも続けてこれたのか。看板俳優に上り詰めるまでに取り組んできたことなど、様々なお話を伺いました。
カプセル兵団
元「惑星ピスタチオ」の吉久直志が新たな演劇表現の可能性に挑戦する場所として1998年にプロデュース公演を行い、2000年に劇団として旗揚げ。「熱く生きる」をテーマに熱く誰もが抱くストレートな人生哲学を交えた、物語に熱いハートで道を示し、更に放題なギャグと切ない人生ドラマを描く作品を送り出す、スーパーエンターテイメント集団。「映画を見ているような感覚」で演劇を見せる「ビジュアルイマジネーション演出」や新感覚のダンスパフォーマンス、圧巻のアクションで多くのファンを魅了している。
青木清四郎
1983年、千葉県生まれ。2007年国立山形大学卒業後、劇団カプセル兵団に入団。以降、ほぼ全ての舞台に出演。客演を含め年間10本ほどの舞台に出演。TVドラマ、CM出演、MC業なども行う。趣味はマンガやアニメ鑑賞と飲酒。特技として殺陣や武器、鎧等の小道具を自ら作る。劇作家協会員。受賞歴としては劇王東京「シアターミラクル賞」、劇王東京2「シアターミラクル最優秀賞」、第二回阿佐ヶ谷小さいSF演劇祭「大賞」、第二回阿佐ヶ谷小さいSF演劇祭「観客賞」などがある。
入団10年を振り返って
役者を目指したキッカケ
ー今日はお時間を頂きどうもありがとうございます。青木さんは来年でカプセル兵団に入って10年とのことですが、そもそも役者を始めたキッカケなどからお話をお聞きできればと思うのですが。

ー教師を目指してたんですね。ではお芝居は大学入学後に始めたんですか?

大学3年の頃に、2つ上の先輩が東京で芝居を始めたって言うんで東京に観に行ったんです。それが面白かった。ちょうど教師に向いてないんじゃないかと悩んでた頃なんで、そのときに「役者としてやっていく道もあるんだ」と思いました。
ーその時に仕事として役者をしていこうと決めたんですね

カプセル兵団との出会い

当日のパンフレットを見たら「劇団員募集」って書かれてたんで「この劇団に入りたい!」と思って、公演後に受付の人に「どうやったら劇団に入れますか?」と直接聞きに行ったら、困った顔されまして。
「確認しますね」と奥にいったん引っ込んで、戻って来た時に「また後日連絡して下さい」と言われて、後日プロフィールを送りました。
ー偶然だったんですね。しかもそのキッカケの公演を、今度は青木さんが主演でやるなんてすごいですね。

天狗になっていた入団当初
ー入団した頃の青木さんは今と比べるとどんな感じだったんですか?

先輩の演技とかにも「俺だったらこうやる」とか思ったり、座長からの指示も「何が面白いんだ」と心の中で反抗してたりとかして。最初の1年とかは全然言われたことを受け入れられなかったです。それで、すぐ文句言ってましたし、チャレンジ精神はあったんですけど、認められないとすぐヘコたれてた。
でも自分が理解出来てないギャグとかが本番でウケたりしてるのを観て「自分はもっと勉強しなくちゃいけないんだな」と少しずつ気付いていきました。
ー青木さんでもそういう時期があったんですね。
自分の中でちゃんと考える

たとえば芝居で「よくわかんないけど面白くない」って思ったときの「よくわかんない」を解消するためには努力をしなくてはいけなんですよね。人に聞いたり自分なりに分析したりとか。自分の頭できちんと考えることが大切ですよね。

何でそうする必要があるのか、それを言った人はどういう意図で言ったのか、いったん考えて、できれば、それができるようになってから、その上で自分で考えて取捨選択をする。そうすればできることも増えるし、自分のしたいこと、好きなことも見えてくると思うんです。
転換点
ーそういうことを分かり始めたというか、意識が変わったのは青木さんの中でキッカケとかあったんですか?

そういう立場になったら、自分が出来ないわけにはいかない。上手くないとナメられてしまいますし、チャレンジも積極的にしていかないと示しがつかないと思ったんです。そのあたりから意識が大きく変わっていきました。
10年続けてこれた理由
ー1つのことを10年続けるというのは簡単なことではないと思うのですが、10年続けられた理由とかってあるんですか?

