こんにちは。しばいのまちライターで役者の加藤エンです。
普段は小劇場にちょくちょく出演しています。
僕が役者という世界に足を踏み入れて10年が経ちました。
しかしこれだけ長いこと役者を続けていると、身体的にも精神的にもすり減り、節々が痛くなり、目も耳も若干悪くなり、言うことも考え方もクソじじいみたいになってきます。
そんな疲れ果てたおっさんになった自分に、最近ふと気付いてしまいました。
ある日の編集会議で
エン「はあ〜。疲れた・・・・日々に」
小松原「どうしたの?」
※小松原(役者)は僕と10年来の付き合いです。
エン「僕は役者なのに、夢があったのに、毎日毎日、バイト。それでも『働けども働けども我が暮らしは楽にならざり』だよ」
小松原「啄木ってんじゃねぇーよ!昔のお前はそんなんじゃなかったよ!あの頃のお前はどこにいっちまったんだよ!!」
エン「は、、はいー!!!!」
小松原に喝を入れられて、改めて思いました。もう一度あの頃を。ピュアでイノセントでもう少しお腹が引き締まっていたあの輝かしき18歳の頃を思い出したい、と。
(いやでもあの頃は引き締まってなかったし、顔もむくんでたな)
すべての原点「日芸所沢キャンパスへ
ということで、今回は「あの頃の気持を思い出す」のが目的なので、母校である日本大学芸術学部映画学科演技コースにやってきました。
(写真は所沢キャンパスの並木道)
日大芸術学部とは
日本大学の芸術学部映画学科演技コースは役者の登竜門とも呼ばれています。
卒業生に、佐藤隆太さん・船越英一朗さん・池松壮亮さん・加藤エンがいます。
ちなみに、密接に互いが関わりあうグループワークが多いせいか、カップルがよく出来るので演技コースは周りから「あいのりコース」とも呼ばれています。
ちなみのちなみにですが、僕はラブワゴンに乗せてもらえませんでした。
インタビュー相手を探す
大学を周り、映画学科演技コースの生徒に声をかけて、新入生かつ「この子はおもしろそう!」という5人を独断と偏見で選ばせて頂き、インタビューしてみました。
新入生に聞いてみる
採れたての夏野菜みたいに青々としてプリっとした新入生達を捕まえたので、下記の質問をしてみました。
- なぜ日芸に入ったの?
- 実際に入学して1ヶ月、ぶっちゃけどう?
- ズバリ!将来への抱負・夢は?
そもそもなぜ日芸に入ったの?
村上 遼さん 18歳
福岡出身の熱い青年。授業でもムードメーカー的な役割だったので声をかけてみました。
エン「なんで日芸に入ろうと思ったの?」

村上くん「もともと高校時代は野球をしていましたが、だんだんと俳優になりたいという思いが強くなり、俳優を目指すことにしました。それから日大の存在を知り、親からも薦められたのもあって、ワークショップにいったりもしました」
エン「へえ〜」
村上くん「実は地元の先輩などが皆日大芸術学部に落ちてまして。周りからは、合格は無理だと言われたり、あんな大学いっても何もならないという人もいました。でもそんな風に止められたり、否定されたりすると『なら逆にやってやると』いう気持ちになって、必死で勉強して受験しました」

エン「熱いねぇ。僕なんか見学の時の並木道がキレイだからって理由で入ったんだけどね〜」
天野 綾音さん 20歳
クラスでもひときわ目立つキレイな金髪と可愛らしい笑顔が素敵な女の子。下心ではなく彼女の内に秘めた想いを感じ取ったため、インタビューをさせてもらいました。
エン「日芸へはなぜ?というか20歳なんだね(ぐへへ)」

天野さん「はい。実は高校を出て、地元の短大に2年間通っていました。女優になりたいという思いは小さい頃からあって、短大の2年が終わり、就職の道を選ぶところで小さい頃から持っていた『女優になりたい』という夢を諦めきれず、『挑戰しなかったことであとで後悔したくない』と思い、編入を決意しました」

