【連載企画】第2回 「滑舌」と「呼吸」(春夏秋冬:深谷禰宜)

「しばいのまち」をご覧のみなさま、こんにちは。深谷禰宜です。
前回は「声の響かせ方」について書かせていただきました。いかがでしたでしょうか。参考になりましたか?

2時間目となる今回は、「滑舌」と「呼吸」について書かせていただきます。滑舌のトレーニングをする時に注意して欲しいことや、授業でもあまり教わって来なかったようなことを書いていきますので、よろしくお願いいたします。

1時間目:声の響かせ方

大きな声でトレーニングしよう!

発声、滑舌のトレーニングをするとき、環境などを理由に小さな声でやる人がいます。これは、全く意味がありません。身体の使い方は声の大きさによって極端に変わるため、いざ稽古、いざ本番となったときに全く出来なくなってしまいます。

広めの公園や、トイレ、お風呂などの密閉空間、カラオケボックスやスタジオなど、普段から大きな声で、本番と同じ声量の出せる場所を選んでトレーニングしていきましょう。

滑舌は、母音と子音

日本語には、母音と子音が存在します。「あ(A)」「い(I)」「う(U)」「え(E)」「お(O)」が母音。「か(KA)」の「K」、「さ(SA)」の「S」などが、子音です。日本語は、この「母音」と「子音」を必ず組み合わせた状態で発声をします。

まずは全ての文字に使われる「母音」の滑舌をハッキリとさせましょう。母音が明瞭になれば間違いなく、滑舌は明瞭になります。

まずは母音

母音をしっかりハッキリと発声させるためには、口の中の形が重要です。舌の奥を下げ、気道を確保し、軟口蓋(なんこうがい)を広げてあげましょう。

軟口蓋(なんこうがい)とは=舌で上あごを舐めてみると歯に近い方が硬い、喉に近い方が柔らかくなっています。この柔らかい場所を「軟口蓋」と言い、硬い場所は「硬口蓋(こうこうがい)」と言います。「軟口蓋」は意識的に動かすことができます。口の中を広げたいときに使いましょう。あくびを意識すると分かりやすいです。

「あ」にしか聞こえない「あ」

母音のトレーニングをするとき、常に意識して欲しいことがあります。それは、「あ」にしか聞こえない「あ」という言葉を発声することです。普段話しているぶんには、「あ」と「え」の中間のような中途半端な母音を出していても、文脈で何となく分かってしまうものです。自分の声を録音するなどして、明瞭な母音が発声できているか、自分の耳でしっかりとチェックしてあげましょう。

子音は短くハッキリと

子音というものは全て、母音の前に一瞬だけ入る音です。子音はなるべく短く、ハッキリと発音しましょう。長くなると、母音とのバランスが崩れてしまい、もったりとした音になってしまいます。舌の弾き、息の当て方、通し方、全てにおいてコンパクトにまとめましょう。

特殊な子音と、母音な子音

五十音の中でも、注意して欲しい子音がいくつかあります。「し(SHI)」「じ(JI)」「ち(CHI)」「つ(TSU)」は他と違う子音が使われているため、舌の使い方や音の響かせ方が違います。意識して使い分けてあげましょう。

「や行」「わ行」は母音の繋がりでできています。ゆっくり言うと「や(YA)」は「ieA」、「わ(WA)」は「uA」です。母音の発声を明確に、口の形を素早く変えることで明瞭に発声することができます。

日本語は、世界で一番綺麗な言葉

日本語は、世界で一番綺麗な言葉だと言われています。なぜなら、日本語には母音が5つしかなく、「子音」と「母音」が必ずセットで使われるからです。他の国の言語では、10や20ほど母音がある国もあり、子音を連続することも多くあります。

私たちは日本語という素晴らしい言語を扱う国で言葉を扱う仕事をしていくのですから、世界の代表として、綺麗な言葉を話せるように滑舌のトレーニングをしていきましょう。

「発声には腹式呼吸」の理由。

「発声をするには腹式呼吸が良い」と、どこかで聞いたことがあると思います。では、な腹式呼吸が良いのか。その理由を紐解いていきましょう。

肩式、胸式、腹式の違い

呼吸の方法には、肩式、胸式、腹式の3種類があります。それぞれで大きく違うのは肺の膨らむ方向と、使う筋肉です。

  • 肩式=肺が上に膨らむ。主に肩周りの筋肉を使う。
  • 胸式=肺が横に膨らむ。主に肋間筋を使う。
  • 腹式=肺が下に膨らむ。主に腹筋の下半分(下っ腹)と背筋を使う。

