小劇場演劇における「劇作家」の仕事とは?

劇作家の仕事とは

劇作家とは、ずばり舞台の脚本(=戯曲)を書く人のことを言います。
現在の日本の演劇界においては、演出家と兼業している劇作家が多いといわれていますが、今回はあくまで「劇作家」の仕事にのみ焦点を当て、その仕事内容についてご紹介したいと思います。

そもそも劇作家が書く「戯曲」とは

舞台の脚本は「戯曲」と呼ばれます。戯曲は、実際に役者に声に出して読んでもらう「台詞」と、主に役者の行動などを指定する「ト書き」によって構成されます。

書き方について特に決まりはないため、書き手によって台詞が極端に少なかったり、ト書きが膨大だったり様々です。大抵の戯曲は縦書きで書かれていることが多いですが、近年では横書きで戯曲を書く作家も増えています。

戯曲完成までの流れ

まず簡単に、戯曲を書く方法についてご紹介します。

真っ先に台詞を書き始める方法もありますが、まずは下準備として物語の起承転結を意識した「プロット(ストーリーの大まかな流れを結末まで書いたもの)」や「箱書き(シーンごとにその内容をまとめていったもの)」を考えて、ストーリーの全体像をつかみます。

これは戯曲に限らず、小説や映画脚本を書くうえでも大事なプロセスです。ストーリーを作るうえで足りない知識や経験は、取材するなどして補います。

プロットや箱書きをあらかじめ準備することで、物語が大きく脱線し迷走するのを防いだり、執筆に行き詰った際には今後の展開のヒントとして利用することができます。これらを設計図として、台詞とト書きにより戯曲を執筆していきます。

戯曲執筆の依頼時などに特別な要望や決め事がない限りは、物語や表現からすべて基本的に劇作家の自由となります。
場合によっては演出家や制作と内容を吟味し、推敲を重ねたうえで戯曲を完成させます。

劇作家の楽しみ

劇作家にとって最大の楽しみは、自分の書いた作品が演出家によってどう舞台上で表現されるか、に尽きます。

同じ戯曲であっても、演出家によって舞台での表現方法が全く異なってきます。作品が予想と違ったかたちで舞台上に現れるのは、劇作家にとって最大の楽しみでもあり、作品が自分のものではなくなってしまったような、さみしさを感じる点でもあります。

演出の幅を広げる戯曲を書く

ト書きを、「舞台上に太郎が座っている」と書く作家もいれば、「舞台上やや上手寄りに、太郎が体育すわりで座っている。時折何かに怯えるように周りをキョロキョロと見回している」などと、より詳細に動きやその様子を指定する作家もいます。前者に比べ後者のト書きは、役者の動きを限定してしまっています。

劇作家の仕事はあくまで戯曲を書くところまでであり、役者に動きを指示するのは演出家の役目です。劇作家が戯曲を書く際に制限をかけすぎると、演出家の自由度が低くなってしまいます。劇作家と演出家がはっきりと分かれている場合は特に、なるべく演出家の仕事に干渉しないように意識して執筆することが大切です。

どうしても自分のイメージ通り舞台上で表現されなくては気が済まないという人は、戯曲上で細かな指定を入れたり、演出家に注文をつけるのではなく、自身が演出家を兼ねることをおすすめします。

劇作家としての心がまえ

前述したとおり、劇作家の仕事は原則として戯曲を書くところまでです。次に自分の作品を確認できるのは、本番を客席から観る時かもしれません。そのため、自分の知らないところで、演出家の判断で台詞が削られ、そのことを本番で知るということがあってもおかしくはありません。

この時、「勝手に台詞を削られた!」と怒りたくなる気持ちもわかりますが、戯曲を完成させて演出家に渡した時点で、基本的に文句を言うのはお門違いです(ストーリーの展開を全く違うものに書き換えられていた等悪質な場合は別ですが…)。

自分の手から離れた作品に関しては「なるほど、そういった解釈もできるのだな、面白いな」と思うくらい、広い心で見ることが大切です。

劇作家の仕事とは

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ABOUTこの記事をかいた人

劇作家・演出家・ライター 「劇団ヘコキリス」主宰 最近ハマっているものは、ゲームアプリ「MARVEL Future Fight」。