【連載企画】第3回 台詞の言い回し(春夏秋冬:深谷禰宜)

「しばいのまち」をご覧の皆様、こんにちは。深谷禰宜です。早いもので3回目となりました。くどくどと難しい話をするので、既に飽きてしまってはいないでしょうか。少し心配です。

前回までは「声」に関する技術でしたが、今回からはいよいよ「台詞」に関する技術です。3時間目となる今回は、「台詞の言い回し」の技術について書いていきます。

最近、私自身が次に演出をする10月秋公演のために、映画や舞台をよく見るようにしています。いくつか作品を観る中で、上手い俳優さんと未熟な俳優さんの違い、そして作品やシーンにどのような技術が使われているかはどうしても気になってしまいます。それさえ分かれば、上手い俳優になることが出来るはず。良い作品が作れるようになるはずですよね。今回は、その分析をするためにも有用な、かつ使いこなせれば俳優として相当レベルアップの出来る、台詞の基本技術を説明させていただきます。

第1回 声の響かせ方
第2回 「滑舌」と「呼吸」

台詞の五大要素

皆さんは、台詞の五大要素というものを知っているでしょうか。これは俳優が台詞を発するときに使う技術で、全ての台詞に対し常に使うことのできる5つの技術のことを指します。

  • 大小
  • 高低
  • 速度
  • 声色

この5つさえマスター出来れば、どんな台詞も怖くありません。一つ一つの技術を意図的に使いこなし、素敵な演技が出来るようになりましょう。

大小

文字通り、声の大小で台詞に抑揚をつける方法です。声の大きさでお客様の感情を揺さぶってあげましょう。

日本語は英語などと違い、アクセントという概念がありません。1文節(句読点で区切られる一文)の中で大きさを変え抑揚をつけてしまうと、語尾が消えたり、文頭が大きくなってしまったりして、台詞の内容が聞こえづらくなってしまいます。声の大小で抑揚をつける場合は、単語の強調などの特殊な場合をのぞき、一文節ごとで別の大きさにするなど、大きな括りの中で使ってあげましょう。

高低

高低は、音程です。自分の使える声域を上から下までめいっぱい使ってあげましょう。そうすれば、どの台詞をどのような感情で発しているのかが分かってもらえるようになります。

高低は1文節の中でも存分に使ってください。お客様の感情を、どれだけ上下にゆさぶれるかが勝負です。

速度

ここで言う速度とは、1文字間のスピードのことです。ひとつひとつの文節を、どんなスピードで表現し伝えるか。それにより、役にとっての台詞の大切さを表現することができるようになります。文字にすると視覚的に分かりやすいと思いますので、下に例を挙げておきます。

例) 「好きです。」 「 好 き で す 。 」

どちらの台詞が、大切に感じますか?

間とは、文節の間にある句読点を読む時の長さ、また相手の台詞と自分の台詞の間の時間を指します。その長さを工夫することで、その役が何を考えているかを感覚で訴えることができるようになります。また、音楽のブレスと同じで、間は息を吸うタイミングでもあるので、息の吸い方や早さ、量なども工夫してみましょう。

間の測り方はそれまでのテイストやシーンの作り方、早さなどによって変わってくるため、それまでの台詞速度に合った間を、効果的に使ってあげましょう。

声色

声色を使うには、明確な意図が必要です。

  • 自分と体格や年齢の違う役を演じる場合
  • 意図的な何かをもって台詞を伝えたい場合(あえてふざける、嘘に気づいてほしい、など)
  • 感情が溢れかえり理性を追い抜いてしまった場合(声が裏返る、ヒステリックになる、など)

台詞に意図がないまま特殊な声色を使ってしまうと、何を言いたいのかがよくわからなくなってしまいます。役の必要に応じて、使ってあげましょう。

3×3×3×3×3=243!

さて、ここまで5大要素を説明して来ましたが、それぞれを身に付けることによりどれだけの技術の習得になるでしょうか。例えばそれぞれの技術を3パターンずつに分けた場合。

  • 大小(大・中・小)
  • 高低(高・中・低)
  • 速度(早・中・遅)
  • 間(長・中・短)
  • 声色(固い・普通・柔らかい)

3×3×3×3×3の選択肢が生まれ、1文節に対し243通りのアプローチが出来るようになりました。いかがでしょうか。これだけあれば言い回しを選ぶことが自由になりませんか?もちろん、それぞれの技術をもっと細分化し明確に表現することによって、さらに繊細な演技ができるようにもなります。イメージを的確に形にできるよう、出来るだけ多くのパターンを使いこなせるようになりたいですね。

まとめ

今週は、台詞の五大要素という台詞の基本技術ついて書かせていただきました。次週は、日本語の特徴などについて説明していきます。それでは、また。

(※注意:本記事で紹介する技術は、私個人が私なりにまとめた技術論です。皆さんが関わる作品のテイスト、上演の仕方、団体の意向、などにより多種多様な方法論がある為、私の記述とは全く違うことを言われることも多々あります。その際には、その団体の方針に従い作品を創ることを、強くオススメいたします。)

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筆者について

元劇団かかし座劇団員として、年間200ステージの舞台に立ち、ここ数年は舞台の演出、制作、プロデューサーとして商業舞台を含む様々な舞台やイベントに携わる。いくつかの団体でキャスティング権を持ち、それを元に活動を続けている。演出では声や音を重視し、より聴きやすく観劇しやすい作品に作り上げている。春夏秋冬プロジェクト代表、特殊パフォーマンススクールRPG特別講師

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