「シェアスタジオ」という新たな稽古場の形。俳優:日下諭さん

皆さんは「シェアリングエコノミー」という言葉をご存知でしょうか?簡潔に言えばお金、サービス等の交換・共有により成り立つ経済のしくみのことを指します。

個人が持つ住宅や自動車の貸し借りから、使ってないスペース、日常的に使うモノの貸し借り、更には自分自身の時間などをシェア(共有)する様々なサービスや取り組みが最近増えてきています。この新たな概念はこれから更に広がっていくと言われています。

そして演劇の世界にもそれは広がりつつあります。今回はシェアスタジオ「高円寺K’sスタジオ」の発起人・運営者であり、俳優の日下諭さんにお話を聞いてきました。

日下さんとスタジオについて

日下 諭さん

1985年生まれ。俳優。文学座付属演劇研究所、新国立劇場演劇研修所を経て、現在はK’S倶楽部所属。

高円寺K’sスタジオ

2015年6月に日下氏と友人の2名で立ち上げた非営利のシェアスタジオ。通常の貸しスタジオと異なり、会員全員が共同で利用・管理し、経済的に不自由な若手俳優等でも、仕事の合間にクリエイティブな活動が継続してできるスタジオ。8月には新館を開設予定。
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シェアスタジオ立ち会げの背景

今回は8月にオープン予定のスタジオで話を聞いてきました。新高円寺駅から徒歩数分の好立地にあるビルの最上階。稽古ができるスタジオと一緒に図書館も作成予定とのことでした。

ーお時間をありがとうございます。そもそもどういった経緯でシェアスタジオは立ち上がったんですか?
日下さん(以下敬称略):もともとは役者仲間と「自分たちのスタジオ欲しいよね」などとは話していたんです。製作会社や事務所は稽古場を持ってたりしますが、それ以外の役者が練習をする場所って無いんですよね。

あとは私は俳優向けのワークショップ等もやっているんですが、そのために毎回場所を抑えたりするのも面倒だったんですよね。公民館とかも数が減ったり、演劇使用が禁止になって来てますし、申請なんかも結構大変じゃないですか。

一度自分たちで稽古場を持ったらどうなるなんだろうと、物件を探してみたんです。そうしたら思ってたよりも安くて、良い物件も見つかったんです。そこから具体的に話が進んでいって、数ヶ月程でシェアスタジオはオープンしました。

シェアというコンセプト

ーシェアスタジオというのは他のスタジオとはどう違うんですか?
日下:まず利益を目的にはしていないです。会員制で、人数が増えればその分1人あたりの負担も減る仕組みにしています。料金も通常の稽古スタジオに比べたら破格の値段で運営しています。

会員は年会費さえ払えば365日24時間スタジオの利用ができます。

ーいつでも使えるんですね。何故、シェアというコンセプトで運営しているんですか?
日下:そもそも「シェア」って言葉には色んな意味があると思うんですよね。共有、分担など。その中でも「共感」という意味が一番好きなんですけど。

法律上のことはわからないので、あくまで例えですけど「保育所が足りない」という問題がある時、お母さん同士が自分たちで保育士を雇って、シェア保育所を作るということも考えられると思うんです。もちろん信頼関係がベースになりますけど。

そういう「必要なものがある人達が、それぞれ持っているものを持ちよって課題を解決する」という取り組みが大事だと思うんです。もう世の中は国とか大きい単位じゃなく、そういう個々人の小さな取り組みの方が主流だと思うんです。

役者だと、半年働いて、半年はバイトとかしているわけじゃないですか。そんな中で自分のクリエイティビティを磨く場所を確保したり、知識やスキルを役者同士でシェアできる場所があったら良いなというのも、このスタジオを立ち上げた動機の1つです。

ー確かに世の中ではシェアの概念やサービスが広がっていますもんね
日下:ここでは実際に知識やスキルをシェアする活動が自然発生していて、勝手にコミュニティが活発的になってきています。ここが結構大事だと思っているんです。

こちらが無理にコントロールしないでも広がるんですよね。それはシェアという考え方だからこそかなと思っています。

ー誰でも会員になれるんですか?
日下:現在、メンバーは完全に紹介制です。宣伝なども一切していません。信頼できる人しか基本的には使えない様にしています。最初は2人から始めたんですが、今はメンバーが20名程です。あと、劇団単位の入会はできなくて、あくまで個人しか会員になれない様になっています。

ーシェアスタジオ運営のコツとかってあるんですか?
日下:お金がかかることは基本的にはしない。お客様を作らないってことですかね。

ルールは現状復帰以外は特に定めてないんです。あくまでシェアメイトという感覚で会員には使ってもらってます。会員をお客さん扱いはしません。

自分たちの場は自分たちで管理し、作るという感覚を会員同士がもっているからこそ、ここまで活動が広がってきたんだと思っています。

シェア小劇場の夢

ー8月にこの新館がオープンしますが、その先とかも何かしたいこととかってあるんですか?
日下:シェア小劇場とか挑戰してみたいですね。何かを作るには人が大事、それと同じくらい場所が大事だなと、シェアスタジオを運営して実感しています。

場所が人を育てる、人が場所を育てる。そのエネルギーがその場所には確かに蓄積されていきます。シェアの考え方を持ったスタジオや劇場がもっと日本全国に広まっていったら面白いなぁって考えています。

色んな劇団が全国のシェアスタジオやシェア小劇場をお互いに行き来して全国で公演とかすごく楽しそうじゃないですか。

ーそうなったらすごく楽しそうですね。どうもありがとうございました。

まとめ

必要なものがある人が、必要なものをそれぞれ持ち寄れば良い。という考えにとても共感を覚えました。シェアとは消費ばかりに気を取られてしまった現代人が、新たな可能性を探るための重要なキーワードでしょう。

日下さんは「シェアスタジオは皆持ったら良いのに」と仰っていました。利益を上げることを目的としない場合は、シェアスタジオを持つこと自体は、世の中の多くの役者や劇団にとっても現実的な選択肢だと思います。

<スタジオ新設に伴うクラウドファンディグについて>
現在、高円寺K’sスタジオではクラウドファンディングを行っています。ぜひ日下さんの取り組みに共感した方は参加をしてみてください。
詳細は下記のフェイスブックページから確認できます。

https://www.facebook.com/koenji.ksstudio/

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