辞めるタイミングを逃したというのもあったりしますが(笑)それでもやはり僕自身がカプセル兵団の芝居が好きですし、座長は天才だと思うんですよね。僕が出たいと思う芝居を作るということに関しては本当に天才(笑)。
だから、10年続いたってのはやっていて楽しいからですかね。最近は特に自分がやりたいとイメージしたことは昔と比べてかなりやれるようになってきました。
ファンの増やし方。0→1が大切
ー今では青木さんもファンの方とかが公演に足を運んでくださると思うですが、ファンを増やすために取り組んだこととかはあったんですか?

カプセル兵団って客出しNGだったんですが、たまたまある公演で僕はグッズコーナー係でロビーに出ることができたんです。で、その時グッズを宣伝しながら自分からコミュニケーションを取りに行ったんですよ。その結果、特定の人目当てで来てくれた方が、僕や劇団にも興味を持って下さって、また観に来てくれるようになったんです。
そこで、0が1に増えたのが大きかったと思います。1人でもその人を見てくれる人がいれば、そこで流れみたいなものが生まれてくるはずなんですよ。1人も見てないワゴンより、何人か見ているワゴンの中身の方が見たくなるじゃないですか。
ー自身で積極的に知らない方達に声掛けしたんですね?!

知らない人でも積極的に話しかけたり、喋ったりすれば興味を持ってもらえて、次に繋げていけます。良い芝居をしたら人が来るって考えは現実中々難しいですよね。自分に興味を持ってもらえるにはどんな方法があるのか、考えるのも重要だと思います。もちろん前提として芝居は頑張りますが。
後輩たちへのエールとアドバイス
呑み会も芸の肥やし
先輩として、青木さんから若い役者の人達にアドバイスとかもあればぜひ頂きたいのですが

芝居って言うなれば「自分の好きを伝えること」じゃないですか。呑み会ってその格好の練習の場だと思うんです。
僕も昔、全然呑み会で喋れないし、自分の好きなこととかも語れなかったんです。若い頃は呑み会の度に座長に呼ばれて「なんでもいいから喋ってみろ」って言われるんですよ。最初の頃は上手く話せなくて「つまんねえな」って言われるんです。それを何度も、何度も繰り返しました。結果的にそれがすごく力になったんです。
滑ってもいいんですよ。公演では滑ったら終わりですけど、呑み会なら何回それをしても怒られません。なんでも良いから自分の言葉で人前で伝える機会は、とにかくたくさん持ったが良いと思います。
役者の勉強になる仕事を選ぶ
ー後輩の方たちなんかもアルバイトをしながら役者業をしている人も多いと思うのですが、今は役者として生計を立てている青木さんからそういう「稼ぐ」という点でもなにかアドバイスとかが頂けたらと思うのですがいかがでしょう。

僕は販売員やMCの仕事をしていたんです。そこではコミュニケーションであったり、何かを人に言葉で伝えるということが学べました。そこでの経験は芝居にも大いに活かせていると思います。別に何でもいいんです。体力つけたいからガテン系の仕事するとか、滑舌良くしたいから店頭販売するとか、お金貰って役者としてのスキルアップにも繋がって一石二鳥ですよ。
あと役者としての仕事の増え方でいうと、やはり自分の実力が付いて行って、認知が広がっていったり集客力がついていくると自然と仕事の幅が広がっていきました。アルバイトでも役者の仕事でも、常に「芝居で食べていく」という事を意識して取り組まなくてはダメだと思います。
今後の抱負
最後に青木さんの今後についてお教えいただきたいのですが、今後やりたいことや抱負などはありますか?

あとは自分でプロデュースをしたり、今は年に1〜2回くらいですが、作演出の活動も増やしていきたいです。今後は仕事の幅を広げられたらなと思っています。
ーなるほど。ちなみに次の公演はいつですか?

今までカプセル兵団を観たとこない人は、僕が初めて観た時のように「こんなの知らない」「観たことない」と感じてもらえる作品だと思いますので、是非ちょっと無理してでも観に来て欲しいです。その価値はあると自負しています。
ー楽しみですね。今日はどうもありがとうございました。
まとめ
青木さんは終始とても楽しそうに、今までの自身の取り組みやお芝居に対する思いを語って下さいました。
劇団の看板俳優として、本当にたくさんの努力を積み重ねてきたのが、お話から伝わってきました。何より青木さん本当にカプセル兵団のお芝居が好きなんだというのも感じました。
そんな青木さんが主演を務めるカプセル兵団の公演にぜひ、足を運んで観て下さい。
公演情報
※公演終了
カプセル兵団「炎の60分シリーズ 4本立て一挙公開祭り」
◼︎日程:2016年9月15日〜9月26日
◼︎会場:ワーサルシアター八幡山
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