腹式呼吸のメリット

腹式呼吸が良いと言われる理由は色々ありますが、大きく分けて3つの要因があります。

  • 息の量をコントロールしやすい。
  • 呼吸量が多くなる。
  • 声を響かせやすい。

使う筋肉の場所が違うことによって、声の響きや、発声の時に使う呼吸量のコントロールに劇的な差が出てきます。

息を強く出しすぎないために

声を出すとき、息を出しすぎる癖を持っている方は多数います。声を出すには、声帯が震えて音が出れば良いのです。ということは、息も声帯を震わせるだけの量でいいのです。

人は声を出す時に、必要最低限の呼吸量を確保することが脳から指令として伝わっています。先週も言いましたが、声の大きさは響きの大きさです。発声をする時にこれ以上の呼吸量は基本必要ありません。無駄な息というのは、邪魔ものでしかありませんので、コントロールしてあげましょう。

呼吸コントロールのトレーニング法

一定の呼吸量を保つには継続的なトレーニングが必要となります。今回はその一つをご紹介します。

「4→2→8の呼吸トレーニング」

  1. 仰向けに寝て、膝を立て、息をこれ以上もう吐けないというところまで吐きます。
  2. 4秒で鼻から、腹式呼吸で、もう吸えないというところまで一定量で思いっきり吸います。
  3. 2秒、息を止めます。
  4. 8秒で口から、もう吐けないというところまで一定量で息を吐きます。

これで1セットです。何度も繰り返してください。ポイントは「腹式呼吸で」「最大まで吐いて、最大まで吸う」「常に一定量ずつ」そして「腹筋(下っ腹)の力の入れ具合の意識」です。

NGチェック
・息が胸に入ってしまう
・ギリギリまで吸いきれない、吐ききれない
・息の量が一定にならずフヨフヨとよれる
・腹筋を使っている意識がない
上記のような状態では全く意味がありませんので、しっかりと全てを意識してやることが重要です。慣れてきたら立った状態でやりましょう。カウントを変えるのも効果的です。

腹式呼吸は響きにもいい

腹筋や背筋のみを使うということは、喉の周りや肩周り、胸の筋肉も使わないということです。お腹の上半分までの広範囲をリラックスさせることができるため、声の響きに身体を最大限使えるということです。発声にとって腹式呼吸が良いと。言われる理由は、こんなところにもあるのですね。

まとめ

人間の身体は、一人一人違う形をしています。それは口の中や骨格も同じで、舌の長さが違ったり、唇の大きさ、歯並び、顎の大きさや体格、骨格、筋肉量まで、全てが一人一人違います。ですので、人にはない、自分の身体に合った正解の形を、探っていきましょう。

これにて「声」に関してはひとまず終了です。もしまだ知りたいことや質問がありましたら「しばいのまち」へご意見をいただくか、もしくは私まで直接ご連絡ください。また、ここ違うよ!などのご指摘も承っております。この記事が、みなさまの今後の活動にとって少しでもプラスとなれば幸いです。さて次週はいよいよ「台詞の言い回し」について書かせていただきます。では、またお会いしましょう。

(※注意:本記事で紹介する技術は、私個人が私なりにまとめた技術論です。皆さんが関わる作品のテイスト、上演の仕方、団体の意向、などにより多種多様な方法論がある為、私の記述とは全く違うことを言われることも多々あります。その際には、その団体の方針に従い作品を創ることを、強くオススメいたします。)

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筆者について

元劇団かかし座劇団員として、年間200ステージの舞台に立ち、ここ数年は舞台の演出、制作、プロデューサーとして商業舞台を含む様々な舞台やイベントに携わる。いくつかの団体でキャスティング権を持ち、それを元に活動を続けている。演出では声や音を重視し、より聴きやすく観劇しやすい作品に作り上げている。春夏秋冬プロジェクト代表、特殊パフォーマンススクールRPG特別講師

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