【連載企画】第1回 声の響かせ方(春夏秋冬:深谷禰宜)

「しばいのまち」をご覧のみなさま、はじめまして。
この度、ご縁をいただき寄稿させていただくことになりました、深谷禰宜(ふかやねぎ)と申します。

演技の勉強を始めてからは15年、初めての舞台を踏んでからは12年。一昨年までは俳優としての活動をメインとし、今は演出家であり、演技講師、制作、キャスティングマン、プロデューサーと、様々な顔を持たせていただいております。

本連載では、私自身が先輩方よりご教授いただきました膨大な情報の中から、納得し、これだったら皆様にもお伝えすることが出来るのではないか、というものだけを厳選して記させていただきます。

これから俳優活動を始めようという皆様、演技に伸び悩んでいる皆様、演技指導者の皆様が、この記事を読んで何かひとつでも今後の活動のヒントを得ていただけましたら幸いです。

お客様の耳に届く、大切なもの

さて皆さんは舞台を観に行ったときに、出演者の台詞により「耳がキンキン」したり、「声が客席まで飛んでこない」「滑舌が聞き取りづらい」「間延びしている」「台詞が一本調子だ」などという場面に出くわしたことがありませんか?もしくは共演者にそのような方がいたりしませんでしたか?

もちろん、お客様にご覧いただく段階でそんな状態ではいけないのは本人も百も承知です。ですが、そもそも「やり方」を知らなければ、「直したいのに直せない」となってしまうのも無理はないと思います。

なぜ「大きな声が出せない」のか。
なぜ「滑舌が良くならない」のか。
なぜ「息が浅くなる」のか。
なぜ「台詞がうまく言えない」のか。

それらをなるべく分かりやすいように、お伝えしていきます。第一回目の今回は、「声の響かせかた」に関することです。

声の2大特徴ってなに?

そもそもまず、「声」はどうやって出るのでしょうか。

呼吸した「息」が、喉にある「声帯」をふるわせて、「声がでる」。

なんとなーく、これくらいまでは知っている方が多いのではないでしょうか。でも、これだけでちゃんと声が出るのであれば、声が出なかったり、台詞が言いにくかったりすることはありませんよね。では、もっと細かく考えてみましょう。

声の特徴は、大きく分けて2つに分かれます。

「響き」と「滑舌」

「響き」と「滑舌」。
このどちらもがクリア出来ていれば、聞こえやすく、通る声で表現が出来るようになります。ただ、どうやってそれを勉強したらいいのか?

声の仕組みを知ろう。

まずは、声の出る仕組みを知ることから始まります。

響き

  1. 呼吸した【息】が、喉にある【声帯】をふるわせる。
  2. 【声帯】のふるえが、【首の骨(一番近くにある一番硬いもの)】にまず伝わる。
  3. 【首の骨】のふるえが、【頭蓋骨】や【背骨】などから全身の【骨】に伝わる。
  4. 【骨】のふるえが【肉】と【皮】に伝わる。
  5. そのふるえが【周りの空気】に振動を起こし、近くにいる人の【鼓膜】をふるわせる

滑舌

  1. 呼吸した【息】が、喉にある【声帯】をふるわせる。
  2. 口の中の【空間】を使って、【振動】を【母音】の形にする準備をする。
  3. 【息】が通り抜けるときに【舌】や【歯】【唇】などを使って、【子音】を発音する
  4. 【子音】に続けて、【母音】を発音する。

これが、声が言葉として聞こえるまでの大まかな仕組みです。

「響き」で声質や大きさを調整した音を、「滑舌」で明瞭な言葉にしていく。そんなイメージでしょうか。

良い響きの声を手に入れるために

良い響きの声を手に入れるためには、まず「音」の性質を知ることが大事です。

音には伝わり方の特性があります。たとえば、鉄のように硬い扉と、フカフカの綿のように柔らかい扉の玄関があるとします。それを遊びにきた友人が同じ強さで叩いたとき、大きな音が出て来客に気づきやすいのはどちらでしょうか。

答えは、硬い扉の方です。柔らかい扉では「バフッ」という音しか出ないと思います。

振動は、硬いものの方が伝わりやすいという性質があります。では、人間の身体で最も硬い場所と言えば、どこでしょうか。

骨をうまく使おう

答えは、「骨」です。

全身の骨を、音を響かせるためにうまく使いましょう。喉まわりの骨から全身に震えは伝わります。そして響く場所をコントロールすることで、声の響き方や、声色を変えることが出来るのです。