エン「すごいね!再び夢を追う、そのチャレンジ精神!素晴らしい!」
エン「ちなみに僕の最近のチャレンジは1日6食たべたことだよ(キリッ)」
実際に入学して1ヶ月、ぶっちゃけどう?
川崎 明梨さん 18歳
ぱっちりとしたチャーミングな目がおじさんの心をグッと掴んだのでインタビュー。
エン「4月に入学して、約一ヶ月、大学はどうですか?」

川崎さん「楽しいけど、今まで演じるという経験が殆ど無かったですし、皆の前で1人で演じるのが慣れなくてストレスです。疲れが溜まってみたみたいで、GWに入ったとたんヘルペスができちゃいました。あとは歌が苦手で、1人で歌う授業でストレスを感じすぎて、翌日過去に無いくらい目が腫れたりもしました。『とんでもないところにはいっちゃったなぁ』と思っています(笑)。ただ、活動している周りの友人は向上心があって、とても良い影響を受けています」
エン「そうだよね。なかなか慣れないことばかりだよね。演技はしたことなかったの?」
川崎さん「はい、小説とか文芸の道へ行こうとしていたのを進路を変えて映画学科に来ました。実は家が厳しくて、親は女優になることを認めてくれてないんです。入試にしても親に内緒で願書を出しました」

エン「親に内緒でってすごいね!ほんわかした印象なのにやることは大胆なのね、君…」
ズバリ!将来のへの抱負・夢は?
西野 裕貴くん 18歳
軽やかな関西弁。授業にちゃんと上下ジャージを着ていた彼。誠実っぽい感じが好印象だったのでお声がけしました。
エン「西野くんの夢は?」

西野くん「売れたいです」
エン「シンプル!」
西野くん「そんでアカデミー新人俳優賞獲りたいです。そして、テレビ等にも出演し、みんなが知っている俳優になりたいです」

エン「おじさんも全く同じことを考えていたよ。いいか、茨の道だぞ。でも夢ってステキ」
大田 一輝くん 18際
筋トレの時間、一人だけ背筋の反り方がシルク・ドゥ・ソレイユみたいだったのでインタビューをしてみました。ちなみにニューヨークの生まれとのこと。

エン「ズバリ、将来の抱負とかってありますか?」
大田くん「ハリウッドに出てみたいです。もともとアメリカ生まれで発音の練習なども親から受けています。英語をしっかりと使える日本人俳優として海外で活躍をしていきたいです」

エン「ハ、ハリウッド!!そういうでかい夢!おじさんすっかり忘れてたよ!」
他の皆さんにも将来の夢を聞く
他の3人もそれぞれの夢を語ってくれました。
村上くん「人の心を動かしたいです。『この作品が好きだ』と人々に言われる様な作品の中で演じてみたいです」
天野さん「自己満足で終わらせたくないです。自立して、親にも仕送りが出来て、胸を張って『女優の仕事をしています』と周りに言えるようになりたいです」
川崎さん「この4年間をしっかりとやりきりたいです。反対している親にも認められる様に、自分の納得した進路を進める様に、これからがんばっていきたいです」
まとめ
彼らと話していると、素直に夢を追う姿勢に感銘を受けました。
僕にもあったはず、そんな想い。いつの間にか忘れしまっていた、大事な気持ち。
お金はないし、売れてない。でも、夢を持ってお芝居を始めたのだから、その気持ちは大切にしなくちゃですね。
夢の大きさは人それぞれですが、夢があると言うことに意義があるんだなぁ。
最後にみんなで記念撮影をしました。
小劇場の現実。役者の現実。ここ日本の東京で、役者として生きて、酸いも甘いも経験してきた演劇関係者の皆さん、あの頃の気持ち、少しだけ思い出してもう少しがんばりましょう。
僕も頑張ります。