役者が初めて演出をして分かった3つのこと

役者をしている皆さん。演出家という存在に、どのようなイメージを持っていますか?
すぐ怒る、怖い、話が長い、など…マイナス面が先に浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ここでは、私が先日初めて演出を経験した時のことを通じて、「演出」の仕事がどれだけ大変か、はたまた今まで演じる側だけでは気付けなかった事などを書いていきます。

演出側の味方となって「演出家は怖くて嫌な生き物」というイメージを払拭したいと思います!

ダメ出しはなんて書いているか分からない

ダメ出しが欲しいという人、聞きたくない人。それは役者によって様々ですが、作品を良くする為に「ダメ出し」は欠かせないものです。

ダメ出しは、あなたが芝居をしている姿を見ながら書き込んでいきます。役者の一挙手一投足、その視線すら見逃さないように演技を見ながら書くのです。つまり、書いている手元を見て書かないことが多いんです。そうすると…まぁ、当然といえば当然ですが。何て書いてあるか自分で分からないことがあります。

実際に私も、「…え?これ何?」と思うことが多々ありました。

分からないのは熱中してるから

役者しかやったことのなかった以前の私は、なんて書いてあるか分からないダメ出しを書く演出家さんに対して「分かるように書けよ…」と心の中で思っていたものです。

「なんて書いてあるんだあああああ!」と頭を抱えている演出家さんに遭遇したときは、「それだけ熱中して芝居見てくれてたんだ」と、優しい気持ちで待ってあげてください。

まあ大抵、書いてあることわからず終いだったりしますけどね。

演出家は、良く喋る!

色んなタイプの演出家さんがいらっしゃるので一概には言えませんが、私が今まで出会った演出家さんは、比較的に良くお話しされる方が多いです。

ダメ出しをしていながらも、どんどん違う話に派生していって、しまいには関係ない話まで…ということも良くありました。

生意気な私は「話なげーな」と、これは内心ではなく顔に出したりしてみたりもしましたが。残念。無力です。熱くなった演出家は、もう誰にも止めることができません。消火器を持ち出すと余計にヒートアップするので、自然沈火を待ちます。

ひたすら待ちます。待つのも役者の仕事です。

喋らない私も…

実際に演出家をしてみて私がどうなったか。役者側で稽古する時、私はあまり喋るタイプではありません。

ですが…演出してみると…喋る喋る。喉が…渇く!常にお水を飲んでた記憶があります。作品のことや、役のことなどひたすら喋っていた気がします。

その中で、「今日のこの子のコンディションはどうかな?」「この人はどう言う気持ちで今やってるのかな」など、会話を通すことで役者を見ていたりもしました。関係ないと見せかけて、実は作品にすごく重要なヒントが隠されている場合もあります。

だから、話が長い演出家さんに遭遇したら、「長いなぁ」と思いながらも、話をじっくり聞いてみてあげてください。

言うことがその都度、変わる。

これ、役者の方々は一番共感する部分ではないでしょうか?

演出家さんに「ここはこうして」と言われていたのに、次の稽古では「やっぱこうして」となった経験ありませんか?「さっきこうやれって言ったじゃん…」と、不満を持ってしまうこともあるかもしれません。

ですが、演出家は常に作品全体の流れを見ています。そして、もっと良いものがないか、常に考えています。作品を良くするためならば、さっきつけた演出なんて平気で変更します。

そこには悪気なんてなくて、ただ「こっちの方がいい」と思う新しいアイデアが出て来ただけなんです。

役者と演出家は仲間

「変えたらみんなにまた面倒と思われるな」というのも覚悟の上で提案しています。ちゃんとした演出家さんならきちんとした理由をもって変更を加えています。

演出家は司令塔ですが命令する立場ではありません。役者と仲間です。なので役者も不満を持ったまま変更に従うのではなく、疑問に思ったことなどは質問して納得した上で作品を二人三脚でより良くしていきましょう。

「演出家」、という出演者

カーテンコールでの役者の晴れ晴れとした充実感溢れる笑顔を、ほとんどの演出家は客席で見ています。

演出家が舞台に上がることはほとんどの場合ありません。どうか、「演出家の分まで舞台に立っている」、ということを忘れないであげてください。きっとあなたの真剣な姿を、客席から笑顔で見守ってくれているはずですから。演出家は対立する敵なんかではなく、「作品と芝居への愛情は役者以上の、演出家という出演者」です。

どうですか?ほんの少し、演出家というイメージが変わりませんでしたか?これを機に、役者と演出家の関係がより良いものになれば幸いです。

普段は近寄り難くて話せない…という方も、稽古終わりや打ち上げの席でお酒を酌み交わしてみてはいかかですか?そのときは、話が長いことも許してやってくださいね!

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