では、どのように響かせる位置をコントロールするのでしょうか。

響かせたい場所をリラックスさせよう

骨のまわりには、必ずと言っていいほど筋肉があります。これは先ほどの話に例えると、鉄の扉のまわりに、フカフカの綿がくっついているようなものです。そして筋肉に力を入れるということは、その綿を鉄の扉に押し付けてしまうようなものなのです。

そうすると、響きはどうなるでしょうか。音はこもって、響きにくくなり、聞こえにくくなります。これが、全身に震えが行き届かない原因です。

赤ちゃんだって大声は出る

全身の筋肉をリラックスした状態にできれば、かなりの大声が出るはずです。生まれたての赤ちゃんでも小さな身体を目一杯使えば、大声が出せます。

お風呂場やトイレで鼻歌を歌っているとき、なぜかうまく歌えてしまうのも、リラックスしているからです。思い通りの響きを実現するためには、意識的に身体の力を抜き、響かせる場所を意識することで、コントロールしていきましょう。

姿勢が悪いとなぜダメなのか?

さて、ここでよくある話。

「お前の声が出ないのは、姿勢が悪いからだ!」などと言うダメ出しを、どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。ではなぜ、姿勢が悪いと声が出なくなるのでしょうか。

倒れないために必要な「姿勢筋」

人間は立っているときにバランスを崩して倒れてしまわないよう、「姿勢筋」と呼ばれる全身の筋肉を使っています。姿勢が悪いことによってバランスを崩し、その筋肉をより多く使わなければならない「全身の筋肉に力が入ってしまう」状態になっているのです。

首の筋肉には要注意

「姿勢筋」の中でも最も注意しなくてはならないのが、「首の筋肉」です。

5キロはある頭を支えるために、いつも力を入れ続けている首の筋肉。ですが、そこは声の原点、「声帯」があるとても大事な場所です。声帯の周りで力を入れてしまっては、そこから全身に震えが伝わることもありません。

だとすれば、どうすれば首に力を入れなくて済むのでしょうか。

頭は身体に乗せておこう

頭をちゃんと、身体の上(重心の真上)に来る位置に乗せてあげれば、そもそもバランスを取り続けなくてもいいのです。

胸を張り、姿勢をよくして、正しい位置に乗せてあげましょう。

では、頭が正しい位置にあるのか?とは、どうやってわかるものなのでしょうか。

頭の正しい位置の目安。

姿勢が良いことの目安としては

  • 顎の位置が、自分の胸板(肋骨)より前に出ている。
  • 首の後ろが伸びていない。

この2つのどちらかになっているだけで、アウトです。自分の身体をチェックして、この2つをクリアしてあげましょう。

実践してみよう!

立ったままの状態で、頭の位置、肩の位置、胸の張り、腰の角度、足の裏の体重のかけ方、などを変えてみてください。

頭の重みがフッと軽くなり、首の後ろの筋肉が柔らかくなった(筋肉から力が抜けた)ところが正解です。

最初は椅子でチャレンジ!

分かりにくいひとは、最初は椅子に座って試してみましょう。

骨盤の角度が変わるので、立っている状態よりは格段にやり易いはずです。確実に出来るようになったら、立った状態でも出来るようにしましょう。

首の筋肉がリラックスするだけでも、声の響きが背骨や胸に伝わりやすくなります。声の響きが劇的に改善する方も多いです。ぜひ挑戦してみてください。

まとめ

さて今回は、「声の響かせかた」について書かせていただきました。いかがでしたでしょうか。

普段から意識して演技をしている方、今まで考えもしなかった方、様々な方がいらっしゃると思いますが、少しでも参考になり、今後の活動のヒントとなれば幸いです。

次回は「滑舌」と「呼吸」について書かせていただきます。では、またお会いしましょう。

(※注意:本記事で紹介する技術は、私個人が私なりにまとめた技術論です。皆さんが関わる作品のテイスト、上演の仕方、団体の意向、などにより多種多様な方法論がある為、私の記述とは全く違うことを言われることも多々あります。その際には、その団体の方針に従い作品を創ることを、強くオススメいたします。)

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※終了
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筆者について

元劇団かかし座劇団員として、年間200ステージの舞台に立ち、ここ数年は舞台の演出、制作、プロデューサーとして商業舞台を含む様々な舞台やイベントに携わる。いくつかの団体でキャスティング権を持ち、それを元に活動を続けている。演出では声や音を重視し、より聴きやすく観劇しやすい作品に作り上げている。春夏秋冬プロジェクト代表、特殊パフォーマンススクールRPG特別講師


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